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- 予測市場とは何か?(4)
本シリーズ「予測市場とは何か?」では、主に米国で急速に存在感を増す予測市場に関して、その功罪と今後の展開に焦点を充てる。
予測市場が急拡大するに伴い、大きく3つの社会的な懸念が生じている。
まず、非公開情報を活用したインサイダー取引だ。4月下旬、米司法省は機密情報を活用し予測市場で40万ドル以上の利益を得たとして、ベネズエラ軍事作戦に関わった陸軍兵士を起訴した。従来想定されていた個別株と比べて、予測市場のインサイダー取引は大きく二つの違いがある。①個別株の内部情報は主に経営幹部が保有する一方、予測市場では政治家や公務員、芸能関係者などが特定の情報を持つ可能性があるなど、その対象が大きく異なる。また、②個別株の内部情報が株価にどの程度影響するかは不透明であるが、予測市場では取引時に自身の予測が正しかった際のリターン(得られる利益額)が明確だ。
次に、イベント結果は不正に操作される懸念がある。例えば、パリの最高気温を巡る4月の予測取引では、対象となる温度計にヘアドライヤーがあてられ、特定のユーザーが利益を得た疑惑が浮上している。また、Mention marketsと呼ばれる分野では特定のイベント等における著名人の言及内容が予測対象となるが、当然のことながら発言者はこの結果を操作できる。
最後に、予測対象に関する倫理的な懸念だ。例えば、イラン情勢を巡っては政権崩壊や米国による軍事侵攻の可能性が対象となるなど、死傷者が生じる戦争の予測取引を通じて、参加者が金銭的な利益を得ることを懸念する声がある。また、2025年1月のロサンゼルスの山火事を巡ってはその鎮火時期や延焼面積が予測対象となり、自然災害を対象にすべきではないとの批判のほか、利益を得るための放火を誘発するのではないかとの指摘がみられた。
予測市場が健全に発展するためには、これらの懸念への対策が求められている。政府によるインサイダー取引に対する法的な整備(具体的な不正取引の定義)や、不正行為に対する取り締まり強化、或いは運営会社による倫理基準の制定と運用の厳格化などは、予測市場の負の側面を和らげるうえで有用であろう。また、予測市場は発足間もないために参加者の不正意識が低い可能性があり、懸念を周知するだけでも一定の抑制効果が期待できる(4月に米政府は職員へインサイダー取引を行わないよう警告)。ただ、厳格な規制は取引量を減らす可能性があるため、市場拡大と規制強化のバランスを巡る議論は今後も続きそうだ。
【参考文献】
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Kennedy, Niamh, Lisa Courbebaisse, Elina Baudier Kim (2026), “France investigates suspected tampering with weather sensors after Polymarket bets,” CNN (April 24, 2026).
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Shaikin, Bill (2026), “Polymarket shouldn’t allow people to profit by betting on the L.A. firestorm,” Los Angeles Times (January 10, 2025).
※ 本資料は情報提供を目的に作成されたものです。日本国内から予測市場で金銭を伴う取引を行うことは、賭博罪に抵触するおそれがありますのでご注意ください。
前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

