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2026.05.19
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テクニカル指標から見た日経平均株価
~短期的な過熱は概ね解消、健全なスピード調整はもう少し続くか~
嶌峰 義清
- 要旨
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- 米国とイランの事実上の停戦状態が続く中、日経平均株価はAI関連株が主導する形で上昇基調を強めてきた。しかし、停戦後初めて3営業日続落を記録するなど、ここへ来て一方的な上昇に歯止めがかかった感がある。
- テクニカル指標から相場の過熱感やトレンドを確認すると、足元の下落により短期的な相場の過熱感は相当程度和らいだと判断される。一方で、足元の下落トレンドが転換したことを示す指標は見当たらず、暫くは冴えない展開が続く公算が大きい。
- ただし、中長期的な視点からは、これまでの上昇相場が終焉したことを示す指標もなく、AI需要の拡大を期待した上昇相場自体が終わったとは考えにくい。中東情勢の先行きは不透明で展開次第では相場環境が一変するリスクはあるものの、足元の株価の下落は健全なスピード調整である可能性が高い。
1. 短期的には過熱感は解消
5月18日の日経平均株価は前日比(前週末比)▲593.34円となり、3営業日連続で下落した。3営業日続落は3月26日~3月30日の4営業日続落以来となる。米国とイランとの間で事実上の停戦状態が続く中で、半導体関連株を牽引車に上昇傾向を強めてきた株高も、一服した感がある。株式市場の流れを変えるきっかけとなったのは、①一部企業の決算見通しが市場予想を下回る内容となったこと、②国内外のインフレ懸念の高まりなどを背景にした金利上昇だ。ファンダメンタルズに大きな変化がなく、中東情勢の不透明感も払拭されていない中での株高は、一部の業種に上昇の牽引が偏っていた側面があるとは言え、警戒的な見方にも繋がっていた。
とはいえ、この3営業日の下落により、短期的な相場の過熱感などを計る代表的なテクニカル指標からも、過熱感は一旦解消しつつあることが示唆される。 その一つである「ストキャスティクス」を見ると(図表1)、%K、%Dともに80%を下回っており、短期的な買われすぎ感は解消している。あわせて、18日には%Kに比べてノイズが少ない(相対的に相場の一時的な価格変動に左右されにくい)Slow%Dも80%を下回っていることから、短期的な過熱感はある程度解消していると判断される。もっとも、%Kが%Dを下抜けた状態が続いており、買いシグナル(%Kが%Dを上抜け)はまだ確認されていない。

同様に短期からやや中期の相場の過熱感を図る指標の一つである「RSI」を見ると(図表2)、4月以降の上昇局面では過熱域(買われすぎ)を示す70%以上の推移が続いていたものの、足元の下落により50%台にまで低下しており、過熱感は解消していることを示している。

短期からやや中期の相場のトレンドを図るテクニカル指標の一つである「ボリンジャーバンド」を見ると(図表3)、ここのところの急騰局面においては+2σライン近辺での推移(バンドウォーク)となっていたが、18日段階で中立的な水準と考えられる20日移動平均水準に近づいており、バンドウォークは一旦終了し、上昇基調は一服したことを示している。
なお、バンド幅(+2σと▲2σの幅:バンドウィドウズ)は4月半ばをピーク(ポージ)に縮小傾向が続いており、暫くは調整気味の推移が続く可能性が高いことを示唆している。

2. 中期的にはしばらく調整が続く可能性
次に、中期から長期的な観点で見た相場のトレンドを確認する。
まず、中期的な相場の方向性を探る代表的なテクニカル指標の一つである「MACD」を見ると(図表4)、①MACDがシグナル線を下抜けるデッドクロスが発生(図中丸印)、②ヒストグラムが下落傾向を辿っていること、などから中期的には株価の下落トレンドが続いていることを示唆している。また、デッドクロスの水準が高いことは、一般的にシグナルとしての信頼度が高いことを示唆している。

3. 長期的な上昇トレンド転換は確認されない
中長期的な相場のトレンドを示唆する「一目均衡表」を見ると(図表5)、①足元の日経平均株価は転換線を下抜けており、短期的には調整局面にあることを示唆している一方で、②足元の価格は基準線よりも高い、③基準線が上向き、④足元の価格が雲よりも上、であることから、中長期的な相場の上昇トレンドは維持していると判断される。
なお、雲を形成する先行スパン1と2が5月27日に逆転しており、相場の転換点となる可能性がある。上記①~④の要素を加味して考えれば、月末頃から再び上昇傾向が強まる可能性があると判断される。

総合的に判断すれば、中東情勢次第ではファンダメンタルズが大きく変わるリスクが残存していることには注意が必要だが、ここ数日の株価の下落は相場の過熱感の解消に繋がる“健全なスピード調整”である可能性が高い。
嶌峰 義清
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

