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2021.10.05
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OPECプラス、11月も日量40万バレルの協調減産縮小を維持
~国際原油価格は上値をうかがう可能性の一方、世界経済に冷や水を浴びせる懸念にも要注意~
西濵 徹
- 要旨
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- このところの世界経済は、主要国を中心に回復が続いてきたが、足下では変異株による新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて頭打ちの様相がうかがえる。他方、国際金融市場では米FRBのテーパリング観測に加え、中国経済の減速懸念など不透明要因が出ている。こうしたなか、昨年に過去最大の協調減産を実施したOPECプラスは段階的縮小に動いてきた。7月には会合が一旦中止されたが、その後の国際原油価格の調整を受けて8月会合では枠内の結束が強まる動きがみられ、段階的縮小の方針が維持されてきた。
- その後の世界経済は依然緩やかな拡大を続けるなか、国際金融市場の「カネ余り」や供給懸念も重なり国際原油価格は上昇しており、米国などは増産実施へ「圧力」を強めてきた。しかし、4日の閣僚級会合では7月会合で決定した月ごとの日量40万バレル規模の協調減産縮小(増産)が維持された。OPECプラス内では感染再拡大への懸念に加え、年末にかけて例年需要に下押し圧力が掛かる傾向から様子見姿勢が共有された模様である。当面の国際原油価格は需要ひっ迫から一段の上値が意識される一方、原油価格の上昇が世界的にインフレなど景気に冷や水を浴びせる懸念にも揺さぶられる可能性に注意する必要があろう。
このところの世界経済を巡っては、欧米や中国など主要国がワクチン接種の進展を追い風に経済活動の正常化が進むなど景気回復の動きをけん引してきたものの、足下では感染力の強い変異株による感染再拡大の動きが広がっていることを受けて、昨年来の新型コロナ禍からの景気回復の勢いに陰りがみられる。他方、国際金融市場では新型コロナ禍を経た全世界的な金融緩和を追い風に『カネ余り』の様相を強める展開が続いてきたが、年内にも米FRB(連邦準備制度理事会)が量的緩和政策の縮小に動くとの見方が強まっている上、これに先んじる形で一部の国で金融引き締めに舵を切る動きがみられるなど、金融市場を取り巻く環境は変化しつつある。さらに、中国の不動産大手の恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念をきっかけとする中国金融市場の動揺に加え、足下では電力不足などの問題を理由に中国経済そのものの減速が意識されるなど、世界経済及び金融市場を巡る状況に不透明感が高まる動きがみられる。昨年来の新型コロナ禍による世界経済の減速による原油需要の減少に伴う価格下落への対応を目的に、OPEC(石油輸出国機構)加盟国とロシアなど非加盟国の一部による枠組(OPECプラス)は過去最大規模の協調減産に動いたが、昨年後半以降は世界経済の回復による需要増による国際原油価格の底入れを受けて、協調減産枠を段階的に縮小させてきた。しかし、上述のように足下では世界経済を取り巻く状況への不透明感が高まる一方、国際原油価格の上昇が続いたことを受けてOPECプラス内では協調減産継続による逸失利益を理由に協調減産に対する意見対立が表面化し、今年7月の閣僚級会合は一旦中止される事態となった(注1)。ただし、各国はあくまで原油価格の安定を維持する目的を共有していることで昨年のように枠組そのものが瓦解する事態には至らず、再度の協議が行われた結果、年末までを対象に段階的な減産縮小を実施するとともに、協調減産の枠組自体は来年末まで延長しつつ実質的に来年9月頃に協調減産の終了を目指すスケジュールで合意した(注2)。一方、その後は世界経済の減速懸念などを理由に国際原油価格が調整する動きがみられたため、8月会合では引き続き段階的縮小を維持するとともに、枠内の思惑が反って一致するなど結束が強まる動きがみられた(注3)。

なお、8月会合においてOPECプラスは今年の原油需要見通しを据え置く一方、米国などによる増産要求といった『圧力』に配慮する形で来年の需要見通しを上方修正する動きをみせたものの、短期的には小幅増産に留める慎重な姿勢が維持された格好になる。結果、その後の世界経済は上述のように頭打ちの様相を強めているものの、依然拡大傾向が続くなど需要増が意識されることに加え、国際金融市場は引き続き『カネ余り』が意識される展開となるなか、一部の産油国において供給懸念が顕在化したことも重なり、国際原油価格は上昇傾向を強めてきた。他方、国際原油価格の急激な上昇は世界的なインフレ圧力を招くなど、頭打ちが懸念される世界経済にとってさらなる足かせとなる懸念から、米国をはじめとする原油消費国はOPECプラスの中心的な役割を果たしているサウジアラビアに対して『圧力』を掛ける動きもみられた。しかし、4日に開催された閣僚級会合においては7月会合で合意された月ごとの日量40万バレルの協調減産縮小(増産)という方針を維持することを決定し、声明においても「生産調整計画を確認した」との考えが示された。なお、足下においては世界的な新型コロナウイルスの新規感染者数は頭打ちする動きがみられるものの、OPECプラスの国々は欧米など主要国で変異株による感染再拡大の動きがみられるなか、今後の再拡大を警戒して大幅な増産に動くことに消極的になっているとみられる。また、OPECプラス内においては、例年において年末にかけて原油需要に下押し圧力が掛かる傾向があることを理由に様子見を図りたいとの思惑も影響したと考えられる。過去には上述のようにOPECプラス内でも様々な思惑が影響する動きがみられたものの、足下においては結束が強まる傾向がみられることを勘案すれば、世界的な原油需給は当面ひっ迫が意識されやすい局面が続くと予想され、結果的に国際原油価格は一段の上値を試す可能性が高まっている。他方、国際原油価格の上昇に伴い世界的にインフレが顕在化するなど景気に冷や水を浴びせる懸念も高まっており、今後は感染動向やそれに伴う世界経済の行方に国際金融市場が揺さぶられるとともに、国際原油価格も左右されることも考えられる。


注1 7月6日付レポート「OPECプラス、意見の隔たりが埋まらず閣僚級会合は中止に」
注2 7月19日付レポート「OPECプラス、閣僚級会合の決裂を経て年末までの減産縮小で合意」
注3 9月3日付レポート「OPECプラス、協調減産の段階的縮小を維持、結束が強まる動きも」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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