生命保険は人々のウェルビーイング向上に役立つか②

~加入水準よりも加入した保障内容に対する納得感、満足度が重要~

村上 隆晃

目次

1. 生命保険の加入水準を高くするだけでは、ウェルビーイング向上にあまり寄与せず

本稿では、引き続き生命保険文化センター「実態調査」の個票データを基にして生命保険加入とウェルビーイングの関係を多角的に分析して報告する。

前回、生命保険への加入が世帯属性を考慮してもウェルビーイング向上にプラスに働くことを確認した。

今回は生命保険に加入した場合、何がウェルビーイング向上に効いているのかを探る。まず、生命保険の加入水準との関係について分析する。

生命保険への加入水準としては、代表的な指標である支払保険料との関係をみる。

資料1は、2019~2024年の間に最近加入した生命保険のうち、月・半年・年ごとに支払っている生命保険の保険料を月額に換算した保険料のランクごとにウェルビーイング点数をみたものである。

月額5,000円以下で6.0点に対して、20,000円超では6.4点と上昇している。しかし、一つ下の15,000~20,000円の区分では6.6点と、最高ランクよりウェルビーイング点数が高い結果となっており、単純に右肩上がりになるような関係ではないことがわかる。

図表1
図表1

2. 加入した生命保険の保障内容が生活設計に照らして十分と納得されるとウェルビーイングが向上

そこで次に客観的な保険料ではなく、加入している保障内容が十分かどうかという加入者の主観的な納得度とウェルビーイングとの関係を分析する。

実態調査では「お宅の将来の生活設計(注1)をお考えになった場合、現在、加入されている保障内容で十分ですか、それとも不十分ですか」という質問で加入している生命保険の保障内容の納得度について聴取している。

資料2は、この質問の回答結果別にウェルビーイング点数を集計したものである。

結果を見ると、不十分の4.7点から十分の6.8点まで右肩上がりに上昇している。つまり生命保険加入者にとって、どれくらいの保険料を払っているかよりも、入っている保険の保障内容が自分の将来の生活設計にとって十分なものになっていると納得できているかどうかの方がウェルビーイングにとって重要であるということになる。

対面チャネルを利用する生命保険各社は加入時や加入後のアフターサービスにおいて、お客様に対して、それぞれの生活設計に照らしながら、加入している商品の保障内容の説明を実施し、理解の促進に取り組んでいる。お客様のウェルビーイングを高めるには「正確な説明」だけでなく、「加入者が自分の生活設計と照らして腑に落ちるプロセス」をどう支援できるかが生命保険会社にとっての戦略のカギになるということを今回の結果は示唆している。

図表2
図表2

3. 加入した生命保険の満足度向上がウェルビーイング向上につながる

加入した生命保険の保障内容に対する納得度がウェルビーイング向上につながるということであるが、この納得度の向上は加入する生命保険に対する満足度を引き上げることにも繋がっていることが知られている。今回のデータで確認しても、納得度が不十分から十分に向上していくにつれ、最近加入した生命保険について、営業職員や代理店などの販売チャネルや商品内容を総合的に勘案した満足度(以下、「総合満足度」)について「満足」と回答する割合が増加していく傾向がみられる(資料3)。

図表3
図表3

次に総合満足度別にウェルビーイング点数を集計してみると、不満+やや不満の5.5点から満足の6.6点まで、総合満足度が向上するにつれ、ウェルビーイング点数も上昇していることがわかる(資料4)。

図表4
図表4

これらの結果は、生命保険の提供に当たって、①各顧客の生活設計に照らして十分な保障内容を提案するとともに、そうなっていることを顧客に十分に納得してもらう、②その結果として、加入している生命保険に対する顧客の総合的な満足度を上げていくことが、実は顧客のウェルビーイング向上につながっているということを意味している。

以 上

【注釈】

  1. 生活設計とは、将来のライフスタイルや生活の目標を明確にし、それを実現するための計画を立て、準備を行うことを指す。

【参考文献】

村上 隆晃


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。

村上 隆晃

むらかみ たかあき

政策調査部 フェロー
専⾨分野: Financial Well-being、資産形成・運用、金融経済教育

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ