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2026.08.13
ガバナンス
その他
コーポレート・ガバナンス
プライム市場の独立社外取締役過半会社は3割を超えた
~継続上場会社にみる増加の実態~
河谷 善夫
1. 独立社外取締役過半会社は3割を超えた
独立社外取締役が取締役の過半数を占めるプライム市場上場会社(以下「過半会社」)の割合は、2026年8月上旬時点で30.3%となった(資料1)。2021年改訂のコーポレートガバナンス・コードにおいては、プライム市場上場会社に対し、独立社外取締役を3分の1以上選任することが求められた。さらに、業種・規模・事業特性・機関設計・会社を取り巻く環境などを総合的に勘案し、必要と考える場合には過半数の独立社外取締役を選任することも求められた(注1)。コーポレートガバナンス・コードが策定される前年の2014年、東証市場第一部における過半会社の割合は、1.4%にとどまっていたが、2021年以降、毎年着実に上昇している。
もっとも、この間には市場からの退出や新規上場もあった。当研究所は2025年8月上旬時点のプライム市場上場会社について、独立社外取締役選任状況に関する個社別データを有しているため、1年前と比較できる。そこで、本稿では2025年8月上旬から2026年8月上旬まで継続してプライム市場に上場していた会社に対象を限定し、直近1年間の変化を確認する。

2. 継続上場会社でも、独立社外取締役過半会社が58社増加
2025年8月上旬時点のプライム市場上場会社は1,618社であった。この1年間に、上場廃止や他市場への移行などにより87社がプライム市場から退出し、新規上場により20社が増加した。その結果、2026年8月上旬時点の上場会社は1,551社となった(会社数はいずれも内国会社ベース)。このうち、1年間を通じて同市場に上場していた会社は1,531社である(注2)。この1,531社について、過半会社数の変化を示したのが資料2である。

資料2のとおり、過半会社が単純に増えたわけではない。1年間に96社が新たに過半会社となる一方、38社は過半割れとなった。差し引き58社増加し、2026年8月上旬時点の過半会社は465社となった。この結果、継続上場会社1,531社に占める割合は3割を超えた。会社の役員構成は毎年変化するものの、新たに過半会社となった会社数が過半割れとなった会社数を大きく上回った。
3. 過半化・過半割れの構造を分析
自社の独立社外取締役の割合を高める方法としては、①独立社外取締役を増員する、②独立社外取締役を増員せずに取締役総数を減らす、という二つがある。この観点から、継続上場会社のうち、新たに過半会社となった96社と過半割れとなった38社の状況を確認したものが資料3である。

新たに過半会社となった96社のうち、4割を超える41社は、取締役総数を減らすことで過半会社となった。また、独立社外取締役を3名以上増員した会社や、取締役総数を3名以上減らした会社は少数にとどまる。つまり、新たに過半会社となった会社の多くは、前年の時点で、過半数達成に近い取締役会構成であったことが分かる。
過半割れとなった38社についても、役員構成の大幅な変更は限定的であった。このことから、過半割れが直ちに独立社外取締役の活用方針の後退を示すとは限らず、役員改選などに伴う一時的な人数構成の変化である可能性もある。資料3の注記のとおり、これらの会社について試算すると、独立社外取締役を1名増員するだけで37社が過半会社に復帰する。また、取締役総数を1名減らすと28社が過半会社に復帰する。この1年間に過半割れとなった会社の相当数は、翌年には過半会社に復帰する可能性がある。
4. 今後の展望
直近1年間と同程度の純増が続けば、プライム市場における過半会社の割合は、2027年8月には3分の1を超える見込みである。さらに、今回過半割れとなった会社の復帰や、過半数まであと1名の会社の過半化が進めば、35%に近づく可能性もある。
なお、2026年8月上旬時点のプライム市場上場会社1,551社のうち、過半会社ではない1,081社に着目すると、271社(約4分の1)は、独立社外取締役を1名増員するか、取締役総数を1名減らすことで過半会社となる。こうした会社は過半会社への移行が見込まれる潜在層といえ、当面、過半会社の割合は着実に上昇すると考えられる。
独立社外取締役が過半数を占める会社は、もはや一部の先進的な会社に限られず、プライム市場に広く浸透する段階に入りつつある。今後は、過半化という形式面だけでなく、独立社外取締役が取締役会の意思決定や企業価値の向上にどのような成果をもたらすかが、より重要になるだろう(注3)。
【注釈】
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この考え方は、2021年改訂のコーポレートガバナンス・コードの原則4-8に示された。そして2026年改訂の現行コードにも引き継がれている(原則4-10)。
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2025年8月上旬から2026年8月上旬までのプライム市場上場会社数と過半会社の割合の変化は次のとおりである。

- 独立社外取締役を過半数選任することの効果については、河谷(2026)を参照されたい。
【参考文献】
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河谷善夫(2024)「プライム市場創設後の変化(2) ~社外取締役選任状況の観点から~」
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河谷善夫(2026)「我が国のコーポレートガバナンス改革は効果があったのか? ~独立社外取締役『過半』選任とROEの関係の実証分析~」
河谷 善夫
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。