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2026年7月FOMCプレビュー

~利上げ提案の可能性~

前田 和馬

要旨
  • 7月FOMC(7/28~29開催)において、FRBは5会合連続で政策金利(3.50~3.75%)を据え置く可能性が高い。雇用が緩やかに持ち直す一方、6月の物価関連指標は原油価格の鎮静化を背景に改善の兆しを示しており、FRBはやや引締め的な政策金利にて様子見姿勢を保つとみられる。ただ、イラン情勢を巡る原油価格の上昇リスクが強まるなか、7月利上げの可能性が3割強の確率で織り込まれている(7月22日時点)。
  • 政策金利の据え置きは賛成多数で決定されると見込まれる一方、複数の地区連銀総裁は利上げを提案する可能性がある。例えば、ダラス連銀のローガン総裁は16日の講演で現行の金利水準は引締め的ではなく、「やや高い方が望ましい」と利上げの必要性を強調している。
  • 原油価格は5月中旬をピークに低下傾向にあったものの、7月以降は米イランの戦闘激化を背景に再び上昇基調にある。ガソリン価格の再上昇はエネルギー以外の物価への二次的波及を招くリスクがある。

5会合連続の据え置き

7月FOMC(7/28~29開催)において、FRBは5会合連続で政策金利を据え置く可能性が高い(政策金利:3.50~3.75%)。FRBは2025年9月以降に3会合連続の利下げ(計0.75%pt)を実施しており、政策金利は景気を熱しも冷ましもしない中立水準(3%前後)をやや上回る水準にある。高関税やエネルギー価格高騰によるインフレ高止まりリスクを踏まえ、FRBは経済・物価の今後の展開を注視する姿勢を示すだろう。FF金利先物に基づく7/22時点のFedWatchによると、同FOMCにおける据え置き予想は64.2%に達する。

ただ、米国とイランの対立激化の懸念が強まるなか、足下で原油価格が再上昇しており、更なる価格の加速リスクが意識される。インフレ高止まりによるFRBのタカ派転換への懸念を背景に、7月FOMCにおける0.25%ptの利上げ予想は35.8%の確率で織り込まれている(資料1)。

図表
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6月雇用統計における非農業部門雇用者数は前月差+5.7万人(5月:+12.9万人)と、前月から減速したものの、年初来の雇用持ち直しが続いている。また、失業率は4.2%(4.3%)へ低下するなど、労働参加率の低下もあり失業率が急騰する懸念は和らいでいる。他方、6月の消費者物価指数は前月比-0.4%(+0.5%)とガソリン価格が全体を下押ししたほか、食品・エネルギーを除くコアベース指数でも0.0%(+0.2%)と横ばい圏に留まるなど、燃料コスト上昇や高関税の影響が広範な品目に波及しているわけではない。

7月地区連銀経済報告(ベージュブック;7月6日までの情報に基づく)では12地区中11地区で「経済活動は僅かから緩やかに拡大した」とまとめられた。一方、物価動向を巡っては「前回報告と比べて、物価の伸びは全地区において変化がないか、鈍化した」とまとめられるなど、ガソリン価格の鎮静化による総合インフレの鈍化が示唆された。

7月FOMCまでには7月27日に6月耐久財受注、28日に7月消費者信頼感指数がそれぞれ公表される。また、原油価格は米イランの戦闘激化を背景に再び上昇基調に転じており、原油価格が大幅に変動する場合には将来的な市場の利上げ織り込みに影響する可能性がある。

利上げ提案の可能性

6月FOMCの声明文は前回から大幅に簡素化された。4月FOMCで一部メンバーが削除を主張した「将来の緩和バイアス」を巡っては、これを含むフォワードガイダンスの表現がほぼ全面的に削除された。一方、声明文は「委員会(FOMC)は物価の安定を実現する」と締められ、インフレ上振れリスクに対する警戒姿勢を示した。また、経済活動は「中東紛争による不確実性の高まりにも関わらず、経済活動は堅調なペースで拡大」、労働市場は「雇用増は労働力人口の拡大と歩調を合わせており、失業率はほぼ変化していない」、物価は「インフレ率は+2%目標と比べて高止まりしている。この背景には供給ショックがエネルギーを含む一部のセクターの物価を押し上げていることがある」と、それぞれまとめられた。こうした基本的な景気・物価認識は7月FOMCにおいても概ね維持される可能性が高い。

7月FOMCにおける金利据え置きの判断は賛成多数で決定されると見込まれる。多くのFOMCメンバーは物価が高止まりすれば利上げを支持する見解を示す一方、6月の物価関連指標の弱い動きはFRBが今後の動向を見極めるための時間的猶予を与えるだろう。他方、一部の地区連銀総裁は利上げを提案する可能性があり、その際にどの程度のメンバーが利上げに賛同するかが注目される。例えば、ダラス連銀のローガン総裁は16日の講演で「インフレは長期にわたって高すぎるほか、2%へ戻る軌道にあるようにはみえない」と述べたほか、現行の金利水準が引締め的ではないとの見解を示した。このうえで「今の緩やかな引き締めの方が、後々の急激な引き締めよりも望ましい」と述べるなど、7月FOMCでの利上げに前向きな姿勢を示している。また、クリーブランド連銀のハマック総裁も17日にインフレ高止まりへの警戒感を示している。

FOMCメンバーの政策判断が利上げと据え置きで割れる場合、ウォーシュ議長が記者会見において、FOMC内での議論と先行きのインフレリスクに関して何らかの見解を示すのかが注目される。原油価格は5月中旬をピークに低下傾向にあったものの、7月以降は米イランの戦闘激化を背景に再び上昇基調にある。足下の中長期的なインフレ期待は安定しているものの、ガソリン価格の再上昇はエネルギー以外の物価への二次的波及を招き、高インフレを持続させるリスクがある。

FRB高官発言

図表
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以 上

前田 和馬


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

前田 和馬

まえだ かずま

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析

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