合成予想インフレ率の動向(2026Q1)

~「ほぼ2%」の水準感に~

星野 卓也

要旨
  • 各主体の予想インフレ率を統合した合成予想インフレ率(5年)が2026Q1に1.90%に到達、ほぼ2%と評価できる水準感に。4月会合は現状維持が予想される一方、景気・物価にニュートラルな中立金利水準への回帰を念頭に、日銀は利上げの方向性を維持するだろう。
目次

合成予想インフレ率指標(5年後)は+1.90%に上昇、イラン情勢も影響か

本日公表された「生活意識に関するアンケート調査」などに基づき、家計・企業・専門家の予想インフレ率を統合した合成予想インフレ率指標の推定を行った(方法は日銀を参考)。推定した2026年1-3月期の合成予想インフレ率指標は+1.90%と、前期(1.79%)から一段上昇率を高めた(図表、左上)。

予想インフレ率は日本銀行の説明する「基調的インフレ率」の一角である。日本銀行(2026)は基調的な物価上昇率を把握する手法として、①変動の大きい品目の除去、②中長期の予想物価上昇率を捉える、③経済モデルによる推定、の3種類のアプローチを示している。本稿推定値は②に相当するものだ。

今回、家計(生活意識)・企業(短観)・専門家(インフレスワップ)の予想インフレ率がそろって上昇しており、合成予想インフレ率も大きめのジャンプになっている。イラン情勢の悪化とそれによる原油高も幾分影響したとみられ、「ほぼ2%」とも評価できる水準感になりつつある。

市場が織り込む4月会合での利上げ確率は足元で低下しており、筆者もイラン情勢影響の不透明感を理由に現状維持を予想している。しかし、日銀の説明する「基調的なインフレ率」は限りなく2%=インフレ目標に近くなっていると考えられる。景気・物価にニュートラルな中立金利水準への回帰を念頭に、利上げの方向性を維持するだろう。

図表
図表


(参考文献)

日本銀行(2026)「基調的な物価上昇率の概念と捉え方」日銀レビュー 2026-J-6

長田・中澤(2024)「期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性」日銀レビュー 2024-J-5

西野・山本・北原・永幡(2016)「『量的・質的金融緩和』の3年間における予想物価上昇率の変化」日銀レビュー 2016-J-17

大柴(2024)「インフレ予想の統計的推定の展開①~合成予想物価上昇率の有用性~」第一生命経済研究所 Economic Trends

星野 卓也


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

星野 卓也

ほしの たくや

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ