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OPECプラス有志国、増産幅は大幅縮小も10月も増産で合意

~有志国による自主減産の追加縮小で合意、市場シェア確保を重視する姿勢が一段と鮮明に~

西濵 徹

要旨
  • OPECプラスの有志8ヶ国は、7日のオンライン会合で10月の産油量を日量13.7万バレル増産することで合意した。これは、価格維持を重視してきたOPECプラスが市場シェアの確保に政策の軸足を一段とシフトしていることを意味する。今回の決定は、世界経済の安定や原油在庫が低水準に留まることを理由とする一方、小幅に留めているものの、今後のさらなる増産にも含みを持たせる考えを示唆している。
  • トランプ米政権による政策運営を理由に、このところの国際原油価格は比較的高止まりしてきた。しかし、OPECプラスの決定に加え、他の産油国による増産も見込まれるなか、先行きは世界的な原油供給に過剰感が意識される可能性がある。よって、先行きの国際原油価格については上値の重い展開が続く可能性が高まっていると見込まれる。

主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、7日に開催したオンライン会合において、10月の産油量を日量13.7万バレル増産することで合意した。有志8ヶ国は、昨年実施した日量220万バレルの自主減産を今年4月から段階的に縮小しており、今月には完全に解除させる実質的な増産に動いてきた(注1)。こうした動きは、OPECプラスが過去数年にわたって価格維持を重視してきたものの、市場シェアの確保に政策の軸足をシフトさせていることを意味する。昨年末、OPECプラスは枠組み全体として日量200万バレルの協調減産と有志国による日量166万バレルの自主減産を2026年末まで1年間延長することで合意したものの(注2)、金融市場においてはその扱いに注目が集まっていた。

今回の決定は、有志国による日量166万バレルの自主減産を縮小させるとしており、今回の増産幅は今月(日量54.7万バレル)に比べて小幅に留まるものの、OPECプラスとして市場シェアの確保を重視した格好である。その上で、今回の決定の理由について「世界経済の見通しが安定していることに加え、原油在庫が低水準であるなど市場のファンダメンタルズが健全であること」を理由に挙げた。さらに、先行きの方針については「市場環境の変化に応じて段階的、ないし全面的に回復させる可能性がある」と言及するなど、一段の増産に動くことに含みを持たせている。なお、OPECプラスによる実際の産油量を巡っては、一部の産油国が過去に行った過剰生産を相殺することを目的に生産抑制を迫られたことも影響して、過去数ヶ月は合意した水準を下回る推移が続いている。しかし、今夏の原油需要が堅調な推移をみせていることに加え、OPEC諸国による在庫の積み増しが控えめな水準に留まっており、有志国による一段の増産を後押ししたものと捉えられる。

このところの国際原油価格を巡っては、トランプ米政権の政策運営に翻弄されてきた。トランプ米大統領は、ウクライナ戦争の早期終結を目的に、ロシアが50日以内にウクライナとの停戦に応じない場合にロシア製品を輸入する国に対して2次関税を課す方針を示した上で、先月末にインドに対して発動させた(注3)。さらに、米国は今月、イラク産原油を装ってイラン産原油を密輸したことを理由に、イラクとセントクリストファー・ネイビスの国籍を有する実業者が主導する原油供給ネットワークに対する制裁を科している。これらの動きは世界的な原油供給の先細りを招くことが警戒され、このところの国際原油価格は比較的高止まりしてきた。しかし、今回の有志国の決定は市場シェアの維持に向けた強い意志を示したものと捉えられるほか、OPECプラス以外の産油国の増産の動きも重なり、先行きの原油供給に過剰感が意識される可能性がある。よって、先行きの国際原油価格については、上値の重い展開が続く可能性が高まっていると判断できる。

図表
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以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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