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OPECプラス有志8ヶ国、自主減産を当初予定から1年前倒しで解消

~9月も大幅増産で日量220万バレルの自主減産は解消へ、ロシア産原油の供給懸念もくすぶる~

西濵 徹

要旨
  • OPECプラスの有志8ヶ国は、3日に開催したオンライン会合で昨年から続けてきた日量220万バレルの自主減産を当初より1年前倒しで9月に解消することで合意した。背景には、原油市場の安定や在庫が低水準で推移していること、そして、OPECプラスの市場シェアの低下懸念がある。一方、トランプ米政権はロシアへの制裁強化を示唆しており、ロシア産原油の供給減が懸念される。OPECプラス全体としては協調減産を2026年末まで継続する方針だが、今後は自主減産の見直しが議論される可能性もある。当面の原油価格はOPECプラスの増産圧力とロシアの供給不安の綱引きのなかで、底堅い推移が続くと予想される。

主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、3日に開催したオンライン会合において、昨年から実施した自主減産枠を解消することで合意した。有志8ヶ国は昨年実施した日量220万バレルの自主減産について、今年4月から18ヶ月かけて段階的に縮小する方針を示したものの、過去数ヶ月は縮小スケジュールを大きく前倒ししてきた。そして、有志8ヶ国は今回の合意で9月も自主減産枠を54.7万バレルと、8月(54.8万バレル)並みの水準で減少するとしており、これにより当初予定から1年前倒しで自主減産枠が解消されることになる。

図表
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今回の決定について、有志8ヶ国は会合後に公表した声明文において「世界経済の見通しが安定していることに加え、原油在庫が低水準であるなど市場のファンダメンタルズが健全であること」を理由に挙げている。OPECプラスが自主減産の終了による事実上の増産を前倒しさせる背景には、OPECプラスによる協調減産や有志8ヶ国による自主減産が長期化するなか、世界の産油量に占めるOPECプラスの割合が低下し、存在感の低下が顕著になっていることがある。さらに、有志8ヶ国による自主減産縮小の前倒しにもかかわらず、足元の国際原油価格は季節的な需要増加の動きも影響して比較的高水準で推移している。よって、OPECプラスは過去数年にわたって価格維持を重視する姿勢をみせてきたものの、足元においては市場シェアの確保に政策の軸足をシフトさせていると捉えられる。

このところの世界経済や国際金融市場を巡っては、トランプ米政権の政策運営に翻弄される状況が続いている。米国は先月、ウクライナ戦争の早期終結を目的に、ロシアが50日以内にウクライナとの停戦に応じない場合にロシア製品を輸入国に対して米国が100%の関税を課す「2次関税」を発動する方針を明らかにした(注1)。その後、トランプ氏は期限の前倒しに言及した上で、ウクライナ戦争以降にロシア産原油の輸入を大幅に拡大させているインドに対する相互関税を25%とするとともに、ロシア産の兵器と原油の輸入に対してペナルティーを導入する方針を示している。さらに、インド同様にロシア産原油の輸入を拡大させる中国との協議も難航している様子がうかがえる。よって、金融市場においてはロシア産原油の供給が細ることが意識されていることも、足元の国際原油価格が比較的高止まりする一因になっていると考えられる。

なお、OPECプラスは全体として日量200万バレルの協調減産と、一部の産油国が日量166万バレルの自主減産を実施しており、昨年末にこれらは2026年末まで実施することで合意している。しかし、一部の報道では次回会合以降は日量166万バレルの自主減産の扱いが議論される可能性が指摘されており、枠組みのなかで最も産油量が大きいサウジアラビアが市場シェアを重視する姿勢を強めていることが影響している可能性がある。当面の国際原油価格については、OPECプラスによる実質増産が重石となる一方、ロシア産原油の供給先細りへの懸念が下支え要因となると見込まれ、引き続き底堅い動きが続く可能性が高いと考えられる。

以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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