株高不況 株高不況

大きな政府の国の株価が強い?

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月39,000円程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
  • 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
  • FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が+2.5%、NASDAQが+2.7%で引け。VIXは30.6へと低下。

  • 米金利はツイスト・フラット化。予想インフレ率(10年BEI)は2.273%(+4.2bp)へと上昇。
    実質金利は2.124%(▲5.4bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+58.0bpへとプラス幅縮小。

  • 為替はUSDが堅調。USD/JPYは141後半へと上昇。コモディティはWTI原油が64.3㌦(+1.2㌦)へと上昇。銅は9369.0㌦(+180.5㌦)へと上昇。金は3400.8㌦(▲5.4㌦)へと低下。

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注目点

  • 過去2週間程度の動きとして、関税をかけられる側の日本の株価は、米国株に対して相対優位となっている。日本株が北米向け輸出の減少もしくは米国現地法人関税負担、円高という2重苦に直面しながらも、内需株主導で徐々に下値を切り上げている反面、米国はパウエル議長の解任というテールリスクが意識される中、トリプル安の傾向にある。その点、4月23日の日本時間早朝に「金利を引き下げるというアイデアについてもう少し積極的になってほしい。いまが金利を下げるには絶好のタイミングだ」としつつも、「一度も検討していない。解任するつもりはない」としてFedの独立性を脅かす意図が「なかったこと」にした。この報道を受けてドルは急騰し、USD/JPYは一時143円を付けた。

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  • 関税をかけられる側の国の株価が堅調であるという事例は中国が顕著。米中貿易戦争の激化にもかかわらず、上海総合指数やハンセン指数といった中国関連の株価指数は共に年初来ほとんど低下していない。昨年9月に中国政府が景気刺激策を強化する方針を示して以降、政策当局に対する期待が高まっているとみられる。この間、Deep Seekが開発したAIモデルに対する期待もあり、米国一強体制を崩す可能性も取りざたされている。

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  • 「平時」ではない現状において、株価を説明するにあたってマクロ指標の有用性は低下しているが、筆者が定点観測している社会融資総量やクレジットインパルスは日本株が底堅さを増すことを示唆している。社会融資総量は通常の銀行融資に加え、新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などを含む広義の与信・流動性を示す尺度であり、その増減は中国当局の政策態度を示すと言われている。2025年3月の社会融資総量(フロー)は前年比+21.8%となり、12ヶ月平均値は上向いている。残高の前年比でみても+8.4%と下げ止まっている。

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  • 次に新規与信のGDP比(の前年差)をとったクレジットインパルスに目を向けると、こちらも反転上昇基調にある。この指標は日経平均株価との連動性が認められており、現在も方向感は一致している。グラフ中の日経平均株価について、最新値は4月22日の終値34220円を用いており、これは前年比でみると15%程度の下落に相当する。正直なところ、株価とクレジットインパルスの因果関係は不明瞭な部分が多いが、過去の経験則に従えば、今後中国の景気刺激効果が発現する下で、日本株は製造業を中心に業績の安心感が広がり、株価上昇が期待される。今次トランプ関税については、関税をかけられる国においては、景気刺激策の必要性が高まることから政府が大きくなり易く、その結果として株価が底堅さを増すという構図があるように思える。

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藤代 宏一


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