インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

OPECプラスは有志国の自主減産1ヶ月延長(12月末まで)で合意

~有志8ヶ国の自主減産は12月末まで再延長も、再度の延長に追い込まれる可能性はくすぶる~

西濵 徹

要旨
  • 主要産油国の枠組であるOPECプラスは、11月末までとした有志8ヶ国による自主減産を1ヶ月延長して12月末とすることで合意した。OPECプラスによる協調減産と自主減産は長期化する一方、枠外の産油国による増産のほか、中国の景気減速などが意識されて国際原油価格は上値の重い展開が続く。他方、世界の産油量に占めるOPECプラスの割合は半分を下回るなど存在感が低下しており、枠内でも増産を主張する国が出るなど枠組の瓦解が懸念された。よって、先月のJMMCでは12月からの自主減産の段階的縮小を確認するなど、価格維持政策からの転換が意識された。しかし、足下では中国景気を巡る不透明感がくすぶるなかで国際原油価格は上値の重い展開が続いており、自主減産の延長による価格維持政策の継続を決定した。米大統領選の行方如何では自主減産の再延長に追い込まれる可能性は考えられる。

主要産油国の枠組であるOPECプラスは、OPECプラス全体として実施している日量366万バレル規模の協調減産と別に実施している有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)による自主減産(日量220万バレル)について、11月末までとした期日を1ヶ月延長して12月末とすることで合意したと発表した。OPECプラスによる価格維持を目的とした協調減産や自主減産が長期に及んでいるが、中国の景気減速を受けた需要低迷が意識される一方、米国をはじめとする枠外の産油国による供給増により需給が緩むとの見方を反映して国際原油価格は上値の重い展開が続いている。結果、世界の産油量に占めるOPECプラスの割合は低下しており、IEA(国際エネルギー機関)の最新見通しに拠れば今年の世界産油量に占めるOPECプラスの割合は5割を下回るなど存在感が低下している一方、価格維持も困難になるなかで枠組の結束が揺らぐ兆しがみられる。さらに、財政面で原油関連収入への依存度が高い産油国のなかには協調減産に反発する動きが広がっており、協調減産の枠外にある国々が産油量を拡大させるなかで有志国を中心とする一部の産油国による自主減産に依存せざるを得ない状況が続いてきた。しかし、このところは協調減産の枠外で最も減産を行ってきたサウジアラビアが非公式に掲げる価格目標(1バレル=100ドル)を取り下げるとともに、12月からの増産開始に向けた準備を始めているとの報道が出たことを機に、価格維持政策からの転換が近付きつつあることが意識された。これは、サウジアラビアにおいても減産が長期化するなかで財政均衡水準とされる原油価格がここ数年で大幅に上昇しており、国際原油価格の上値が重い展開が続くなかでその乖離が広がっていることが影響しているとされる。そして、サウジ以外でも、イラクやカザフスタン、ロシアなどは割当枠を上回る水準で生産するなどシェアの維持や回復を目指す動きをみせており、OPECプラスの枠組自体が瓦解していく可能性も懸念されてきた。こうしたなか、先月にオンラインで開催された合同閣僚監視委員会(JMMC)においては、直前に中東情勢を巡る懸念が高まったことを受けて国際原油価格が底入れする動きをみせたこともあり、有志8ヶ国による自主減産を11月末で終了させるとともに、12月には自主減産枠を日量18万バレル縮小させるなど方針転換に動くことをあらためて確認した(注1)。しかし、中国においては当局が9月末以降に景気刺激策を五月雨式に公表する動きがみられるものの、現時点においてはいずれも『見せ球』の域を超えるものとはなっておらず、活況する動きをみせた金融市場も息切れが意識されるなど不透明感を払拭できない状況が続いている(注2)。よって、先月のJMMCにおいては枠組の維持に向けた余裕が生じたとみられたものの、その後の国際原油価格は頭打ちの動きを強めたことを受けて、再び価格維持に向けた姿勢を維持せざるを得なくなったものと捉えられる。また、米大統領選の行方は米国における原油生産の動向に影響を与えることも予想されるなか、その結果如何では国際原油価格の上値が重い展開となる可能性も考えられることを勘案すれば、有志国による自主減産が再び延長されることも充分に考えられる。

図表
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以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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