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2026.04.24
新興国経済
原油
メキシコ経済
イラン情勢
メキシコが日本に100万バレルの原油輸出を表明
~意義は極めて大きいが持続性は低い、需要抑制の検討を始める必要性は高まっている~
西濵 徹
- 要旨
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メキシコのシェインバウム大統領は4月23日、日本への100万バレル規模の原油輸出方針を表明した。これは、直前の両国首脳による電話会談でエネルギー協力合意を受けたものである。日本は原油の9割を中東に依存するなか、ホルムズ海峡の航行障害による供給への影響が深刻化している。原油以外にもナフサ、硫黄、尿素など多くの資源で中東依存が高く、エネルギー・経済安全保障の両面で重大な問題となっている。こうした背景から、OPECプラス加盟国で世界13位の産油国であるメキシコが調達先の多様化の候補として選ばれた。
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メキシコの産油量のうち日量140万バレルは国内精製向けのため、残余分を日本に輸出する形で一定期間に100万バレルを供給するとした。ただし、メキシコの産油量はピークから半減し、国内精製能力も不足しており、石油製品を輸入する構造にある。化石燃料への高い依存と原油収支の赤字も重なり、原油高はメキシコ経済の下押し要因となり得る。こうしたなかでの日本への供給決定は大きな意義を持つ一方、日本の精製施設は重質油向けが主流であるなか、メキシコの重質油生産が減少しており、今回の措置は持続的ではない。現状、日本は需要抑制に動いていないが、中東情勢の長期化懸念もあり、その検討が急務になっている。
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メキシコのシェインバウム大統領は4月23日、日本に100万バレル規模の原油を輸出する方針を明らかにした。直前の4月21日にシェインバウム大統領と高市首相が電話会談を行い、中東情勢の緊迫化を背景に世界的な原油供給が混乱するなか、エネルギー分野での協力を強化することで合意しており、今回の決定はその一環とされる。高市首相は電話会談において、メキシコで事業を展開する日系企業を巡る良好なビジネス環境の構築に向けた協力も要請した模様である。背景には、日本が原油の9割を中東諸国からの輸入に依存しており、これを受けたホルムズ海峡の航行に支障が生じていることを受けて、原油供給にも影響が出ている。さらに、日本は原油以外にも、石化原料であるナフサ、原油や天然ガスの脱硫工程の副産物である硫黄、天然ガスを原料に生産される尿素なども中東諸国からの輸入に依存している。したがって、中東情勢は日本にとって、エネルギー安全保障のみならず、経済安全保障の観点でも重大事態と捉えられる。このため、日本は中東に代わる原油の調達先として様々な国、地域との交渉を積極化させてきた。こうしたなか、主要産油国の枠組みであるOPECプラスの一員であるうえ、2025年の産油量が日量172万バレルと世界13位のメキシコに「白羽の矢」が当たったと考えられる。

シェインバウム大統領によれば、総生産量のうち日量140万バレルが国内にある石油精製施設向けに供給されるため、残りを日本向けの輸出に回すと説明している。そのうえで、日本との合意では一定期間のうちに100万バレルの原油を供給するとして、日本から国営石油公社(PEMEX)を通じて要請された合意によるものとした。ただし、メキシコの産油量は、油田の老朽化に加え、生産設備の不備なども重なる形で減少傾向を強めており、足元ではピークの2000年代初頭に比べて半減している。さらに、メキシコ国内における石油精製施設の能力も不足しており、近年は原油を輸出する一方、ガソリンをはじめとする石油製品を輸入する構造となっている。そして、一次エネルギーに占める原油比率が45%、天然ガス比率が41%と化石燃料への依存が極めて高く、原油や石油製品、天然ガスなどの収支(輸出入の差し引き)はGDP比▲0.5%の赤字と試算されるため、足元の原油高はマクロ面で景気の下押し要因となることが懸念される。こうした状況にもかかわらず、メキシコが原油を日本に融通する判断を下したことの意義は極めて大きい。一方、日本国内の精製施設は中東産原油を念頭にした重質油に対応したものが主流であるものの、近年のメキシコでは重質油を中心に産油量が減少しているため、輸出に回す余力が低下している可能性がある。その意味で、今回のメキシコからの原油輸入の拡大は中長期的に持続するものではないことに留意する必要がある。現状、日本は原油備蓄が十分であること、中東に代わる原油調達先の多様化を理由に、行動変容を伴う需要抑制に動いてはいない。しかし、中東情勢の行方が見通せず、長期化するリスクも高まるなか、日本として真剣に需要抑制の可能性を検討する必要性は日増しに高まっている。
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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