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【1分解説】労働分配率とは?

河谷 善夫

  音声解説

労働分配率とは、企業が生み出した付加価値のうち、どれだけが人件費として労働に配分されているかを示す指標です。一般に「人件費÷付加価値」で計算され、企業の収益がどの程度労働に分配されているかを見る際に用いられます。近年は株主還元の拡大などを背景に(資料1)、企業が労働より株主への還元を重視しているのではないかとの議論が多くみられます。

もっとも、労働分配率は分母となる付加価値の大きさに左右されるため、比率だけで企業の労働分配状況を判断するには注意が必要です。付加価値を多く生み出す企業では、人件費の金額が大きくても分配率は低く見える場合があります。

そこで企業別に労働分配額と株主分配額(配当金+自社株買い)の関係をみると(資料2)、株主還元が大きい企業ほど労働分配が小さいという明確な関係は必ずしも確認されません。むしろ企業規模や付加価値創出力が大きい企業では、労働分配額と株主分配額の双方が大きくなる傾向がみられます。

このように企業の分配構造を理解する際には、労働分配率という比率だけでなく、分配額や付加価値創出力も併せてみる必要があるといえます。また、企業の分配姿勢がどのように変化しているのかを把握するには、時系列での比較も重要となります。

図表
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この解説は2026年3月時点の情報に基づいたものです。

河谷 善夫


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。