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2026.05.25
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企業開示
2026年株主総会シーズンの特徴と課題
~開示高度化の下で進む総会日程の“窮屈化”~
河谷 善夫
1. 今年度3月期決算企業の株主総会集中率が3割を超えた
東京証券取引所(「東証」)は、毎年4月末に3月期決算会社へのアンケートに基づき、6月の株主総会開催情報を公表している。今年も4月28日に「2026年3月期決算会社の定時株主総会の動向について」を公表した。それによると、今年度は、資料1のとおり、全市場での株主総会集中日(注1)での定期株主総会開催率(「集中率」)は、コロナ禍の2020年以来6年振りに3割を超え、31%程度となる見通しとなった。3月期決算会社の定時株主総会の集中率は1990年代末には95%を超える水準だったが、企業の分散化の努力もあり、近年は20%台に落ち着いてきていた。今年については、従来の傾向が変化したと捉えるべきなのだろうか。

2. 平均開催日、開催中央値には変化は見られない
資料2は、ここ3年の全市場における3月期決算会社の定時株主総会の開催状況をグラフ化したものである。併せて、平均開催日、開催中央値を示したものだが、この資料を見る限り、平均開催日はここ3年同じであり、中央値でも今年は昨年同様、一昨年より1日早くなっている。このようなことから、全市場ベースでは、6月末近くの株主総会集中日への集中率が高まったとはいえ、定時株主総会が後ろ倒しとなっている傾向までは確認されない。
全市場ベースでいえば、2026年は月末近辺の営業日配置の影響もあり、集中日近辺に総会開催日が集まりやすかった可能性がある。

3. プライム市場で高まる“日程集中”
2026年の株主総会開催状況をプライム・スタンダード・グロースの市場別にみると、平均開催日や開催中央値について、大きな変化は確認されなかった。例えば、プライム市場の平均開催日は2024年・2025年がともに6月24日、2026年は6月23日であり、開催中央値も各年とも6月25日となっている(資料3)。

一方、開催の分布でみると、プライム市場では総会集中日前後への集中度が高まっている。集中日前後1日(計3日間)に開催された割合は、2025年の44.0%から2026年には52.0%へ上昇した。この点は、スタンダード市場やグロース市場では必ずしも同様の動きがみられないことと対照的である。平均開催日自体が大きく後ろ倒しになっているわけではない一方、プライム市場では、実際の開催可能期間が相対的に狭まっている可能性が示唆される。
さらに、2027年度から有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示義務の対象となる、時価総額3兆円以上のプライム企業(注2)について、営業日ベースでみると(注3)、開催日程の後ろ寄せ傾向がやや明確にみられる。
平均開催日は2025年の16.7営業日目から2026年には17.6営業日目へ、開催中央値も17営業日目から18営業日目へ後ろ寄せとなった。また、最後5営業日への開催集中割合は54.4%から69.0%へ上昇している。特に大型企業では、最後5営業日への開催集中割合も上昇しており、総会開催日程の自由度が低下している可能性もうかがわれる。
これらの企業では、サステナビリティ情報開示への対応に加え、有価証券報告書の総会前開示、英文開示、監査対応(注3)など、開示実務の高度化が進んでいる。こうした中、総会開催日を早期に設定することが実務上難しくなっている可能性も考えられる。

4. 最後に
2026年6月の株主総会は、「後ろ倒し」よりも「再集中の動き」が特徴となりそうだ。
特にプライム市場では、集中日前後への開催集中が高まる可能性が高い。サステナビリティ情報開示や総会前有価証券報告書開示(注4)など、開示高度化への対応が進む中、企業の総会日程設定の自由度が低下している可能性もある。総会日程を巡る問題は、単なる「集中日問題」ではなく、開示高度化と企業実務との調整を要する新たな局面に入りつつあるのかもしれない。
【注釈】
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株主総会集中日とは定時株主総会が最も多く開催される日で、具体的には6月の最後の平日の前の平日(その日が月曜日である場合はその前の金曜日)となる。2026年は6月27日。
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2025年は3月末決算会社のうち時価総額3兆円以上の会社は57社であった。このうち、双方とも3兆円以上会社が2025年度中に合併している。2026年は株価の上昇もあり、3月末決算会社のうち時価総額3兆円以上の会社は71社であった。なお、資料4の対象社は、2025年は上記の57社。2026年は71社のうち、金融庁に定時株主総会開催日の報告をしている58社である。
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ここでいう監査対応とは、サステナビリティ情報開示への対応に伴うデータ整備や保証対応に加え、有価証券報告書の総会前開示を見据えた監査スケジュールの前倒し対応等を指す。
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なお、現在、法務省の法制審議会の会社法制(株式・株主総会関係等)部会にて、会社法改正に向けた審議が行われ、3月に中間試案が公表されるとともに、5月23日までパブリックコメント手続きが実施された。この中間試案の中では、株主総会に提出する事業報告書等と有価証券報告書の開示の合理化が挙げられており、事業報告書と有価証券報告書の一体化の方向も示されている。
【参考文献】
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河谷善夫(2022年)「6月定時株主総会開催日の動向~集中開催の状況と今後の更なる分散化について~」
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河谷善夫(2023年)「【1分解説】株主総会集中日とは?」
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河谷善夫(2025年)「有価証券報告書の株主総会前開示の対応の確認~サステナ情報の開示と整合的で実のある制度の導入を~」
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河谷善夫(2026年)「プライム市場、「質」重視が鮮明に~2025年は上場社数減少も時価総額は過去最高~」
河谷 善夫
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。