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2025.12.19
日本経済
日本経済見通し
高市政権
エコノミスト大胆予測、2026年はこうなる『国内経済を取り巻く環境・政策動向』(2026年1月号)
熊野 英生
二つの重石
先行きの日本経済には二つの重石がのしかかってくる。1つは米国向け輸出にかかるトランプ関税。対米輸出、21兆円に対して15%がかかるとすれば、約3兆円の負担増になる。日本以外で活動するグローバル企業は、連結決算ベースではこの関税以外の部分でかかる負担もあるので、3兆円以上の負担になりそうだ。もう1つは中国人の訪日観光客が急減する悪影響。中国と香港を併せると、過去1年間で2.6兆円の消費規模になる。これがゼロになる訳ではないが、百貨店や航空、物流、多くの個人向けサービスが影響を受けそうだ。
では、2026年後半になれば、日本経済を取り巻く環境は改善していきそうなのか。筆者の答えはYESとみている。悪化する要因に対して2つのカウンター・パワーが表われてくると考えるからだ。有力なのは、賃上げである。例年3月半ばに大手企業を中心として春闘集中回答日が設定されている。2つの重石によって、賃上げ率が前年よりやや低くなるとしても、所得増につながるのは確かだ。米国経済も、利下げによって成長が加速する効果が期待される。2026年5月にFRB(連邦準備制度理事会)の議長が交代する見通しである。トランプ大統領の強い意向を受けて、積極的な利下げを行う人物をFRBのトップに据えよう。これは問題含みの人事だと思うが、米国経済は成長するだろう。トランプ大統領は、2026年11月に中間選挙を控えている。上院・下院の選挙で共和党が勝つために、2026年前半にかけて人気取りの政策を連発するだろう。またトランプ大統領が熱意を傾けることにはプラスもあって、ウクライナとロシアの戦争に和平の道筋をつけ、それほど遠からずに停戦合意に至る可能性もある。もしそうなれば、原油市況は下がり、両国の穀物生産が回復していく展望が開ける。
成長トレンド
日本の潜在成長率は0.5%前後であり、景気実感が2026年もそれほど良くなることはないだろう。ただ部分的に上向きの力が、じわじわと高まっていくことは期待できる。例えば、内閣府の景気動向指数・先行CIは2025年央から上向きを辿っている。背景のひとつには世界的にAI需要が底堅く、電気機械産業の決算は割と良好だ。米株価も、ハイテク銘柄がAIデータセンター需要などを背景に上昇している。世界半導体売上の月次データを確認しても、力強い伸びが、通常サイクルだと落ちそうな時期になってもまだ続いている。AI・半導体のバブルという話は株式市場ではよく聞くが、実際のところ実需の強さが続いているので、崩壊が起こるという展開は現実味をもって捉えられていない。2026年中の要注意テーマとして、AI・半導体の需要の行方を注視しておいた方がよいとは思う。
景気循環として考えると、2020年春にコロナ禍で大きく世界経済が落ち込んでから、2026年は6年目の景気拡大局面を迎えることになる。この間、2022年後半に小さな調整局面が来て、2025年は再び調整色が濃くなるところにトランプ関税の発表(4月)が重なった。目下は、その影響を徐々に回復させているところである。
高市政権
昨年10月に就任した高市首相は、大規模な財政政策で経済を強くしようと息巻いている。経済学的に考えると、今需要を増やすことは物価上昇圧力を強めるだけだ。看板は「供給力強化」と書かれていても、昨年末の大規模補正予算だけを見ていると、少し違うようにも感じる。インフレと円安圧力を高めると、個人消費にはマイナスである。日銀がいかに円安圧力を封じる政策に徹するかが、2026年の実質成長率にも影響を与える。高インフレなき経済成長に向けたポリシーミックスの実現が望まれる。
熊野 英生
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

