合成予想インフレ率の動向(2026Q2)

~遂に2%を突破~

星野 卓也

目次

合成予想インフレ率指標(5年後)は+2.05%に上昇、「2%」を突破

本日公表された「生活意識に関するアンケート調査」などに基づき、家計・企業・専門家の予想インフレ率を統合した合成予想インフレ率指標の推定を行った(方法は日銀を参考、筆者が一部アレンジ、図表の注釈を参照)。推定した2026年4-6月期の合成予想インフレ率指標は+2.05%と、前期(1.93%)から上昇率を高めた。本稿の推定方法では初めて2%を超える水準に達した。

予想インフレ率は日本銀行の説明する「基調的インフレ率」の一角である。日本銀行(2026)は基調的な物価上昇率を把握する手法として、①変動の大きい品目の除去、②中長期の予想物価上昇率を捉える、③経済モデルによる推定、の3種類のアプローチを示している。本稿推定値は②に相当するものだ。

①については、弊著「都区部版・消費者物価のコア指標(2026/06)~特殊要因除く系列を試算、全般的な基調は横ばい~加速~」(2026年6月26日)でもその動向をまとめている。実際物価の基調には底堅さがある一方、価格転嫁の加速を懸念するような状況にはなっていない。

①実際の物価の基調に鑑みれば、利上げを急ぐ必要性は現時点で必ずしも強くない。一方、②予想物価上昇率の2%到達は、日銀の利上げ路線を補強する材料の一つだ。企業や家計など各主体のインフレ期待の底堅さが確認されたことは、追加利上げに向けた判断を後押しする。年末までの追加利上げの方向性は固いとみられ、日銀は足元で再び不安定化しているイラン情勢を受けた資源価格の上昇が、消費者価格にどの程度転嫁されるか、中長期のインフレ期待に波及するかを見極めつつ、10月への前倒しを検討する構図となりそうだ。

図表
図表


(参考文献)

日本銀行(2026)「基調的な物価上昇率の概念と捉え方」日銀レビュー 2026-J-6

長田・中澤(2024)「期間構造や予測力からみたインフレ予想指標の有用性」日銀レビュー 2024-J-5

西野・山本・北原・永幡(2016)「『量的・質的金融緩和』の3年間における予想物価上昇率の変化」日銀レビュー 2016-J-17

大柴(2024)「インフレ予想の統計的推定の展開①~合成予想物価上昇率の有用性~」第一生命経済研究所 Economic Trends

星野 卓也


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

星野 卓也

ほしの たくや

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測

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