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2026.04.01
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コロンビア中銀は2会合連続利上げの一方、政府との対立は一層鮮明に
~原油高はマクロ面でプラスも物価に懸念、ペソ相場は当面外部環境に左右される展開続く~
西濵 徹
- 要旨
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- コロンビア中央銀行は、3月31日に開催した定例会合において、政策金利を100bp引き上げて11.25%とすることを決定した。1月に続く2会合連続の利上げであり、引き締め姿勢を強めている。低成長が続くなか、政府・左派与党は中銀に利下げを求めてきたが、中銀は政府の圧力に反して利上げに動いており、両者の対立が鮮明になっている。
- コロンビアではここ数年インフレ率が中銀目標を上回るなか、最低賃金の大幅引き上げや財政出動、原油価格の上昇がインフレ圧力をさらに高めている。こうした状況が追加利上げを後押しした。委員会では意見が大きく割れたほか、アビラ財務相は決定を批判して政策委員会への参加を拒否する異例の対応をとった。一方、ビジャル総裁は中銀の独立性を強調し、政治圧力を拒絶する姿勢を示すなど、両者の対立は一段と先鋭化している。
- 中東情勢の緊迫化による「有事のドル買い」や、原油高により多くの新興国通貨が圧迫されるなか、コロンビアペソは原油関連収支の黒字や、米国とコロンビアの関係改善への期待から比較的堅調に推移している。先行きは中東情勢や原油価格の動向に左右される展開が続く見込みだが、市場が落ち着けば高い実質金利の投資妙味にも注目が集まる可能性がある。
コロンビア中央銀行は、3月31日に開催した定例の金融政策委員会において、政策金利を100bp引き上げて11.25%とすることを決定した。同行は1月の定例会合で1年半ぶりの利上げを実施しており(注1)、今回は2会合連続の利上げと、引き締め姿勢を強めている。1月の利上げ実施に際しては、7名の政策委員のうち4名が100bpの利上げ、2名が50bpの利上げ、1名が据え置きを主張するなど意見が割れたことが明らかにされた。その一方、中銀の決定に対して、アビラ財務相をはじめ政府が公然と批判する動きをみせるなど、対立する動きもみられた。同国は輸出の約3割を米国向けが占めるなど、米国経済との関係が深い特徴を有する。こうした状況ながら、2022年に就任したペトロ大統領は反米左派色が強く、トランプ米大統領とは度々イデオロギーの違いを理由に対立してきた。さらに、ここ数年の同国経済はインフレと通貨安に直面したほか、中銀による引き締め政策に伴う金利高も重なり、低成長が続いてきた。したがって、政権や政権を支える左派与党は、景気浮揚を図るべく中銀に対して度々利下げ実施を要求するなど、独立性を毀損することが懸念されてきた。しかし、中銀は政府の圧力に反して利上げに動くとともに、追加利上げを決定するなど、両者の対立が一段と鮮明になっている様子がうかがわれる。

背景には、インフレ率が中銀目標(3±1%)の上限を上回る推移が続いているうえ、政府が最低賃金を1月から22.7%引き上げたことも影響し、足元で加速に転じる兆しが出ていることがある。2月のインフレ率は前年同月比+5.3%、コアインフレ率は同+5.5%とともに目標を上回る推移をみせた。食料品など生活必需品を中心とする物価上昇に加え、財政出動もインフレ圧力を増幅させている。また、このところの中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の上昇は、エネルギー価格のさらなる上振れを招くことが懸念される。同国は、原油や石油製品、天然ガスなどの収支(輸出と輸入の差し引き)がGDP比で2.2%程度の黒字になると試算されるため、原油価格の上昇はマクロ面でプラスの効果をもたらすと期待される。しかし、精製施設の問題などを理由に石油製品を輸入に依存しており、先行きは全世界的な原油供給懸念の影響を免れない。こうした事情が中銀の追加利上げ決定を後押ししたとみられる。なお、今回も7名の政策委員のうち4名が100bpの利上げを主張し、1名が据え置きを主張する一方、2名が50bpの利下げを主張するなど、意見の方向性も大きく割れた模様である。アビラ財務相は今回の決定を批判し、政策判断と実体経済の整合性を取るといった課題を解決するまで、政府代表の政策委員会への参加を見合わせる方針を明らかにしたうえで、記者会見への出席も拒否する異例の対応をみせた。一方、会合後に記者会見に臨んだ同行のビジャル総裁は、政策運営の正当性を主張したうえで、中銀の独立性を重視する観点から政治圧力を拒絶する考えを強調、政府代表の参加見合わせは憲法規定に反すると苦言を呈するなど、政府と中銀の対立が先鋭化している様子が確認されている。

金融市場においては、中東情勢の緊迫化を受けて「有事のドル買い」の動きが活発化していることに加え、原油価格の上昇は原油輸入国を中心とする新興国通貨を圧迫する動きが確認されている。こうしたなか、コロンビアの通貨ペソについては、前述したように同国が原油関連収支の黒字を抱えるなど、原油高がプラスに作用するとの見方も影響して比較的堅調に推移している。さらに、2月のペトロ氏とトランプ氏による直接会談を経て、両国関係に雪解けの兆しがうかがえるなど、低迷してきた実体経済の追い風となる期待もペソ相場を下支えしている。先行きのペソ相場については、中東情勢や、それに伴う原油価格の動向に左右される展開が続くことは避けられない。その一方で、中銀が独立性を重視する政策運営を志向しており、市場環境が落ち着きを取り戻せば、実質金利(政策金利-インフレ率)のプラス幅の大きさという投資妙味に注目が集まることも期待される。こうしたことから、当面は外部環境の動向を注視しながらの展開が続くことが予想される。

注1 2月4日付レポート「米・トランプ氏とコロンビア・ペトロ氏が初会談、関係改善は進むか」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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西濵 徹

