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2026.03.24
日本経済
物価
物価指標(日本)
消費者物価指数(全国・2026年2月)
~22年3月以来の2%割れも、先行き不透明感は強まる~
新家 義貴

電気・ガス代補助により大幅鈍化
本日総務省から発表された26年2月の全国消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年比+1.6%と、前月の+2.0%から上昇率が大幅に縮小した(市場予想:+1.7%)。公表値ベースで+2%を下回ったのは22年3月以来のことになる1。
政府による電気・ガス代補助が2月請求分(1月使用分)から実施され、エネルギー価格が大きく押し下げられたこと(電気・都市ガス代の前年比寄与度:1月▲0.11%Pt → 2月▲0.38%Pt)が、前月からの伸び鈍化の主因である。電気・ガス代補助は昨年も同時期に実施されたが、昨年と比べて今回の補助額がかなり大きいことから、前年比で見ても押し下げ要因となっている。また、前年の高い伸びの裏により食料品価格の上昇率が鈍化したことの影響も大きい(生鮮除く食料品の前年比寄与度:1月+1.58%Pt → 2月+1.47%Pt)。食料品はまだかなり高い伸びのままだが、前年比では7か月連続で鈍化しており、ピークアウト感が鮮明だ。
エネルギー以外のコアコア部分については、日銀版コア(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)が前年比+2.5%(1月:+2.6%)と上昇率がやや鈍化(事前予想:+2.7%)、米国型コア(食料及びエネルギー除く総合)が前年比+1.4%(1月:+1.3%)とやや拡大となっている。先に公表されていた東京都区部の結果と比べて食料品の鈍化幅が大きかったことから、日銀版コアが予想と比べて下振れている。一方、エネルギー、食料を除いた米国型コアについては引き続き安定的に推移している。物価の基調に変化が生じている様子は窺えない。
食料品価格の鈍化が続く
電気・ガス代はマイナス寄与が前月から大きく拡大した。政府による電気・ガス代補助が2月請求分(1月使用分)から期間限定で実施されていることが影響している。これにより電気・都市ガス代の前年比寄与度は▲0.38%Ptと、1月の▲0.11%Ptからマイナス寄与が大きく拡大しており、今月のCPIコア鈍化分の多くがこれで説明可能である。補助自体は昨年も同時期に実施されたが、昨年対比で補助額が大きいため、前年比でも大きな下押しとなっている。なお、この補助は2月~4月請求分の期間限定であり、かつ4月には補助が縮小される。補助金による押し下げ寄与が4月に縮小することには注意しておきたい。
ガソリン価格は前年比▲14.9%と大幅な下落が続いた(1月:▲14.6%)。ガソリン旧暫定税率の廃止による下押しが続いている。なお、原油価格の急騰によりガソリン価格も足元で急上昇しているが、政府が補助金支給を決定したことにより、今後価格は170円/ℓ程度まで低下する見込みである。価格高騰前の150円台後半と比べれば10円以上高いものの、ガソリン・灯油価格の急騰により物価が大きく押し上げられるといった事態は回避されそうだ。
食料品(生鮮除く)は前年比+5.7%(前年比寄与度:+1.58%Pt)と前月の+6.2%(同寄与度:+1.47%Pt)から鈍化した。引き続き高い伸びだが、前年比でみればピークアウト感が鮮明となっている状況は変わらない。昨年の急上昇の裏が出たことで米類(前年比:1月+27.9%→2月+17.1%)が鈍化していることが目立つ。前年に積極的な値上げが実施されていたことの裏が出る関係で、この先も食料品価格は伸びが鈍化しやすい状況が続くだろう。
エネルギー以外のコアコア部分については、前述のとおり日銀版コアの上昇率がやや鈍化、米国型コアがやや拡大となった。日銀版コアは食料品価格鈍化によるところが大きい。米国型コアについてはこれまで通り前年比+1%台半ばでの安定的な推移が続いていると見て良いだろう。物価の基調に変化はみられない。
原油高と円安により、先行き不透明感が強まる
先行きの物価については不透明感が強まっている。ガソリン・灯油価格については、政府が補助金支給により極端な価格上昇を抑制する方針を示しており、ガソリン・灯油主導で物価が大きく上振れるという事態は当面回避されそうだ。電気・ガス代についても、上昇するのはまだ先である上、政府が再び補助金投入で秋以降の価格上昇を抑える可能性もある。
一方、エネルギー以外の価格については不透明感がある。25年10月の値上げラッシュの後、11月以降は食品値上げに一服感が出ているが、足元の原油価格高騰と円安の進行は今後の値上げの格好の材料となり得る。かつてと異なり企業が値上げをためらわなくなっている現在、円安と資源高を言い訳として値上げに踏み切る企業が増える可能性があるだろう。前述のとおり、前年の高い伸びの裏が出ることで、先行きの日銀版コアは鈍化しやすい状況にあるが、仮に円安・資源高を理由とした値上げが積極化した場合にはその限りではない。この場合、CPIが4月以降に再び+2%台に戻る展開も十分考えられるだろう。

1 参考値として公表されている小数第3位までの指数でみると26年1月に2%割れ。
新家 義貴
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。