2025年10-12月期GDP予測(1次速報)

~前期比年率+1.5%とプラス成長を予想~

新家 義貴

2四半期ぶりのプラス成長を予想

2月16日に公表される2025年10-12月期の実質GDP成長率を前期比年率+1.5%(前期比+0.4%)と予測する1。7-9月期は法改正に伴う駆け込み需要の反動によって住宅投資が急減したことで前期比年率▲2.3%の大幅マイナス成長となっていたが、この悪影響が一巡したことでプラス成長に戻る形である。また、関税引き上げの下でも米国経済が底堅さを保ったことで、日本からの輸出底割れが回避されていることも重要だ。均してみれば、日本経済は緩やかな回復局面が続いていると判断される。

もっとも、物価高が続くなか、個人消費、設備投資とも小幅な増加にとどまるとみられるなど、牽引役が不在の状況は変わっていない。景気は上向いているものの、依然として回復力には欠けることに注意が必要である。

現時点では、26年1-3月期もプラス成長を予想している。米国経済が底堅く推移していることから輸出の緩やかな持ち直しが見込めることに加え、物価の鈍化に伴って実質賃金の下げ止まりが予想されることが下支え要因となるだろう。これまで賃金の伸びが物価上昇に追い付かず、実質賃金は減少が続いていた。だが、ガソリン旧暫定税率廃止や電気・ガス代補助金の再開といった政策要因もあり、1-3月期のCPIは前年比+2%を割り込む可能性が高く、実質賃金もプラス圏に浮上することが予想される。所得面での下押しが和らぐことが、個人消費の下支えになるだろう。

需要項目別の動向

個人消費は前期比+0.1%を予想する。均してみれば緩やかな増加傾向にあると判断できるが、物価上昇が続くなか、力強さに欠ける動きが続いている。食料品価格は前年比でみればピークアウト感が出ているものの、これは前年の高い伸びの裏が出ている面が大きい。企業による値上げの動きは収まっておらず、10-12月期のCPIを季節調整済前期比でみれば+0.7%と大幅上昇が続いている(7-9月期:+0.4%)。物価上昇による実質購買力抑制が個人消費の頭を押さえる状況は変わっていない。

設備投資は前期比+0.2%と2四半期ぶりの増加を予想する。高水準の企業収益が続いていることに加え、デジタル・省力化投資、研究開発投資などによる押し上げもあり、設備投資は均してみれば緩やかな増加傾向が続いていると判断される。トランプ関税の影響により設備投資が抑制されることが懸念されていたが、現時点で企業の設備投資意欲に陰りが出ている様子は窺えない。ただし、設備投資についても物価高の影響で一部抑制されていることには注意が必要だ。10-12月期の設備投資も、名目では高い伸びが見込まれるが、実質でみれば小幅な伸びにとどまることが予想される。

輸出は前期比+0.1%と微増を予想する。7-9月期は米国向けが落ち込んだことで減少していたが、さらなる落ち込みは避けられた模様。財輸出では小幅増になったとみられ、均してみれば財輸出は横ばい圏で推移していると判断される。トランプ関税による悪影響が懸念されたが、米国経済が予想以上の底堅さを保っていることもあり、足元で輸出が崩れる状況には至っていない。

一方、輸入は前期比▲0.6%と2四半期連続の減少が予想される。この輸入の減少が影響する形で、外需寄与度は前期比+0.1%Pt(前期比年率+0.5%Pt)と、成長率をやや押し上げると予想される。

民間在庫変動は前期比寄与度▲0.1%Ptと、成長率の押し下げ要因になったと予想する。1次速報段階では仮置きとなっている仕掛品在庫と原材料在庫でプラス寄与が見込まれる一方、製品在庫が下押しとなるだろう。

住宅投資は前期比+3.6%と増加を見込む。25年4月の建築基準法・省エネ法改正によって、住宅建設や大規模リフォームのコスト増・手続き負担増・工期長期化が生じた。こうした負担を嫌った多くの事業者が改正前に着工を前倒ししたことで3月の住宅着工は急増したが、駆け込み需要の反動が生じたことで4-6月期の着工は歴史的な減少となった。この着工減がタイムラグをもって住宅投資に反映されたことで、7-9月期の住宅投資は前期比▲8.2%と急減していたが、10-12月期にはこうした悪影響が和らいだことで、前期比では反発することが予想される。

図表1
図表1


11月30日時点で入手可能な経済指標を元に作成している。国際収支や家計調査等、今後公表される経済指標の結果を踏まえて予測値を修正する可能性がある。

新家 義貴


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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