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2025.09.25
新興国経済
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トランプ米政権の支援でアルゼンチンのミレイ改革は継続できるか
~金融市場は期待も過度な楽観は禁物、いずれにせよ「国民の審判」が左右する状況は変わらず~
西濵 徹
- 要旨
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アルゼンチン金融市場では、ブエノスアイレス州議会選での与党惨敗を受けて混乱が続いた。これにより、中間選挙で与党が苦戦し、ミレイ政権の改革路線に黄信号が灯るとの懸念から、通貨ペソ安や株価下落が進むなど資金流出が進行した。中銀は為替介入を強いられ、外貨準備高が減少する事態に直面した。
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しかし、ニューヨークでの国連総会に合わせた米国との首脳会談を経て、トランプ米大統領はミレイ政権の改革の全面支持を明らかにした。さらに、ベッセント米財務長官も金融支援を行う方針を表明しており、国債購入や信用供与、スワップ協定などを通じて、ミレイ改革の前進を側面から支援する姿勢を示している。
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米国による支援表明を受けて、金融市場では国民の不満に晒されるミレイ政権の緊縮財政の継続が可能になるとの見方が広がり、ペソ相場と株価は持ち直している。しかし、米国による支援への過度な期待は禁物であり、今後の改革の成否は中間選挙の結果に掛かっている状況は変わらず、慎重にみる必要がある。
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アルゼンチン金融市場では、今月7日に実施された首都ブエノスアイレスに隣接するブエノスアイレス州議会選挙においてミレイ政権を支える与党「自由の前進」が惨敗を喫したことをきっかけに、混乱の動きが広がった(注1)。同国では10月26日に連邦議会の代議院(下院)の半数、元老院(上院)の3分の1が改選される中間選挙が予定されている。自由の前進は連邦議会上下院双方で少数派に留まるが、ミレイ政権は連立政党や中間派政党の協力を得る形で、いわゆる『破綻国家』の立て直しに向けて構造改革を進めてきた。しかし、中間選挙の前哨戦とみられた同選挙では、最大野党「正義党(ペロン党)」を中心とする野党連合(祖国連合)が事前の世論調査を上回る形で勝利を収めた。よって、中間選挙では与党連立や中間派政党にとって厳しい結果になるとともに、その後はミレイ政権が進める改革路線に『黄信号』が灯るとの懸念が広がったことが市場の混乱に繋がった。その結果、通貨ペソの対ドル相場や主要株式指数(メルバル指数)はともに調整の動きを強めるなど、資金流出圧力が強まる事態に直面した。

資金流出に伴うペソ安圧力が強まり、中央銀行は通貨防衛を目的とする為替介入を迫られたため、潤沢ではないアルゼンチンの外貨準備高は減少するなど、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の脆弱さが増した。こうしたなか、ニューヨークで開催される国連総会に合わせて、トランプ米大統領と同国のミレイ大統領による会談が行われることが明らかになり、金融市場においてはその内容に注目が集まった。というのも、ミレイ氏は元々リバタリアン(自由至上主義)を標榜する経済学者であり、個人的にトランプ氏を『崇拝』しているとされている。昨年の米大統領選においてトランプ氏が勝利した直後には電話会談が行われたほか、トランプ氏の大統領就任式にミレイ氏が出席するなど、両者の蜜月ぶりがうかがわれた。こうしたなか、会談後にトランプ氏はミレイ氏を全面的に支持する方針を示すとともに、ベッセント米財務長官も2,195億ドルの為替安定化基金を活用した同国のペソ建て及びドル建国債の購入や信用供与枠提供のほか、通貨スワップ協定の導入などを検討している旨を明らかにした。さらに、世界銀行も、今年4月に公表した同国に対する総額120億ドルの支援パッケージのうち最大40億ドル分の観光業の雇用創出などを目的とする部分の進捗を加速させる方針を明らかにしている。米国による支援表明などを受けて、上述のように調整圧力に直面したペソ相場や主要株式指数は持ち直しの動きが確認されるなど、素直に好感している様子がうかがえる。この背景には、ミレイ政権が主導する緊縮財政は国民からの不満に晒されており、中間選挙に向けて政策転換を迫られる可能性が懸念されたものの、米国の支援により緊縮策が継続可能との見方が広がったことが影響している。

しかし、ブエノスアイレス州議会選では、事前の世論調査において与野党が接戦になるとの見方が示されていたにもかかわらず、予想外の形で野党が勝利するなど事前予想が大きく外れたことがその後の金融市場の混乱を招く一因になったと捉えられる。足元の金融市場では、米国による支援がミレイ政権、そして与党の追い風になるとの期待が高まっているものの、過度な期待を抱くことは依然として難しいのが実情であろう。ミレイ政権の成否を巡っては、国民の審判の行方を見守る必要があることは間違いない。
注1 9月9日付レポート「アルゼンチン・地方選で与党惨敗、ミレイ改革の行方に「黄信号」」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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