基調判断が「悪化」に下方修正(25年5月景気動向指数)

~現在は景気後退局面ではないが、今後は分からない~

新家 義貴

基調判断は「悪化」に下方修正

内閣府から公表された2025年5月の景気動向指数では、CI一致指数が前月差▲0.1ポイントとなった。内訳では、投資財出荷指数や耐久消費財出荷指数などがプラスになった一方、有効求人倍率や小売業販売額、卸売業販売額などがマイナスとなり、全体では僅かながらマイナスとなった。

この結果、CI一致指数の基調判断は、これまでの「下げ止まり」から「悪化」へと下方修正された。「悪化」判断は2020年7月以来のこととなる(2019年8月~2020年7月が「悪化」)。「悪化」判断の定義は「景気後退の可能性が高いことを示す」であり、CI上は景気後退が示唆される状況となっている。

もっとも、①過去の景気後退局面と比較してCIの落ち込み度合いがかなり軽微であること、②日銀短観等、CI以外の経済指標では景気後退と言えるほどの落ち込みにはなっていないこと、などを踏まえると、景気が現時点で後退局面に陥っているとまで見る必要はないだろう。景気動向指数は製造業部門主体の系列で構成されており、現在底堅い動きとなっている非製造業部門の動向を反映しきれていない点も重要だ。2020年5月を谷とする景気回復局面はまだ継続中と見ておきたい。

だが、後退まではいかないにしても、牽引役不在のなか景気の回復力は非常に鈍く、回復というよりは横ばいに近い状態にあることは事実だろう。また、問題なのは、トランプ関税の悪影響が本格化する前であるにも関わらず、日本経済がこうした脆弱な状態に置かれているということだ。今後、関税引き上げの悪影響が本格化するなかで輸出の下振れや企業業績への下押しが生じた場合、そうしたショックに日本経済が耐えられるだけの体力があるのだろうか。今はまだ後退局面ではないにせよ、関税問題の悪影響次第では、この先景気後退局面入りする可能性は十分あるだろう。今回の基調判断下方修正は、こうした点を改めて意識させることとなった。

図表
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新家 義貴


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新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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