FRBは4会合ぶりに政策金利の据え置きを決定 (25年1月28、29日FOMC)

~利下げの条件は、インフレの一段の低下、あるいは労働市場の更なる軟化~

桂畑 誠治

目次

FRBは政策金利を据え置き4.25~4.50%とすることを決定

25年1月28、29日に開催されたFOMCで、FRBは政策金利を予想通り4会合ぶりに据え置き、FFレート誘導目標レンジを4.25~4.50%に維持することを全会一致で決定した。他方、バランスシートの縮小策の継続を決定した。24年に1%の大幅な利下げを実施したことで引き締めの程度が弱まったなか、景気が好調さを維持し、労働市場が堅調に推移する一方、インフレ低下の動きが停滞したこと等を背景に、政策金利の据え置きが決定された。

パウエルFRB議長は「米国経済は全体的に好調で、過去2年で目標に向けて大きな前進を遂げた」とソフトランディングに近づいているとの見方を示した。労働市場の状況について、「以前の過熱した状態から落ち着き、引き続き堅調」と評価した。また、「インフレ率は、依然としてやや高い水準ではあるものの、2%の長期目標にかなり近づいた」との見方を示した。そのうえで、利下げによって「抑制の程度が著しく弱まった中、経済は引き続き堅調なため、われわれの政策スタンスを急いで調整する必要はない」と、政策金利の据え置きが適切な状況であることを強調した。

追加利下げの条件として、議長は「調整を検討する前に、インフレの実際の進展」、あるいは「労働市場の弱さ」を確認する必要があるとした。

声明文での景気判断は変わらず、雇用、インフレ判断は上方修正

FOMC声明文で、景気判断は変更されなかったが、雇用判断、インフレ判断は上方修正された。景気判断は、前回同様「経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している」と経済は堅調との見方が維持された。

一方、雇用情勢について声明文では、今回「失業率はここ数カ月低水準で安定しており、労働市場は引き続き堅調」と前回「今年の早い時期以降、労働市場の状況は概ね緩和してきた」から短期間の評価に変更したうえ、上方修正した。また、パウエル議長も「雇用創出は失業率を一定に保つ水準に一致している」と前回から判断を上方修正した。議長は前回「労働市場の下振れリスクは減少したものの、依然として軟化している」と慎重な見方を維持し、「雇用創出は失業率を一定に保つ上で必要な水準を下回っている」との判断を示していた。

ただし、引き続きインフレ低下のため、これ以上の労働市場の軟化は必要ないとの見方を維持した。

インフレについて声明文では、今回「インフレ率は依然としてやや高い水準」と前回「インフレは委員会の目標である2%に向けて前進しているが、依然としてやや高い水準」から、足元のインフレ統計が前年比で上昇したことを受け、2%に向けて前進との文言が削除される形で、上方修正された。ただし、パウエル議長はインフレに関する文言の変更について「単に文を短くするという決定であり、何らかの有意なシグナルを送るものではない」と説明したうえで、「インフレを巡る状況は引き続き改善していくと予想している」と今後インフレが低下するとの見方を維持した。

図表
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FRBの目標達成に向けたリスク判断変わらず、概ね均衡も両サイドのリスク注視を継続

リスクについて声明文で、前回同様「委員会は、雇用とインフレの目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断した」とリスクバランスに関して、インフレの低下、労働市場の軟化によって、ほぼ均衡したとの判断を維持。そして、声明文で前回同様「経済見通しは不確かであり、委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」と引き続き、インフレ率の上昇に加えて、労働市場悪化のリスクを注視していることを示した。

FRBは追加利下げに関して、より慎重に決定する方針を維持

FRBの金融政策スタンスを示すFOMC声明文は、前回同様「FF金利の目標レンジの追加調整の幅とタイミングを検討する際、委員会は今後のデータ、今後の見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」と、追加利下げの判断を慎重に行う姿勢を維持した。

また、パウエル議長は「我々は、事前に決められた道筋をたどっているわけではない」と改めて指摘したうえで、「経済が引き続き好調さを維持し、インフレが2%に向けて持続的に低下しなければ、我々はより長期間にわたり抑制的な政策金利を維持する」とインフレを重視していることを示した一方、「労働市場が予想よりも急速に弱まるか、悪化すれば、それに応じて政策を緩和することができる」と労働市場が悪化すれば、利下げを実施することを強調した。

議長は、「政策は、我々が二重の使命の両面を追求する上で直面するリスクと不確実性に十分対応できる態勢が整っている」と上記のようなリスクのほか、不確実性の高いトランプ政権による財政、規制、関税、移民政策について、忍耐強く観察し、理解を深め、事態の進展を見守る余裕があり、その経済的な影響にも対応できるとの認識を示した。

バランスシートの縮小は継続

バランスシートの縮小は継続する。24年6月1日から保有証券の圧縮は月間上限額600億ドル(950億ドル)に減額された。米国債の上限額を250億ドル(600億ドル)に減額した。一方、エージェンシー債、政府支援機関保証付き住宅ローン担保証券の上限額は350億ドルに維持したうえ、これを上回る額を国債に再投資する。

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FF先物市場は、FOMC参加者の25年末の予想中央値に近い織り込みに

金融市場では、声明文でインフレが2%に向かって進展しているとの文言が削除されたことから、FRBがタカ派的になったとの懸念が強まり、金利が上昇し、ドルが主要通貨に対して強含み、株価は水準を切り下げた。その後、パウエル議長が記者会見でインフレに関する文言の変更について単に文を短くしただけで、何らか有意なシグナルを送るものではないと説明したうえ、「インフレを巡る状況は引き続き改善していくと予想している」との見方を示したことなどを受け、金利が低下に転じたほか、ドルが下落し、株価は持ち直した。

FF金利先物市場では、25年3月FOMCでの据え置きの可能性が約82%(前日約68%)に上昇した。また、25年末で3.88%とFOMC参加者の25年末の予想中央値(3.875%)程度に上昇した。

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FRBは25年に2、3回の利下げを実施し、3.75%程度が目処

今後のFRBの金融政策について、FRBはPCEコアデフレーターが財価格の下落やサービスコアの緩やかな伸び鈍化により、前年比+2%に向けて緩やかに低下するとみられ、実質FF金利の高い水準によって景気は減速すると予想される。景気が減速するなかで、PCEコアデフレーターは年末にかけて前年比+2%台前半に低下するとみられ、FRBは25年中に25bpの利下げを2、3回実施、その後様子見に転じると予想される。

【参考】ドットチャートは25年の利下げ回数が2回に減少(9月4回)

同時に公表されたFOMC参加者の経済・金利予測(24年12月)では、米経済成長率とインフレ見通しが上方シフトし、失業率は下方シフトした。予測に、トランプ新政権の予想される政策の影響を一部の参加者は織り込んだが、一部の参加者は織り込まなかったほか、一部の参加者は織り込みの有無を明らかにしなかった説明されており、今回のFOMC参加者の予測はいつも以上に不透明感が高い。ドットチャート(FFレート誘導目標レンジの中央値、年末)では、インフレ予測の上方シフトを主因に、25年末3.875%(前回9月3.375%)、26年3.375%(前回2.875%)、27年2.875%と上方シフトした。利下げ回数は、25bpを1回とすれば、25年2回(前回4回)と減少した。しかし、26年2回(2回)が維持され、27年1回(前回0回)に増加しており、全体としては利下げペースの鈍化を示している。

FOMC参加者が中立金利と推測する長期は、3.000%(前回2.875%)と上方シフトしており、中立金利が上昇したと考える参加者の増加が示されたが、足元の金融政策運営への影響はない。

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桂畑 誠治


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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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