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2025.01.29
アジア経済
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オーストラリア、コアインフレの鈍化確認でRBAの利下げに道か
~インフレ率、コアインフレ率ともにRBA目標域に収束、利下げのハードルは低下したと判断するか~
西濵 徹
- 要旨
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- 足下のオーストラリア経済は、RBAの高金利政策の長期化が内需の重石となり、外需も勢いを欠くなど、頭打ちの動きを強めている。よって、金融市場ではRBAによる政策動向が注目されている。他方、RBAは先月の定例会合で政策スタンスを「ややハト派」に傾斜させる一方、政策運営は「データ次第」とした。その後の経済指標はまだら模様の動きをみせる一方、インフレは着実に頭打ちするとともに、上昇が続いた不動産価格も頭打ちに転じるなど変化の兆しがみられる。こうしたなか、10-12月はRBAが注視するコアインフレ率は目標を上回るも一段の鈍化が確認されている。さらに、12月単月ではインフレ率、コアインフレ率、RBAが重視する物価指標のいずれも目標域に収まる動きが確認されるなど、RBAにとっては利下げに道が開かれつつあると判断できる。足下の金融市場では米トランプ政権発足を前にした米ドル高の動きに一服感が出ているものの、先行きはRBAの利下げが意識されるなかで豪ドルの対米ドル相場は上値が抑えられるとともに、日本円に対しても上値の重い推移をみせる可能性が高まっていると判断できる。
足下のオーストラリア経済を巡っては、アルバニージー政権による景気下支え策にも拘らず、RBA(オーストラリア準備銀行)による高金利政策の長期化を受けて家計消費や住宅投資など内需が幅広く鈍化するとともに、最大の輸出相手である中国経済を巡る不透明感が外需の足かせとなるなど、総じて頭打ちに繋がる状況に直面している(注1)。こうしたなか、上述のようにRBAによる高金利政策が内需の足かせとなっていることに加え、アルバニージー政権が実施した物価抑制策を受けて足下のインフレが頭打ちの動きを強めていることも重なり、国際金融市場においてはRBAによる政策転換がいつ行われるかに注目が集まっている。なお、RBAが先月に開催した直近の定例会合では、足下のインフレ鈍化を好感する形で先行きの政策運営について『ややハト派』に傾斜する姿勢をみせる一方、インフレの粘着殿高さを警戒して慎重姿勢を維持する考えをみせるなど、判断を巡る困難さが増している様子がうかがわれた(注2)。これは、アルバニージー政権が実施する電力への補助金政策を反映してエネルギー価格は下振れしており、足下のインフレ率はRBAが定める目標(2~3%)の範囲内に収まるなど落ち着きを取り戻している一方、コアインフレ率は目標を上回る推移が続いてきたことが影響している。さらに、先行きの政策運営を巡って「データ次第」との考えを示したことから、その後に公表される経済指標の動きに注目が集まる展開が続いている。その後に公表された物価指標は、インフレ率は加速するも目標域内で推移する一方、コアインフレ率は目標を上回る推移が続くも伸びが鈍化するなど、その判断が難しい内容となっているほか(注3)、雇用統計は非正規雇用を中心に底堅さがうかがわれるなど、物価上昇圧力に繋がる材料が混在する展開が続いてきた(注4)。他方、RBAが高金利政策を維持する一因となってきた上昇基調が続く不動産価格を巡っては、先月に2年弱ぶりに前月比がマイナスとなるなど頭打ちの動きが確認されるなど、物価への影響を含めて変化しつつある様子がうかがえる。よって、国際金融市場においてはRBAが来月19日に開催予定の次回の定例会合に向けて物価の動きに注目が集まってきたなか、10-12月のインフレ率は前年同期比+2.4%と前期(同+2.8%)から鈍化するとともに、2四半期連続で目標域のなかで推移するなど落ち着いた動きをみせている。一方、コアインフレ率(トリム平均値)は前年同期比+3.2%と引き続き目標を上回る推移が続いているものの、前期(同+3.6%)から鈍化して丸3年ぶりの伸びとなるなど頭打ちが確認されている。また、12月単月ベースでは前年同月比+2.5%と前月(同+2.3%)からわずかに伸びが加速しているものの、5ヶ月連続で目標域において推移するなど落ち着いた動きをみせている。なお、前月比は+0.81%と前月(同+0.49%)から上昇ペースが加速しており、豪ドル安の進展を受けた輸入物価の押し上げを反映して貿易財を中心とする財価格が大きく上昇していることが影響している。さらに、12月のコアインフレ率は前年同月比+2.7%と前月(同+3.2%)から鈍化して丸3年ぶりに目標域に収まるなど、先月の定例会合において警戒する考えをみせたコアインフレ率も落ち着きを取りしている様子がうかがえる。そして、RBAが注視しているとされる物価変動の大きい財と観光を除いたベースのインフレ率も12月は前年同月比+2.7%と前月(同+2.8%)から鈍化しており、インフレ率、コアインフレ率とともにいずれも目標域に収まっている。前月比も+0.00%と前月(同+0.65%)から上昇ペースが鈍化するとともに、非貿易財の物価も鈍化する動きが確認されるなど、幅広くインフレ圧力が後退している様子がうかがえる。こうした状況を勘案すれば、足下の物価はRBAの利下げ実施に向けた道を開く可能性が高まっていると判断できるなか、豪ドルの対米ドル相場は米トランプ政権の発足を前にした米ドル高の動きに一服感が出ているものの、当面はRBAの利下げが意識されるなかで上値が抑えられるとともに、日本円に対しても上値の重い推移をみせる可能性が高まっている。



注1 2024年12月4日付レポート「オーストラリアは一段の景気頭打ち、RBAの「次の一手」はどうなる」
注2 2024年12月10日付レポート「RBAは「ややハト派」シフトも、豪ドル相場は好悪の材料が綱引き」
注3 1月8日付レポート「足下の物価はRBAの2月利下げ判断の「決定打」となるか」
注4 2024年12月12日付レポート「金融市場が抱くRBAの早期利下げ観測を挫く、堅調な雇用統計」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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