インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

足下の物価はRBAの2月利下げ判断の「決定打」となるか

~インフレ加速もコアインフレ鈍化、経済指標は好悪混在が続き、豪ドル相場はこう着状態が続くと予想~

西濵 徹

要旨
  • 足下のオーストラリア経済は頭打ちの動きが確認されるなか、RBAは先月の定例会合で金利据え置きを決定する一方、政策スタンスをハト派方向に傾斜させる動きをみせた。結果、足下の豪ドル相場は国際金融市場における米ドル高の再燃も相まって上値が抑えられる一方、日本円に対しては米ドル/円相場に引っ張られる動きが続く。その後に公表された経済指標は好悪双方の材料が混在するなか、11月のインフレ率は前年比+2.3%とわずかに加速する一方、コアインフレ率は同+3.2%と鈍化するなど対照的な動きをみせる。また、RBAが重視する物価変動の大きい財と観光を除いたベースも前年比+2.8%と加速している。RBAは来月18日に次回会合を予定しているが、現時点で確定的な利下げを示唆する材料は乏しいと判断できるなか、当面の豪ドル相場はこう着した動きをみせる可能性が高まっていると見込まれる。

オーストラリア経済を巡っては、アルバニージー政権が今年度(2024-25年度)から実施している電力料金を対象とする補助金政策を受けてインフレが下振れするとともに、所得税減税の影響も重なり、頭打ちが続いた流れに変化が生まれることが期待された。しかし、最大の輸出相手である中国経済を巡る不透明感が輸出の足かせとなっている上、商品市況の重石となるなかで交易条件指数は低下するなど国民所得を下押しする展開が続いている。さらに、RBA(準備銀行)による引き締め長期化を受けた債務負担の増大も重なるなか、7-9月の実質GDP成長率は前期比年率+1.34%と力強さを欠くとともに、中期的な基調を示す前年同期比では+0.8%と4年弱ぶりの伸びとなるなど頭打ちが確認されている(注1)。こうした事態を受けて、RBAは先月の定例会合で政策金利を据え置く一方、先行きの物価抑制に自信をみせるとともに、政策スタンスを巡って『ハト派』姿勢に傾斜している様子がうかがわれるなど、将来的な利下げに含みを持たせる考えをみせた(注2)。RBAがハト派姿勢に傾斜する考えを示していることに加え、米大統領選でのトランプ氏勝利を受けて、米国のインフレ再燃により米FRB(連邦準備制度理事会)の利下げペースの鈍化が意識されていることも重なり、その後の国際金融市場においては米ドル高圧力が強まる動きがみられる。結果、豪ドルの対米ドル相場は頭打ちの動きを強める展開をみせているほか、日本円に対しても上値は重いものの、米ドル/円相場の動向に引っ張られる動きをみせている。その後に公表されている経済指標を巡っては、雇用を取り巻く環境は正規雇用を中心に堅調さがうかがえるなど、インフレ圧力の粘着度の高さに繋がる動きが確認される一方(注3)、昨年12月の不動産価格はRBAによる引き締め長期化の影響で小幅ながら22ヶ月ぶりの下落(前月比▲0.1%)に転じており、最高値を更新する展開が続いた不動産を取り巻く環境に変化が生じる兆しがうかがわれるなど、好悪双方の材料が混在する動きをみせている。よって、RBAの先行きの政策運営を巡っては、物価が想定通りの動きをみせるか否かに注目が集まるなか、11月の消費者物価は前年同月比+2.3%と前月(同+2.1%)から伸びが加速するも、4ヶ月連続でRBAが定めるインフレ目標(2~3%)の範囲内で推移するなど引き続き落ち着いた動きをみせている。なお、RBAが先月の定例会合で金利据え置きを決定する理由に挙げた高止まりしている基調インフレ(コアインフレ)を巡っては、前年同月比+3.2%と前月(同+3.5%)から伸びが鈍化するも、引き続きインフレ目標の上限を上回る推移が続いている。他方、RBAが重視しているとされる物価変動の大きい財と観光関連を除いたベースでは前年同月比+2.8%と前月(同+2.4%)から伸びが加速するも、インフレ率同様に目標域内で推移しており、物価動向の判断は極めて難しい状況にあると捉えられる。内訳をみると、ガソリンや電気などエネルギーや、食料品など生活必需品を中心に物価上昇圧力が強まるとともに、堅調な雇用環境を反映してサービス物価にも押し上げ圧力が掛かる動きがみられるなど、幅広くインフレ圧力がくすぶっている様子がうかがえる。RBAは来月18日に次回の定例会合を予定しており、今月末に12月(10-12月)の物価統計が公表されるなか、その結果を踏まえて最終的な方向性を決定することが予想されるものの、現時点においては次回会合での利下げが決定的な材料とはなっておらず、当面の豪ドル相場についてはこう着した展開が続くことが予想される。

図表
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以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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