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- 2025年1月FOMCプレビュー
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1月FOMC(1/28~29開催)にてFRBは政策金利を据え置く見通しだ。FRBは24年9月から3会合連続で利下げ(計1.0%pt)を実施した一方、足下でインフレ再燃への懸念が残るなか、今後は利下げペースを緩めるとみられている。
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声明文における景気・物価認識は概ね前回の内容を踏襲する可能性が高い。すなわち、経済は雇用を含めて堅調であり、インフレ率は減速しつつも高止まりしているとの判断を示すと見込まれる。
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先行きの利下げペースを巡って、パウエル議長は引き続きデータに基づき判断する姿勢を示す可能性が高い。一方、トランプ新政権による関税・移民政策が金融政策に与える影響に関して、具体的な言及がみられるかが注目される。
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4会合振りの利下げ見送り
1月FOMC(1/28~29開催)において、FRBは政策金利であるFF金利の誘導目標を4.25~4.50%に据え置く見通しだ。FF金利先物に基づく1/22時点のFedWatchによると、同FOMCにおける金利据え置き予想が100%に達する(次の利下げ時期の予想は6月FOMC)。FRBは2024年9月から3会合連続で利下げを実施し、3か月で政策金利をピーク時の5.25~5.50%から-1.0%pt引き下げた。足下では失業率の急騰懸念が和らぐなど雇用動向が堅調に推移する一方、インフレ再燃への懸念は依然くすぶっており、FRBは当面の利下げペースを緩めながら景気・物価動向を注視する姿勢を示すとみられる。
足下の経済指標をみると、12月雇用統計における非農業部門雇用者数は前月差+25.6万人(11月:+21.2万人)と市場予想(+16.4万人)を大幅に上回った一方、失業率は4.1%(11月:4.2%)と3か月振りに低下した。失業率は2024年5~7月にかけて3か月連続で上昇し労働市場の急速な悪化懸念が浮上したものの、その後は4%台前半の低水準に留まっている。2024年10~12月期実質GDP成長率(2025/1/30公表)を巡っては、1/17時点のアトランタ連銀によるGDPナウキャストが前期比年率+3.0%(7~9月期実績:+3.1%)と個人消費を中心に増加が見込まれるなど、米国経済は堅調さを維持している。この間、12月消費者物価指数(CPI)における食品・エネルギーを除くコアベース指数は前月比+0.2%(11月:+0.3%)と前月から減速するなど、振れを伴いながらもインフレ鈍化が持続している。
また、1月6日時点の情報に基づく1月地区連銀経済報告(ベージュブック)では、全12地区で経済活動が「僅か、或いは緩やかに拡大した」と報告された。足下の個人消費は力強い年末商戦を背景に緩やかに拡大した一方、先行き2025年の景気を巡っては楽観的な見方が悲観的な予想を上回ったと報告された。一方、製造業では関税引き上げに備えて在庫を積み増す動きがみられることに加えて、幾つかの地区では移民や関税政策の変更が今後の景気に悪影響を与えるとの懸念が示された。
利下げペースを巡る見解の相違
12月FOMCの声明文においては、「経済活動は堅調な拡大を続けている。年初来、労働市場は総じて緩和しており、失業率は上昇しているものの、依然として低い水準に留まっている。インフレ率は+2%目標に向けて進展しているが、幾分高止まりしている」と述べられた。1月の声明文では、失業率への言及が微修正される可能性はあるものの、足下の経済指標や上記ベージュブックの内容を踏まえると、概ねこれらの内容を維持すると見込まれる。また、12月時点における先行きの政策ガイダンスは「更なる政策金利調整の程度及びタイミングを巡っては、今後のデータ、経済見通しの展開、リスクバランスを注意深く考慮する(11月FOMC:更なる政策金利調整を巡っては、今後のデータ、経済見通しの展開、リスクバランスを注意深く考慮する)」と、既に利下げペースを鈍化する方針が示唆されている。
とはいえ、利下げペースをどれほど緩めるかにはFOMCメンバー内での見解の相違がみられる。12月FOMCでは全19人中4人のメンバーが利下げに反対し、金利据え置きを主張した(投票権を持つ12人の中で反対票を投じたのはクリーブランド連銀のハマック総裁の1人)。また、同時に公表されたドットチャートでは2025年に計2回(0.5%p)の利下げが中心的な見通しとなった一方、ウォラー理事はインフレ減速を理由に合計で3~4回の利下げが実施される可能性を主張している。
なお、1月FOMCにて利上げを主張するタカ派、及び早期の利下げを主張するハト派はいないと考えられるため、金利据え置きは全会一致で決定される可能性が高く、こうしたメンバー内での見解の相違が1月FOMCでより鮮明となるとは考え難い。また、パウエル議長の記者会見においては、次の利下げ時期に関する質問が想定されるものの、議長は今後の金融政策が引き続きデータ次第であることを強調するだろう。他方、先行きのリスク要因を巡っては12月FOMCの議事要旨にて「トランプ新政権による貿易・移民政策の潜在的変更がインフレ収束までの期間を長期化させること」及び「これらの政策変更の範囲、タイミング、経済的影響の不確実性が高まっていること」が指摘された。パウエル議長が記者会見でこうした認識を追認するのかに加えて、トランプ新政権による金融政策への影響により踏み込んだ発言をするのかが注目される。
ちなみに、FOMCで投票権を持つ参加者は理事7人、NY連銀総裁、輪番制で毎年交代する地区連銀総裁4人の計12人である。投票権が入れ替わった4人の地区連銀総裁を巡って、2024年はクリーブランド連銀のハマック総裁が12月の利下げに反対するなどタカ派的なスタンスが目立った一方、25年はカンザスシティ連銀のシュミッド総裁とセントルイス連銀のムサレム総裁が追加利下げに慎重な見方を示している(ただし、ムサレム総裁は12月FOMCで利下げを支持)。


前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 前田 和馬
まえだ かずま
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析
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