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2024.11.13
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OPECプラス・有志国の自主減産はさらなる延長が不可避か
~需要鈍化に米トランプ次期政権の増産方針、価格維持政策はいよいよ「チキンレース」の様相へ~
西濵 徹
- 要旨
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- 今月3日、主要産油国の枠組であるOPECプラスは今年11月末に期日を迎える有志国の自主減産を1ヶ月延長することで合意した。OPECプラスを巡っては、協調減産の長期化を受けて世界産油量における存在感が低下し、原油価格の低迷を受けて財政状況は厳しさを増すなど、枠組の瓦解が懸念されている。よって、特定の国による自主減産に依存せざるを得ない展開が続いたが、このところは価格維持政策からの転換を模索する動きがみられた。そして、枠組の崩壊が価格暴落を招くことを警戒して枠組維持に向けた取り組みが強化されてきた。しかし、足下では需要のさらなる鈍化懸念に加え、米大統領選でのトランプ氏勝利による増産が意識されるなかで国際原油価格は一段と頭打ちする動きが確認されている。有志国の自主減産はさらなる延長が不可避の一方、価格維持政策は「チキンレース」の様相を呈する可能性もある。
主要産油国の枠組であるOPECプラスは今月3日、OPECプラス全体で実施中の日量366万バレル規模の協調減産と別に実施している有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)による自主減産(日量220万バレル)について、11月末までとした期日を1ヶ月延長して12月末とすることで合意したと発表した(注1)。このところのOPECプラスを巡っては、協調減産が長期化するなかで世界産油量に占めるOPECの存在感が低下するとともに、協調減産や自主減産の長期化を受けた単位当たりの採掘コストの上昇を受けて財政均衡水準が上昇しており、財政面で原油関連収入への依存度が高い産油国を取り巻く環境は厳しさを増している。よって、枠内では協調減産そのものに反発が強まる動きもみられるなか、価格維持政策は有志国を中心とする一部の産油国による自主減産に依存せざるを得ない展開が続いてきた。しかし、協調減産を含めて枠内で最も減産に動いてきたサウジアラビアについても、財政均衡水準が高まる一方で国際原油価格は上値の重い展開が続くなど財政状況の急激な悪化に直面するなか、価格維持政策からの転換を模索する動きがみられた。そして、サウジ以外にも、イラクやカザフスタン、ロシアなどが割当枠を上回る産油量で推移するなどシェアの維持や回復を目指す動きをみせており、OPECプラスの枠組そのものの瓦解が懸念される動きもみられた。こうした状況ながら、過去にはOPECプラスの枠組崩壊をきっかけに国際原油価格の暴落を招くなど市場の混乱を招く事態となったこともあり、枠組そのものを維持する一方、各国の産油量の割当枠を細かく調整することにより不満を抑える措置が採られてきた。また、OPECは先行きの世界的な原油需要見通しについて、世界経済が成長を続ける状況で需要がピークを迎えることはないとの見方を示すなど、国際エネルギー機関(IEA)が世界の原油需要が向こう10年のうちにピークを迎えるとするのと対照的な見方を示してきた。しかし、OPECが12日に公表した最新の月報では、今年の世界原油需要予想を前年比+182万バレルと前月予想(同+193万バレル)から下方修正するとともに、来年についても同+154万バレルと前月予想(同+164万バレル)から下方修正するなど、当面の需要見通しが弱含んでいるとの見方を示している。OPECによる需要見通しの下方修正は4ヶ月連続のこととなる。その理由について、OPECは中国やインドの需要鈍化を挙げ、なかでも中国については製造業の活動低迷による建設業の減速、液化天然ガス(LNG)需要の高まりを受ける形でディーゼル燃料に対する需要が下振れすると指摘している。さらに、今月5日の米大統領選では共和党候補の前トランプ大統領が勝利しており、トランプ氏はパリ協定からの脱退を含めてバイデン現政権による環境政策の大転換を図る方針を示しているほか、シェールオイルやシェールガスの大幅増産を目指す方針を掲げており、OPECプラスが協調減産や自主減産に動くなかで世界産油量に占める存在感の一段の低下も予想される。そして、足下の国際原油価格は中国景気を巡る不透明感を理由とする需要の弱さも影響して上値の重い展開が続いており、上述のようにOPECプラスは有志国による自主減産の延長を決定したものの、さらなる延長を余儀なくされる可能性は高いと見込まれる。とはいえ、上述したようにOPECプラスの枠組には様々な形で綻びが露見する動きもみられるなか、価格維持政策はいよいよ『チキンレース』の様相を呈する展開となるであろう。

注1 11月5日付レポート「OPECプラスは有志国の自主減産1ヶ月延長(12月末まで)で合意」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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