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2024.10.11
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ペルー中銀、インフレ鈍化も政策金利を据え置いたのはなぜ?
~先行きのインフレ加速を警戒、「史上最悪」の干ばつの影響も懸念されるなかで慎重な政策運営へ~
西濵 徹
- 要旨
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- ペルー中銀は10日の定例会合で政策金利を3会合ぶりに5.25%に据え置いた。ここ数年のペルーはインフレ昂進に直面し、中銀は累計750bpの利上げに動いたが、昨年以降は一転して頭打ちの動きを強めた。さらに、景気低迷が深刻化したことを受けて、中銀は昨年9月から断続利下げに動いてきた。足下のインフレ率は目標を下回るとともに、コアインフレ率も目標域に収まるなど物価は落ち着きを取り戻している。こうした状況ながら、中銀は利下げ局面を再び休止させており、その理由に先行きのインフレ加速の懸念と足下の景気底入れを挙げた。なお、足下の中南米は「史上最悪」の干ばつが直撃しており、生活必需品を中心とするインフレ懸念が高まっている。先行きの政策運営は慎重な対応を迫られる展開が続くと予想される。
ペルー中央準備銀行(中銀)は、10日に開催した定例の金融政策委員会において政策金利を3会合ぶりに5.25%に据え置く決定を行った。ここ数年のペルーでは、異常気象による歴史的大干ばつに加え、コロナ禍一巡による経済活動の正常化の動き、商品高、国際金融市場における米ドル高を受けた通貨ソル安による輸入インフレも重なり、インフレが大幅に昂進する事態に直面してきた。中銀は2021年後半から物価と為替の安定を目的に累計750bpの利上げに動くとともに、商品高の動きが一巡したこともあり、インフレは2022年半ばに一時25年ぶりの高水準となったものの、昨年以降は頭打ちの動きを強めてきた。他方、物価高と金利高の共存が内需の足かせとなり、世界経済を巡る不透明感の高まりが外需の重石となる展開が続き、昨年の経済成長率は▲0.6%とマイナス成長に留まるとともに、当研究所が試算した季節調整値ベースの実質GDPもほぼ横這いで推移するなど、景気は勢いを欠く推移が続いた。さらに、中南米諸国においてはインフレ鈍化を受けて一転して利下げに動く流れが広がりをみせたほか、ペルーにおいても実質金利(政策金利-インフレ)プラス幅拡大といった投資妙味の向上を追い風に通貨ソル相場が底打ちに転じる動きをみせたこともあり、中銀は昨年9月以降利下げに動いた。しかし、インフレは頭打ちの動きを強めるも中銀目標(2±1%)の上限を上回る推移が続いたため、利下げを一時休止させるなど一進一退の動きをみせたものの、年明け以降もインフレは一段と下振れしており、中銀は8月の定例会合まで累計250bpの利下げを実施するなど断続的に金融緩和を進める動きをみせてきた。さらに、直近9月のインフレ率は前年比+1.78%と目標の中央値を下回る水準となっているほか、コアインフレ率も同+2.74%と目標域に収まるなど物価は落ち着きを取り戻しており、事前の金融市場においては一段の金融緩和に動くとの見方が広がっていた。こうした状況ながら中銀は利下げ局面の小休止に動くとともに、会合後に公表した声明文ではその理由について「先行きのインフレは目標域内に収まると見込まれるが、前年に頭打ちの動きを強めた反動でわずかに加速することが見込まれる」ほか、「足下の経済指標が景気回復を示唆する動きをみせている」ことを挙げている。事実、上述のように昨年はマイナス成長に留まるなど景気は勢いを欠く推移が続いたものの、年明け以降のインフレ鈍化や昨年来の利下げも追い風に足下の景気は底入れの動きが確認されているほか、その後の景況感指数を巡っても上昇傾向を強めるなど、足下の景気は改善している様子がうかがえる。他方、足下の中南米諸国においては『史上最悪』と称されるクラスの干ばつ被害が相次いでおり、ペルーでは電源構成の5割以上を水力発電に依存するなか、火力発電の稼働率向上を余儀なくされるとともに、そのことがエネルギー価格の上昇圧力を招く懸念が高まっている。このところの国際金融市場では、中東情勢の不安定化を理由に国際原油価格が上振れするなどエネルギー資源価格が上昇しており、足下では米ドル高の動きが再燃するなかでソル安による輸入インフレも相俟って物価を押し上げる可能性がある。さらに、大干ばつの影響で農作物の生産に悪影響が出る懸念も高まっており、仮にそうなれば食料品やエネルギーなど生活必需品を中心にインフレ圧力が強まるなど、物価や幅広い国民生活に悪影響を与えることも考えられる。他方、先行きの政策運営については「インフレ期待や景気動向を注視しつつ、必要に応じてスタンスの追加的な変更を検討する」、「インフレを目標域に維持すべく必要な措置を採ることを再確認する」としており、慎重な対応を迫られることになろう。



西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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