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資産運用のキホン ~その12:投資信託の仕組み~

嶌峰 義清

要旨
  • 投資信託は、運用経験者の多くが投資する商品の一つではあるが、投資未経験者にとってはわかりにくい商品でもある。
  • 投資信託とは、投資家のお金を集めて、運用会社がまとめて株や債券などに投資をする投資商品だ。それぞれの商品には国内株、海外株、国内債券、海外債券、ハイテク株、高利回り債など、投資家の様々なニーズに合わせた特徴のある商品がある。
  • 投資信託は少額でリスクを分散した投資ができるメリットがある一方で、手数料が株や債券などへの直接的な投資よりも高いというデメリットもある。

わかりにくさがハードルとなる投資信託

一般社団法人投資信託協会による「投資信託に関するアンケート調査報告書」(2024/1)によれば、「現在投資信託を保有している」人の割合は24.6%と、日本の成人の約4人に1人が投資信託を保有しているようだ。一方で、67.7%の人が「今まで投資信託を保有したことがない」と回答している。

このうち、現在投資信託を保有している、あるいは保有したことがあると回答した人に対して、投資信託に興味・関心を持ったきっかけや、購入したきっかけについて尋ねると(複数回答)、「金融機関の人に勧められて」(33.2%)が最も多く、「インターネットで見たり調べたりして」(26.7%)、「投資信託に関する本や記事を見て」(15.6%)と続く。一方、投資信託を保有したことがない人にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「投資の知識が無い」(51.0%)が最も多く、次いで「そもそも興味が無い」(35.8%)、「損をしそうで怖い」(25.9%)と続く。また、「投資信託の仕組みがよくわからない」との回答も17.0%と、回答順位では6番目に多かった。

図表
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「資産運用のキホン ~その 9:債券とは何か~」でも紹介したが、有価証券(株、債券、投資信託など)を保有している個人投資家のうち6割以上が保有している投資信託は、投資経験者には“なじみのある”投資対象ではあるものの、投資未経験者には金融機関に勧められたり、自分で調べたりしないと“よくわからない代物”のようだ。

一方で、サラリーマンであれば企業年金に確定拠出型年金制度が導入されている人や、個人でもiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)で年金運用をしている人であれば、運用対象として定期預金や保険のほか、投資信託が挙げられており、投資信託に接する機会がある人も多いだろう。

投資信託とはなにか

投資信託とは、投資家から集めたお金をまとめ、運用の専門家(運用会社)が株式や債券などに投資・運用する商品のことで、投信(とうしん)、あるいはファンドと呼ぶ。一般的には、複数の企業の株式に投資をする株式投信や複数の債券に投資をする債券ファンドの二種類に大別される。

図表
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たとえば、個人で株式投資をする場合、A社株、B社株、C社株・・・と個別の銘柄に投資するのに対し、株式投信の場合はこれを運用会社が一つのパッケージにして、個人投資家はそのパッケージ(投信商品)を購入(投資)する形となる。パッケージの構成は、運用会社が投資家の様々な需要に見合うような形で選択し、どの銘柄をどの程度の割合にするかが決められる。

株式投信であれば、日経平均株価やTOPIX、SP500などの国内外の代表的な株価指数や、海外の証券会社が公表している全世界株式指数などと同じような銘柄構成にして、これらの株価指数と連動するようなものや、先進国の代表的な銘柄で構成されるもの、業績の高い伸びが期待されるハイテク株や環境関連株で構成されたもの、成長率が高い新興国の株で構成されたものなどがある。

一方、債券投資であれば、国内の債券で構成されるもの、海外の債券で構成されるもの、格付けの高い債券(高格付債)で構成されるもの、金利が高い(ハイイールド)債券で構成されるものなどがある。

また海外の株や債券に投資する投資信託には、為替リスクをヘッジしたもの(為替の変動に伴う価格変動リスクを抑える)と、為替リスクのヘッジが無いもの(為替の変動による価格変動も含まれる:円高であればその分損になる一方、円安になればその分利益となる)がある(為替については別途解説予定)。

このほか、投資信託にはアクティブファンドとインデックスファンド(あるいはパッシブファンド)という二つに大別することもある。アクティブファンドとは、運用会社のファンドマネージャー(運用担当者)が相場環境やファンドの運用成績を見ながら、ファンドの中の銘柄の入れ替えなどを行っている投資信託で、運用結果はファンドマネージャーや運用会社の運用の巧拙によって変わってくる。一方、インデックスファンドは、先に挙げた日経平均などの株価指数などと構成銘柄やウェイトを同じようにして、株価指数と同じようなパフォーマンスが上げられるものだ。

また、投資信託の中には直接株式や債券に投資するのではなく、REIT(不動産投資信託)を含めた他の投資信託に投資するものもある。これをファンド・オブ・ファンズ(外部委託型投資信託)と呼ぶ。一般的には運用リスクをより分散できる一方、信託報酬などコスト(後述)が高いものが多い。

なお、投資信託は運用会社が作成し、相場環境を見ながら運用する。日本の企業であれば、○○投信や▲▲アセットマネジメントという名を冠している企業が多い。一方、販売するのは証券会社や銀行などの金融機関で、これを販売会社という。投資家にとっては投資信託を購入するのも売却するのも販売会社を通じて行う。販売会社は投資家の要請に応じて、その運用目的などに応じた投資信託商品を紹介するなど、投資家の窓口的な役割を果たす。ただし、投資家の資金を預かるのは信託会社で、運用会社の指示に基づいて株や債券の売買も行う。

このように、投資信託は商品を作り運用する運用会社と、投資家に投資信託商品を販売し、投資家の要請に応じる販売会社、資金を預かり運用会社の指示に応じて売買を行う信託銀行と、3つの金融機関が関わることになる。

投資信託のメリット・デメリット

投資信託に投資する最大のメリットは、複数の銘柄を保有する形となるため、ある程度のリスクヘッジ(リスクを想定して、それが起きた際の体制を整えておくこと。投資の世界で言えば、相場環境が大きく変化した際にも、損失を最小限にとどめるような資産構成としておくこと)となる点だ。たとえば、個人で2銘柄の株式を保有している場合、仮にそのうちの1社が経営破綻してしまえば、最悪の場合保有資産は半分になってしまう(2社の株式保有額が同じで、そのうちの1社の株価が破綻によって0円となった場合)。しかし、100銘柄の株式を保有していれば、同じことが起こっても損失は100分の1で済む。しかし、100銘柄の株式を購入することは金銭的な負担も大きい。しかし、投資信託は1万円から投資できるものが多く(詳細は後述)、100銘柄で構成される株式投信を1万円で保有することが可能だ。

次に、少額でも様々な商品(投信)に投資することが可能な点だ。前述したように、投資信託は1万円から投資できるものが多い(積み立て型の場合、100円から投資できるものもある。申込手数料等は除く)。したがって、例えば4万円あれば国内株式投信、国内債券投信、海外株式投信、海外債券投信にそれぞれ1万円ずつ投資することで、国内外の株と債券を同時に保有することができる。このように株式と債券、国内と海外の資産を同時に保有することも、リスクヘッジ手段の一つとされている。

もう一つ考えられるメリットが、アクティブファンドの場合、運用を投資のプロに任せる形になっていることだ。前述したように、アクティブファンドはそのファンド(投信商品)の構成銘柄や、相場環境に応じた銘柄毎の売り買いを運用会社のファンドマネージャーに任せる格好となる。多くの場合、ファンドマネージャーは相場環境(経済や政治動向、個別企業の情報など)に関する情報を多く扱っており、国内外のファンドマネージャーによる24時間の管理も可能だ。

一方、投資信託のデメリットとしては、まず手数料がかかる点が挙げられる。投資信託には主に以下の手数料がかかる(かからない場合もある)。

1.購入時手数料(申込手数料・買付手数料)

投資信託商品を購入する際にかかる手数料。投資信託の販売会社に対して支払う手数料で、投資信託の購入金額に対して決められた割合(投資信託の目論見書に上限が記載されている)で支払う。販売会社に支払う費用のため、同じ投資信託でも販売会社によって異なる場合がある。たとえば投資信託に100万円投資した場合、手数料が2%であれば、購入額100万円×手数料2%=2万円(+消費税)がかかる。なお、手数料がかからないノーロードファンドと呼ばれる投資信託もある。

2.信託報酬(運用管理費用)

運用を委託するための手数料。投資信託の保有額に応じた負担分が、信託財産(購入した投資信託)から毎日引き落とされる。たとえば、信託財産が100万円の投資信託を保有していて信託報酬が2%(年率)の場合、信託財産100万円×信託報酬2%÷365日≒55円(+消費税)が毎日信託財産から引き落とされる。一般的に、インデックスファンドよりもアクティブファンドの手数料の方が高い。

3.監査報酬

投資信託は、原則的に決算毎に監査法人などから監査を受ける必要があり、そのための費用。投資信託の投資額(投資口数)に応じて負担し、信託財産から決められたタイミング引き落とされる。金額や引き落とされるタイミングなどについては目論見書などに記載してある。

4.売買委託手数料

運用会社が投資信託に組み入れられた株式や債券などを売買する際に発生する、証券会社向けの手数料で、信託財産から都度引き落とされる。事前に決まっているわけではないが、投資信託に構成されている銘柄の売買が多くなるほど増える。

5.信託財産留保額

投資信託の解約時に支払う費用(満期が設定されている場合は、満期前の中途解約の場合)で、解約時に信託財産から差し引かれる。投資信託を解約した場合に発生する売却手数料などの様々な費用として、解約金額に応じて負担する。負担割合は目論見書などに記載されており(通常0.2~0.3%程度)、支払った金額は残りの信託財産に留保される。負担がない投資信託もある。

以上が代表的な手数料で、投資委信託を保有する際のコストといっても良い。注意しなければならないのは、運用結果がこれらの手数料を下回れば、実質的には運用損となってしまうことだ。こうしたコストは投資信託や販売会社毎に異なっているため、購入時には販売会社への確認や、重要事項を記載している投資信託の目論見書の確認が必要だ。

もう一つ、デメリットというよりも運用商品の特徴と言えるものだが、元本は保証されているわけではなく、運用環境次第では運用損となるリスクがある点には注意が必要だ。

「資産運用のキホン~その13」では、投資信託の基準価額と分配金について解説する。

嶌峰 義清


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

嶌峰 義清

しまみね よしきよ

経済調査部 シニア・フェロー
担当: 経済・金融市場全般、地政学

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