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そろそろECBの利上げ打ち止めも視野に

~ターミナルレートは3.25%、それとも3.5%?~

田中 理

要旨
  • ECBは昨年12月に約束した通り、2月の理事会で50bpの利上げを決定するとともに、3月の理事会での50bpの追加利上げを再び約束した。その後も利上げ継続の可能性を示唆しているが、利上げペースについてはデータ次第としており、先行き物価上昇率の一段の鈍化が予想されるなか、5月は25bpへの利上げ幅縮小が予想される。そこで利上げが打ち止めとなるか、6月の25bp利上げで打ち止めとなるかは微妙なところだが、タカ派メンバーの意向が通った今回の50bp利上げの事前コミットメントを考えると、3月の理事会で50bp、5月と6月の理事会で25bpの追加利上げを行い、3.5%の預金ファシリティ金利がで利上げ打ち止めとの見方をひとまず維持する。

昨年12月に次の理事会での50bp利上げを事実上約束したECBは2日、約束通り50bpの利上げを決定するとともに、次回3月の理事会でも50bp利上げを継続することを約束した。声明文では「インフレ率を2%の中期的な目標に適切な時期に復帰させることを確実にするため、政策金利を安定的なペースで大幅に引き上げる」との前回のガイダンスを踏襲。「3月の理事会で50bpの追加利上げを行う意向である」ことも具体的に明記した。その後の利上げペースについては、「データ次第であり、理事会毎に判断する」としている。ただ、前回のガイダンスでは「十分に抑制的な水準に引き上げる」と利上げに力点が置かれていたのに対して、今回のガイダンスでは「十分に抑制的な水準に維持する」との言葉に変更され、早期の利下げ転換の打ち消しを意図したものと思われる。

理事会後の記者会見でラガルド総裁は、「50bpの追加利上げを行う意向とは、絶対的で取り消し不能の約束ではない」との見解を示し、金融市場はこれをハト派的と受け止めた。同時に総裁は、政策金利の最終到達点(ターミナルレート)について、「現時点でそこに到達していないことは明らかで、3月時点でもそうだろう、我々にはまだすべきことがある」と発言し、5月以降も利上げを継続する可能性が高いことを示唆した。5月の利上げ幅について質問された総裁は、「50bpかもしれないし、25bpかもしれない、必要に応じた利上げ幅になるだろう」と回答し、データ次第であることを強調した。

その「データ次第」の判断材料となるECBの景気・物価認識については、昨年12月時点と比べて成長率見通しが予想以上に上向いており、景気のリスク判断を「下向き」から「よりバランスが取れている」に変更した。供給制約の緩和、エネルギー価格の低下、マインド改善、高水準の受注残、賃金上昇などの要因から、向こう数四半期の成長率がさらに回復するとの見方を示している。物価見通しについては、エネルギー価格が昨年12月時点の想定対比で大幅に低下しており、インフレ率を押し下げる可能性があると指摘した。このため、物価のリスク判断を「上昇」から「よりバランスが取れている」に変更した。ただ、ラガルド総裁は「インフレ圧力は残存しており、ディスインフレのプロセスが進行しているとは言えない」とも発言している。当面はインフレ警戒姿勢を継続する可能性が示唆される。

ラガルド総裁が指摘した通り、3月のスタッフ見通しでは、エネルギー価格の想定が大幅に引き下げられ、景気見通しが上方修正、物価見通しが下方修正されることが予想される。こうした見通しを反映し、さらに物価の高止まりとインフレ圧力がしばらく残存することから、5月の理事会では利上げ幅が25bpに縮小されると予想する。そこで利上げが打ち止めとなるか、6月の25bp利上げで打ち止めとなるかは微妙なところで、スタッフ見通しの発表月でもある6月時点でインフレ圧力がどの程度残存しているかに依存しよう。タカ派メンバーの意向が通った今回の50bp利上げの事前コミットメントを考えると、筆者は3月の理事会で50bp、5月と6月の理事会で25bpの追加利上げを行い、3.5%の預金ファシリティ金利で利上げ打ち止めとの見方をひとまず維持する。

以上

田中 理


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田中 理

たなか おさむ

経済調査部 首席エコノミスト(グローバルヘッド)
担当: 海外総括・欧州経済

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