経済統計よもやま話『存在感を増す「第二次所得収支」とは?』

星野 卓也

目次

海外との取引を示す「経常収支」

日本と海外との取引を示す代表的な指標に、財務省と日本銀行が公表する「経常収支」があります。モノの取引を示す貿易収支、サービスの取引を示すサービス収支、投資収益の受払を示す第一次所得収支が、その構成要素としてよく注目されます。

日本企業の海外展開が進むもとで、第一次所得収支の黒字は日本の経常黒字、海外に対する資金余剰の最大の要因です。イラン情勢の悪化時には原油輸入額の増加による貿易赤字の拡大が、近年はIT・AIサービスなどの海外依存構造に着目した「デジタル赤字」という言葉も耳目を集めました。経常収支は海外とのマネーの需給を示す統計でもあり、近年の円安進行の中で為替の分析ツールとしても注目されています。

「第二次所得収支」の赤字が存在感を高める

経常収支にはもう一つの構成項目として「第二次所得収支」があります。これは、貿易・サービス取引や投資収益の受払には分類されない、国境をまたぐ資金移転を示す項目です。政府による資金協力、個人間の送金、保険に関連する資金移転などが含まれます。近年はその赤字が大きくなっており、2025年度には▲5.2兆円に達しています(資料1)。

図表
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近年拡大しているのは政府・個人以外の「その他の民間部門」であり、ここには国内の再保険の利用拡大が影響していると言われています(資料2)。再保険は、保険会社が引き受けたリスクの一部を別の保険会社に移転する取引です。自然災害の大型化や外貨建て保険契約の増加などを背景に、国内の保険会社が海外の再保険会社にリスクを移すニーズが高まってきました。

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また、個人間移転をみると、国内から海外への送金を示す「支払」が2025年度に1兆円に達しました(資料3)。2025年10月末時点の外国人労働者数は257万人と過去最大となっており、本国への送金が増えたことを反映したものとみられます。「第二次所得収支」は、その規模の小ささからこれまでほとんど注目されてきませんでしたが、近年は存在感を高めています。

図表
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星野 卓也


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

星野 卓也

ほしの たくや

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測

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