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- Well-being LDの視点『孫をきっかけとした祖父母のスマートフォン活用』
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高齢者が取り残されないデジタル化に向けて
高齢者のデジタルへの抵抗感をなくすことは、本人はもとより社会にとっても大切なことである。人手不足が加速するなか、人とのコミュニケーション、物の購入、税の申告に至るまで、多くのことがデジタル化されている。それらを活用できる人にとっては利便性が上がった一方、使いこなせない人にとっては、適切なサービスが受けられなかったり、情報格差につながってしまうリスクもある。デジタル化を進める企業や行政にとっても、活用できない人のために別の窓口を用意するなどの対応策は追加コストとなってしまう。
一般に、年齢が上がるほど、新しい技術の習得は容易ではなくなるため、高齢者は社会のデジタル化から取り残されやすい。そのため、高齢者に対する動機づけや、技術習得までのサポートが重要となる。たとえば、新型コロナウイルス感染拡大時には、対面で会うことのできない家族と顔を見て話そうと、スマートフォンを使ってビデオ通話や写真の共有に挑戦した高齢者も多くいただろう。そこで以下では、高齢者の新しいデジタル技術習得のきっかけとしての家族、特に「孫」の存在について考察する。
孫きっかけでスマートフォンを利用する祖父母
第一生命カードサービスと第一生命経済研究所が、2024年に実施した高齢者向けのアンケート結果によると、孫のいる高齢者(871名)のうち、27.6%が「孫とのコミュニケーションや、孫の写真を見るために、スマートフォンなどの新しい情報通信機器を使うようになった」と回答した(「あてはまる」・「どちらかというとあてはまる」の合計)。スマートフォンなどのデジタル機器を利用する動機として、「孫」が一定の存在感を持っていることがわかる。
孫とのやりとりにスマートフォンを使う頻度
それでは、高齢者たちはどの程度、孫とのコミュニケーションや、写真の閲覧にスマートフォンを活用しているのだろうか。資料1は、スマートフォンを持つ祖父母(831名)の、孫との非対面でのやりとりの頻度である。電話やチャット、写真共有アプリなどで孫との関係を築いている人は半数を超えていて、どの手段も月に1~2回程度が多い。中でも、写真共有アプリについては頻度が多い傾向があり、週に1回以上そうしたアプリを通じて孫の写真を見ている人は4人に1人(27.0%)にものぼる。

写真共有アプリから孫の成長を見守る祖父母
さらに、資料2はそうした写真共有アプリの閲覧頻度を孫の年代別に比較したものである。孫の年齢が幼いほど、祖父母は写真共有アプリを日常的に活用していることがわかる。
特に幼児期は成長が目まぐるしく、しばらく会わない間に、孫が見違えるほど成長していたという経験をもつ祖父母も多いだろう。だが、こうした写真共有サービスを活用すれば、盆と正月しか孫と会う機会がない場合でも、その成長を日々見守ることができる。未就学児の孫をもつ祖父母のうち、1週間に1回以上の頻度で孫の写真を見ている祖父母は38.0%であり、孫の成長が、祖父母の日々の楽しみになっていることが推測される。
また、こうしたアプリで孫の様子を日常的に観察することで、孫が好きなキャラクターや食べ物、遊びに行った場所をタイムリーに把握しやすくなる。これにより、久しぶりに孫に会った際も、「この間、遊園地に行っていたね、楽しかった?」などと、孫との会話が弾みやすく、孫が好きな食事や好みに合ったプレゼントを用意することにも活かすことができ、対面での交流にも良い影響を与えるだろう。

祖父母が安全にスマートフォンを活用するには
ただし、スマートフォンやSNSに不慣れな祖父母特有のトラブルも想定される。たとえば、個人情報保護の知識が薄い場合には、共有された孫の写真をブログやSNSに無断で公開してしまうというリスクもある。
また、孫の写真を共有することでつながりを実感できる反面、孤独を感じるきっかけにもなりうる。たとえば、嫁の実家、婿の実家ばかりに行く写真を日々見ていると、嫉妬や孤独の感情を引き起こしかねない。写真を共有する孫の親としても、祖父母の感じ方について配慮が必要な場合もあるだろうが、祖父母自身もそうしたサービスとは程よい距離感で付き合うという意識が大切になるだろう。
既存調査(注)によると、若い孫のうちおよそ半数弱(15~19歳:49.5%、20~29歳:41.3%)が祖父母にスマートフォンの使い方を教えた経験をもつ。孫は、高齢者の新たな技術習得の「動機」にもなり、成長すれば技術習得の「支援者」にもなることが示唆される。その際、機器やサービスの使い方だけではなく、個人情報保護や、詐欺被害の防止、SNSの適切な利用など、安全に利用するうえでの知識やコツもしっかり伝えることで、祖父母のウェルビーイングにつながるデジタル活用となるのではないだろうか。
注)デジタルわかる化研究所「孫は祖父母にスマホの使い方を教えているのか?」2023年
福澤 涼子
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 福澤 涼子
ふくざわ りょうこ
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資産運用調査部 副主任研究員
専⾨分野: 資産形成
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