四半期見通し『日本~景気は緩やかな持ち直しも、加速感は出ず~』(2025年1月号)

新家 義貴

目次

2四半期連続プラス成長も、回復感に乏しい

内閣府から公表された2024年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.2%(前期比+0.3%)となった。プラス成長に寄与したのは個人消費であり、前期比+0.7%と高い伸びとなった。背景にあるのは定額減税の実施だ。3兆円を上回る規模の減税により、6、7月を中心に所得が大幅に押し上げられたことが消費を押し上げたと考えられる。加えて、1-3月期に認証不正問題による供給制約で急減していた自動車販売が、供給制約の緩和に伴って4-6月期、7-9月期と増加が続いたことも押し上げ要因になっている。

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もっとも、消費以外の需要項目についてはぱっとしない。輸出の伸びを輸入の伸びが上回ったことで外需寄与度がマイナスになったことに加え、期待された設備投資が同▲0.1%と小幅減、公共投資(同▲1.1%)も減少に転じるなど消費以外の内需は弱い。

このように、7-9月期のGDPは個人消費の押し上げによりプラス成長となったが、消費以外については冴えない動きとなっている。その個人消費についても、定額減税の押し上げによる追い風参考記録であり、この強さに持続性はないだろう。

実質GDPは2四半期連続のプラス成長で、前年比でも3四半期ぶりに+0.5%とプラスに転じるなど、景気は持ち直していると言ってよい。ただ、そのペースはあくまで緩やかなものにとどまっており、回復感には乏しい状況である。

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先行きは緩やかな持ち直しも、加速感は出ず

24年度後半の景気も持ち直しを予想するが、回復ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高い。足元で実質賃金が下げ止まっていることは好材料であり、家計の所得環境は徐々に改善に向かう。もっとも、物価上昇による実質購買力の抑制が消費の頭を押さえる状況は残る。消費者マインドの停滞が続いていることや、これまで2年以上にわたって実質賃金が減少するなか、貯蓄を抑制しながら消費水準を維持してきたことの反動もあり、実質賃金の増加分の多くは貯蓄に回るだろう。10-12月期以降には定額減税による一時的な押し上げ分の剥落が生じることも影響し、消費の持ち直し度合いは当面限定的なものにとどまる可能性が高い。外需についても、海外経済に停滞感が残るなか、緩やかな増加にとどまる公算が大きい。景気は先行き緩やかに回復するが、加速感が出るには至らない。

25年度は内需、外需とも持ち直しへ

一方、25年度には、年度後半にかけて景気回復感が徐々に強まると予想する。25年の春闘賃上げ率は4.8%、ベアは3%と予測する(厚生労働省ベース)。24年春闘では5.33%もの歴史的な賃上げが実現したが、①強い人手不足感、②物価高への配慮、③底堅い企業業績などを背景に25年春闘でも5%に迫る賃上げが実現するだろう。25年度前半には、物価上昇率が高止まることから実質賃金の伸びはごく小さなものにとどまるが、コストプッシュに由来する物価上昇圧力が弱まることから25年度後半には実質賃金の増加幅が緩やかに拡大する可能性が高い。こうした状況を受け、個人消費も伸びを徐々に拡大させることが見込まれる。設備投資についても、製造業部門が持ち直すことに加え、研究開発投資や脱炭素関連投資、デジタル・省力化投資等の押し上げもあり、持ち直しが続く。金融緩和の効果がタイムラグをもって波及することで海外経済が持ち直すなか、輸出も増加が見込まれ、景気は緩やかに改善する可能性が高い。

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物価は高止まりも、25年度後半に2%割れか

消費者物価指数(生鮮食品除く総合)は24年度が+2.6%、25年度が+2.1%と予想する。円安による輸入コスト上昇の影響が残存することから、CPIコアは25年春まで前年比+2%台後半で高止まりが続く。もっとも、輸入物価上昇によるコスト増加圧力は時間の経過とともに徐々に弱まる。人件費増分の価格転嫁が一部実施されることからサービス価格に上昇圧力がかかる一方、財価格の伸びは減速が見込まれることで、CPI全体としては次第に鈍化が明確になるだろう。25年度後半にはCPIコアが前年比+2%を割り込むと予想する。

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新家 義貴


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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