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- 四半期見通し『日本~景気は緩やかな持ち直しも、加速感は出ず~』(2024年10月号)
4-6月期は高成長も、反動の面が大きい
2024年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.9%と2四半期ぶりのプラス成長となった。高成長の主因は自動車生産の反発だ。24年1-3月期には、認証不正問題に伴う工場の操業停止により自動車生産が激減したことで、自動車販売台数の落ち込みによる個人消費の減少、輸送機器関連投資の減少に伴う設備投資の下押し、自動車輸出の落ち込み等、幅広い需要項目に悪影響が及び、実質GDPは前期比年率▲2.4%の大幅マイナス成長となっていた。一方、4-6月期には工場稼働の再開により自動車生産が正常化に向かったことで、供給制約の緩和による乗用車販売の大幅増加や輸送用機械関連投資の増加が実現した。こうした自動車関連需要の持ち直しにより個人消費や設備投資で反発がみられたことが、4-6月期の高成長に繋がっている。

このように、4-6月期の成長率は自動車要因による反動増により押し上げられている面が大きく、割り引いてみる必要がある。実際、自動車による攪乱を均してみるために24年1-6月期と23年7-12月期の実質GDPの水準を比較すると▲0.2%にとどまるほか、実質GDPを前年比で見ても、1-3月期が▲0.9%、4-6月期が▲1.0%と2四半期連続のマイナスである。均してみれば、24年前半の景気は横ばい圏内の動きにとどまったと判断できる。

先行きは緩やかな持ち直しも、加速感は出ず
一方、24年後半以降は景気を取り巻く環境が改善に向かうと予想している。これまで賃金の伸びが物価に追い付かず、実質賃金の減少が続いていたことが個人消費の抑制要因になっていたが、足元では状況に変化がみられつつある。好調な企業収益を背景とした賞与の増加に加え、春闘での大幅賃上げが給与に反映されていくことで、賃金上昇率はこの先、基調として高まる可能性が高い。実質賃金は振れを伴いつつも増加基調で推移することが見込まれる。また、製造業部門の下押しが弱まることや、底堅い企業収益を背景として設備投資も増加する可能性が高い。これまで足を引っ張ってきた内需に持ち直しの動きが出ることで、景気は緩やかに改善するだろう。
もっとも、物価上昇による実質購買力の抑制が消費の頭を押さえる状況は残る。実質賃金はプラス圏で推移するものの、物価上昇率は鈍化しつつも高い伸びが続くため、増加幅は抑制される。また、消費者マインドの停滞が続いていることや、これまで貯蓄を抑制しながら消費水準を維持してきたことの反動もあり、実質賃金の増加や減税分の多くは貯蓄に回るだろう。10-12月期以降には定額減税による一時的な押し上げ分の剥落が生じることもあり、消費の持ち直し度合いは限定的なものにとどまる可能性が高い。また、外需についても、米国経済の減速が予想されるなか、緩やかな増加にとどまる公算が大きい。24年後半以降に景気は改善するが、強い牽引役に欠けるなか、加速感が出るには至らないとみている。

25年度は内外需揃って回復へ
25年度の景気は回復感が徐々に強まるだろう。賃上げ率は24年度対比鈍化するものの、物価上昇率も鈍化することが実質賃金の押し上げに寄与する。エネルギー価格の上昇が一巡することに加え、輸入物価上昇によるコスト増も24年度対比で緩やかなものになるとみられ、コストプッシュに由来する物価上昇圧力は弱まるだろう。こうした状況を受け、個人消費は緩やかに増加することが見込まれる。設備投資についても、製造業部門が持ち直すことに加え、研究開発投資や脱炭素関連投資、デジタル・省力化投資等の押し上げもあり、持ち直しが続く。金融緩和効果もあって海外経済が持ち直すことで、輸出も増加が見込まれ、景気は緩やかに改善すると予想する。
物価は緩やかな鈍化へ
消費者物価指数(生鮮食品除く総合)は24年度が+2.3%、25年度が+1.7%と予想する。人件費増分の価格転嫁が一部実施されることからサービス価格に上昇圧力がかかる一方、輸入物価上昇によるコスト増加圧力が弱まることで、財価格の伸びは鈍化が見込まれ、CPI全体としては緩やかに上昇率が縮小するだろう。エネルギー価格による押し上げ寄与が剥落することもあり、25年半ばにはCPIコアは前年比+2%を割り込む可能性が高い。

新家 義貴
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。