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- 四半期見通し『日本~緩やかな回復を見込むも、原油価格がリスク要因~』(2026年4月号)
均してみれば景気は緩やかな回復傾向
2025年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.3%となった。25年7-9月期は法改正に伴う駆け込み需要の反動によって住宅投資が前期比▲8.4%と急減したことで前期比年率▲2.6%の大幅マイナス成長となっていたが、この悪影響が一巡したことで10-12月期はプラス成長に戻った形である。
なお、今期は在庫による押し下げが前期比年率▲1.2%Ptと大きいことに注意が必要で、その要因を除いた最終需要でみると前期比年率+2.6%(7-9月期:同▲1.8%)となる。ヘッドラインよりも良好であり、7-9月期の落ち込み分を取り戻す形となっている。GDP以外の経済指標でも底堅さを示すものが多く、均してみれば日本経済は緩やかな回復局面が続いていると判断して良いだろう。
26年1-3月期もプラス成長の公算大
26年1-3月期は前期比年率+1.3%のプラス成長を予想する。米国経済が堅調に推移していることから輸出の緩やかな持ち直しが見込めることに加え、物価の鈍化に伴って実質賃金が下げ止まることが景気を支える。これまで賃金の伸びが物価上昇に追い付かず、実質賃金は減少が続いていた。だが、ガソリン旧暫定税率廃止や電気・ガス代補助金の再開といった政策要因もあり、1-3月期のCPIは前年比+2%を割り込み、実質賃金もプラス圏に浮上する見込みだ。所得面での下押しが和らぐことが、個人消費の下支えになるだろう。
期待される米国経済の持ち直し
26年度の景気は緩やかに持ち直すと予想する。好調に推移する米国景気と実質所得の持ち直しという二つの要因が、日本経済の下支えに寄与するだろう。米国では24〜25年にかけて行われた利下げの効果がタイムラグを伴って26年の実体経済を下支えすることが見込まれる。また、トランプ減税の実施が内需の下支え要因として働くことに加え、関税による悪影響もピークアウトすることが予想される。25年は関税引き上げ等の政策要因が米国経済の下押しとなったが、26年は政策要因が景気を押し上げる方向に働く。生成AI関連需要も引き続き旺盛に推移することが予想され、26年の米景気も好調に推移する可能性が高い。中国経済の減速が続くとみられることは懸念材料だが、世界経済全体としては回復していくことが予想され、日本からの輸出も緩やかな増加が期待できる。
こうした輸出の回復を受けて企業業績も増加が見込まれ、設備投資にも前向きな動きが出てくるとみられる。また、デジタル化・省力化投資や研究開発投資等も引き続き押し上げ要因として寄与する見込みだ。人手不足への対応としての自動化投資、サプライチェーン強靭化、生成AIを含むIT関連投資は現在必要不可欠なものとなっており、今後も増加が期待できる。26年度は25年度と比較して物価上昇圧力が弱まることも好材料であり、設備投資は景気の押し上げ要因として働くだろう。
実質所得は持ち直しへ
もう一つの好材料が実質所得の持ち直しである。26年春闘では、賃上げ率を5.45%(厚生労働省ベース、25年は5.52%)と、3年連続で5%台の高い賃上げが実現すると予想する。①人手不足が年々深刻化しており、人材確保のための賃上げが必要となっていること、②歴史的な物価高の継続により実質賃金が減少を続けていることへの問題意識が労使ともに強まっており、26年春闘では実質賃金改善に向けての意欲が示されていること、③トランプ関税による悪影響が想定よりも小さなものにとどまっていることに加え、価格転嫁の進展もあって企業収益が高水準で推移していることなど、26年も賃上げ機運は高まっている。こうしたなか、コストプッシュの一巡に伴って物価上昇率が鈍化することで、26年度の実質賃金は下げ止まる可能性が高いと予想している。また、高校授業料無償化の拡充や小学校給食無償化、年収の壁引き上げといった政策要因も、所得の下支えに寄与するだろう。これまで物価高が家計の実質購買力を毀損してきたことで景気回復の頭を押さえられていただけに、26年度に実質所得の持ち直しがが見込まれることは朗報だ。このことが個人消費の安定化につながるだろう。

総じて、26年度の景気は、米国の利下げと減税効果による景気安定化を背景に輸出が上向くことに加え、企業収益と設備投資が持ち直すなか、国内では賃上げと物価鈍化の組み合わせによって実質賃金がマイナス圏から脱し、個人消費が下支えされることで、緩やかに持ち直す展開が予想される。実質GDP成長率は、25年度が+1.0%、26年度が+0.8%、27年度が+1.0%と予測している。潜在成長率であるゼロ%台半ばを上回り、緩やかな回復基調が続く可能性が高い。なお、食料品に対しての消費税減税については、実際に実施されるか否か、される場合の実施開始時期、財源等、現時点で詳細が不明のため見通しに織り込んでいない。

原油価格高騰の長期化がリスク要因
リスク要因は、中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰が長期化することである。事態が短期で収束に向かえば経済への影響は限定的にとどまるが、長期化すればエネルギー価格の上振れを通じて物価が押し上げられ、景気の下押し要因となり得る。エネルギー資源のほぼすべてを輸入に依存する日本にとって、原油価格高騰の影響は大きい。
輸入価格の上昇分を価格に転嫁しない場合には企業収益の減少として、価格に転嫁する場合には物価上昇を通じた家計の実質購買力の抑制として影響が生じる。多くの企業が価格転嫁をためらわなくなっていることから考えて、物価が上昇する形で影響が顕在化する可能性が高いと思われる。
仮に1バレル100ドルを超えた水準が長期化するようであれば、26年度の実質賃金もマイナスが続く可能性が高い。物価鈍化を背景に実質賃金が下げ止まることが2026年度の景気を支えると予想されるだけに、景気回復ペースは大きく抑制されることになるだろう。
新家 義貴
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。