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- イタリア選挙法改正とメローニ政権存続の行方
- 要旨
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イタリア上院は15日、選挙法改正案を可決した。比例代表を中心とする制度に改め、42%以上を獲得した政党連合に多数派ボーナスを付与するほか、上院案では有権者が候補者を選ぶ選好投票を導入する。法案は下院に差し戻され、10月中の成立が視野に入る。
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メローニ首相が率いる右派陣営から、新興極右政党「国の未来(FN)」への支持流出が進んでいる。FNを除く右派陣営が42%に届かなければ、多数派ボーナスを獲得できず、政権維持に必要な議席確保が難しくなる可能性がある。
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上院案は、小政党の票を42%の判定に算入する一方、新規政党の署名要件を厳格化し、選好投票も導入した。右派票分裂の影響を和らげる側面はあるものの、FNが選挙連合の外にとどまる限り、同党の票は右派陣営の42%には算入されず、右派分裂という課題そのものは解消されない。
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イタリアの上院は15日、賛成113・反対71・棄権2の賛成多数で選挙法の改正案を可決した。小選挙区と比例代表を組み合わせた現行の選挙法を、比例代表を中心とした制度に改め、42%以上の票を獲得した政党連合に多数派ボーナスを付与する点は、7月に可決した下院案、今回の上院案ともに共通する。また、各政党連合が統一的な首相候補を事前に提示する点も共通する。他方で、下院案と上院案の違いとしては、下院案が比例名簿の候補者の順位を党が決める「拘束名簿方式」だったのに対して、上院案では各選挙区の筆頭候補のみを党が決め、有権者は残りの候補の中から最大で3議員を選んで投票する「選好投票」が盛り込まれた。この方式では、比例票に基づいて各党に配分される議席に基づき、始めに筆頭候補が選ばれ、その後は選好投票の順に当選する。また、下院案では42%のボーナス議席の判定基準に得票率が3%未満の小政党を除外したのに対して、上院案では候補者名簿の提出に必要な署名を1選挙区当たり1500人から6000人に増加させたうえで、3%未満の小政党も含める。
当初、上院では多数派ボーナスの判定基準を41%に引き下げることや、上位2政党連合による決選投票制を導入することも検討されたが、これらの修正案の導入は見送られた。今後、上院案は下院に送られ、9月28日に改めて下院の審議が開始される。そのまま上院案が下院で可決されれば、10月中の選挙法改正の成立が視野に入る。与党は上下両院の過半数を握っており、憲法改正を伴わない今回の選挙法改正は可決される公算が大きい。
メローニ首相が率いる保守系右派政党「イタリアの同胞(FdⅠ)」や連立政権に加わる右派ポピュリスト政党「同盟(Lega)」や中道右派政党「フォルツァ・イタリア(FⅠ)」は、同盟を離党した元軍人のヴァンナッチ氏が今年2月に旗揚げした新興極右政党「国の未来(FN)」に支持を奪われている(図)。小選挙区制ではないため、各選挙区での右派票の分裂が左派勢を利することにつながる訳ではないが、国の未来に支持を奪われる結果、多くの世論調査で同党を除く右派陣営の支持率が左派陣営を下回っている。来年に総選挙を控えるなか、このまま右派票の分裂を招けば、政党連合の発足に傾く中道左派の「民主党(PD)」や左派ポピュリスト政党「五つ星運動(M5S)」に政権を明け渡す恐れが出てくる。

今回の選挙法改正には、①比例代表による民意の反映を基本としながらも、一定以上の支持を得た陣営が安定政権を作りやすくする、②小選挙区制の廃止に伴い、どの候補を選びたいか有権者の民意が反映されないとの批判に応える、③小政党の乱立を防ぎつつ、政党連合に加わった小政党の票も最大限活用する―などの狙いがある。
小選挙区制の廃止などは必ずしもメローニ陣営に有利に働くものではないが、政党連合が統一的な首相候補を事前に提示する点は、民主党と五つ星運動のどちらが首相を輩出するかを巡って意見集約ができていない左派陣営の共闘を難しくする可能性がある。また、連立政権に加わる同盟やフォルツァ・イタリアは、地方議員や閣僚経験者など知名度の高い候補や、強固な地方組織を抱えており、選好投票の導入によって、こうした既存政党の組織力や候補者個人の知名度を活かしやすくなる。ただ、ヴァンナッチ氏自身も2024年の欧州議会選挙では多くの個人票を獲得し、選好投票が国の未来に一方的に不利に働くとは限らない。今回の選挙法改正は右派票の分裂による影響を一定程度和らげる側面を持つものの、国の未来が政党連合の外にとどまる限り、同党の票は多数派ボーナスの獲得に必要な42%には参入されない。選挙法改正だけで右派票の分裂という問題が解消される訳ではなく、総選挙に向けてメローニ陣営が国の未来とどのような距離を取るかが焦点となる。
田中 理
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