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- 大接戦のスウェーデン総選挙
- 要旨
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9月13日のスウェーデン総選挙は、開票速報で社会民主党を中心とする現野党陣営が現与党陣営を僅差でリードする。予想獲得議席は175対174の1議席差で、在外投票などを含む最終結果まで勝敗が確定しない可能性がある。
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勝敗の鍵とみられた自由党は議席獲得に必要な4%を突破した一方、前回選挙で右派最大党に躍進したスウェーデン民主党は支持を落とし、右派陣営内で二番手に後退した模様だ。
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現野党陣営の勝利が確定すれば、アンデション前首相率いる社会民主党主導の政権発足が有力となる。ただ、中央党と左翼党の政策的な隔たりは大きく、幅広い連立が難航すれば、社会民主党を中心とする非多数派政権となる可能性がある。
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政権交代の場合、福祉・再分配・気候政策の修正が予想される一方、移民・治安政策の厳格化やNATO加盟、防衛力強化といった過去4年間の政策転換が大幅に巻き戻される可能性は低い。最終結果で右派が逆転すれば、スウェーデン民主党の初入閣が焦点となる。
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9月13日に投開票が行われたスウェーデンの総選挙は、日本時間14日9時時点の開票速報で、アンデション前首相が率いる社会民主主義系・中道左派の「社会民主党(S)」を中心とする野党陣営が、クリステンション首相が率いる保守系・中道右派の「穏健党(M)」や現政権に閣外協力するナショナリスト系・右派ポピュリスト政党の「スウェーデン民主党(SD)」を中心とする与党陣営を僅かにリードする(図表1)。開票速報時点の両陣営の得票率は現野党の49.4%と現与党の49.1%とその差は僅か、予想獲得議席は175対174と大接戦で、政権交代の成否が確定するのは、在外投票や期日前投票の結果が加わる週末の最終結果までずれ込む可能性がある。
なお、定数349のうち310議席(固定議席)は、有権者数などに応じて29の選挙区に予め割り当てられ、各選挙区内の得票率に比例して各党に配分される。残りの39議席(調整議席)は、固定議席の占有率が全国の得票率を下回った政党に配分される。例えば、全国で20%の得票率を獲得した政党が、選挙区の固定議席で配分された議席の占有率が18%にとどまった場合、20%に近づくように調整議席の一部がこの党に配分される。調整議席の配分も最終的な結果を左右する。

8月28日付けレポート「揺れるスウェーデン政局~総選挙で問う右旋回の4年~」で指摘した通り、両陣営は事前の世論調査でも接戦を繰り広げ、現与党のリベラル系・中道右派の「自由党(L)」が議席獲得に必要な4%に届くかが、勝敗の鍵を握るとみられていた。選挙戦の最終盤で自由党の支持率が急速に巻き返し、最終的に4%を突破したが、スウェーデン民主党が直前の世論調査を下回る得票率にとどまり、現与党陣営は結局、現野党陣営の逆転を許した模様だ。結党以来、総選挙の度に支持を上積みしてきたスウェーデン民主党の得票率は前回総選挙を下回り、現与党陣営内で二番手に転落した(図表2)。スウェーデン民主党の支持率が伸び悩んだのは、①極右政党と称されることもあるスウェーデン民主党が次期政権を主導することを警戒し、現与党支持者の一部が穏健党などに流れたほか、現野党支持者の投票率が高まった、②自由党の議席獲得と右派陣営の勝利を目指し、スウェーデン民主党支持者の一部が自由党に戦略的に投票した―可能性がある。スウェーデン民主党は前回総選挙後、右派陣営内の最大政党となりながら、一部政党からの反対もあり、連立政権への正式参加を見送った。現与党陣営が勝利する場合、今回は連立政権に参加する意向を示唆しており、陣営内もそれを容認する方向だ。

このまま開票速報通り、現野党陣営の勝利が確定した場合、最大政党となる社会民主党が主導する連立政権が誕生し、アンデション氏が首相に復帰する可能性がある。ただ、現野党の左派政党の「左翼党(V)」、環境政党の「緑の党(MP)」、リベラル系・中道政党の「中央党(C)」の間には、経済運営などを巡って意見対立もある。特に福祉拡大や富裕層増税などを主張する左翼党の政権参加に中央党は否定的だ。首相就任・政権発足には議会の投票が必要で、定数349の過半数に相当する175人以上が反対すると否決され、反対票が174票以下なら承認される(175人以上の賛成は必要ない)。連立協議が暗礁に乗り上げた場合も、現野党陣営の一部が現与党陣営の政権誕生に賛成票や棄権票を投じる可能性は低く、社会民主党が主導する非多数派政権が誕生することが予想される。社会民主党を中心とした左派政権が誕生する場合、福祉・再分配・気候政策が修正される可能性が高い一方、現政権下で厳格化した移民政策や治安対策の大幅な巻き戻し、NATO加盟や防衛力強化の方針撤回は考えにくい。
最終的な投票結果で右派が逆転した場合、スウェーデン民主党が連立政権に加わる可能性が高い。今回は右派陣営内で二番手に転落したとみられ、連立政権を主導する可能性は遠退いたが、結党以来で初めて閣僚ポストを手にすることになる。政権内での影響力が一段と拡大するかどうかが注目を集めよう。
田中 理
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