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2026.08.19
日本経済
米国経済
欧州経済
日本経済見通し
米国経済見通し
欧州経済見通し
アジア経済見通し
世界経済見通し(日米欧亜・2026年8月)
新家 義貴 、 桂畑 誠治 、 田中 理 、 西濵 徹
1.日本経済
景気の現状 ~中東情勢悪化のなかでも、景気の回復基調は崩れず~
2026年4-6月期の実質GDP成長率(1次速報)は前期比年率+1.1%(前期比+0.3%)と、3四半期連続のプラス成長となった。事前予想を下回り、内容にはやや物足りなさも残ったが、1-3月期の前期比年率+1.9%という比較的高い成長の後であることに加え、中東情勢の悪化によって供給不安や輸入価格上昇、消費者マインド悪化などの逆風が強まった時期だったことを踏まえれば、プラス成長を維持したこと自体は前向きに評価できる。
特に重要なのは、深刻な供給制約が回避されたことである。中東からの資源輸入が大きく減少するなか、一時は原油、ナフサ等の不足が経済に大規模な混乱をもたらすことが懸念されたが、その後は国家備蓄の放出や米国等からの代替調達が進んだことで、資源不足が生産活動を大きく制約する事態には至らなかった。また、グローバルなAI関連需要の拡大も、景気の落ち込みを防ぐ要因となった。
中東向け輸出の減少や工事の遅延による設備投資の抑制等、中東情勢悪化による下押しも一部みられたものの、景気全体としては底堅さを維持し、企業や家計の経済活動が大幅に落ち込まなかった点は重要である。中東情勢悪化という大きなショックのなかでもプラス成長を維持したことは、日本経済が一定の耐久力を示したものと評価できる。

景気の先行き ~コスト増が下押しも、回復基調は維持~
先行きも、日本経済は緩やかな回復を続けると予想する。もっとも、中東情勢の悪化を受けて既に生じている輸入物価や川上段階でのコスト上昇は、今後、時間差を伴って川下へ波及するとみられる。食料品や日用品、電気・ガス料金などの上昇を通じて家計の実質購買力が圧迫されるほか、企業収益も下押しされるため、景気の回復ペースは力強さを欠くだろう。
一方、供給面のリスクが大きく後退していることは好材料である。国家備蓄の放出や政府・民間による代替調達が進展したことで、春先に懸念された資源の調達難が生産活動を大きく制約するリスクは低下している。供給不安の後退は、企業の生産や投資を先送りさせる要因が弱まっているという点でも前向きに評価できる。
企業部門では、高水準の企業収益がコスト上昇に対する一定の緩衝材となるほか、人手不足を背景とした省力化投資やデジタル・AI関連投資への需要は根強い。海外景気も底堅く、グローバルなAI・半導体関連需要が輸出や設備投資を下支えするとみられる。供給不安の和らぎに伴って先行き不透明感が低下していることも、これまで企業が先送りしてきた投資を顕在化させる可能性があるだろう。また、家計部門でも、高い賃上げや底堅い雇用環境が個人消費を支える見込みだ。物価高による下押しは避けられないものの、消費が腰折れする可能性は低い。
こうした点を踏まえれば、価格面からの下押し圧力は残るものの、26年度後半も景気の緩やかな回復基調は維持される可能性が高い。中東情勢を巡る問題の焦点は、春先の「数量・供給不足」から、今後は「価格・所得面」へ移っていくとみている。
27年度については、資源高や調達コスト上昇の悪影響が徐々に減衰することで、景気の回復感は26年度より強まると予想する。企業収益の改善を背景に設備投資が増加するほか、輸出も海外景気の底堅さやAI関連需要に支えられる見込みである。家計部門では、コストプッシュ圧力の一巡に加え、27年4月からの食料品に対する消費税率引き下げによって購買力が押し上げられ、個人消費の回復も強まるとみている。このため、27年度の実質GDP成長率は+1.2%と、26年度の+0.9%から伸びを高めると予想する。

2.米国経済
景気の現状 ~地政学リスクを跳ね返す力強い内需と中期的なインフレ圧力の弱まり~
トランプ政権の「米国第一主義」に基づく貿易・安全保障政策の再構築が進み、関税強化や厳格な不法移民取り締まりを通じて、国内外の地政学的・政策的不確実性は極めて高い水準にある。特に中東情勢の緊迫化とホルムズ海峡の事実上の封鎖は、サプライチェーンの混乱や原油価格の高騰・不安定化を招いている。しかし足元の米経済は、AI関連を中心とするIT投資の急速な拡大が下支えとなり、強い底堅さを維持している。
4-6月期の実質GDP成長率(1次推計)は前期比年率+1.5%(1-3月期:同+2.1%)、前年同期比+2.1%(1-3月期:同+2.7%)と減速した。もっとも、ヘッドラインの下振れに対し、個人消費や設備投資の牽引によって実質民間国内最終需要は前期比年率+3.9%(同+1.7%)、実質国内最終需要は同+3.1%(同+2.2%)へ大幅に加速しており、国内需要の勢いはむしろ強まった。
7-9月期も拡大基調は維持されている。7月にISM製造業景気指数は55.6(前月:53.3)、ISM非製造業景気指数は54.1(前月:54.0)とともに上昇し、両部門で拡大ペースの加速が示された。一方、労働市場では、7月の非農業部門雇用者数が前月差▲2.3万人(前月:+2.0万人)と減少に転じた。ただし、これは地方政府の教育部門で雇用が大幅に減少するなど、一部に特殊要因の影響もみられる。失業率は4.1%と低水準で推移しており、現時点で急激な景気失速を示すものとは言いにくい。
7月のコアCPIは、前年同月比+2.5%(6月:+2.6%)と下げ渋っている。しかし、3カ月前対比年率で+1.6%(6月:+2.3%)、6カ月前対比年率で+2.4%(6月:+2.6%)とともに低下しており、中期的なインフレ圧力が弱まっていることが示されている。これはFRBの2%目標に向けて、基調的なインフレ率の低下が再開していることを示唆している。
7月28、29日のFOMCにおいて、FRBはFFレート誘導目標レンジを3.50~3.75%に5会合連続で据え置くことを決定した。しかし、採決結果は賛成9・反対3(前回6月は賛成12対反対0)と意見が大きく割れた。ハマック(クリーブランド連銀)、カシュカリ(ミネアポリス連銀)、ローガン(ダラス連銀)の地区連銀総裁3名が、即時の0.25%(25bp)の利上げを求めて据え置きに反対した。政策変更を巡り3人の当局者が同時に同じ(タカ派)方向で反対票を投じたのは、2016年9月20、21日開催のFOMC以来、約10年ぶりの異例な事態となる。
景気の先行き ~26年も経済成長率は2%台を維持へ~
今後の米国経済は、関税政策による下押しを積極的な財政政策が相殺・牽引する構図となる見込みである。26年2月の最高裁判決によるIEEPA(国際緊急経済権限法)関税の違法判決を受け、通商法122条(一律10%の追加関税)へ移行し、その後の通商法122条の期限切れを受けて、通商法301条に基づく関税に移行したことで、実効関税率は約7.1%まで低下している(25年の約14.4%から大幅に低下。なお、24年は2.4%)。これにより、実質GDP成長率への下押し効果は0.1~0.2%ポイント(25年は約0.5%ポイントの押し下げ)にとどまると試算されている。
一方、2025年7月4日に成立した財政調整法「OBBBA(One Big Beautiful Bill Act)」が経済成長を強く後押しする。同法は、2017年の「減税・雇用法(TCJA)」の主要条項の延長や新たな減税措置を含む一方で、社会保障網プログラムの削減、国防・国境警備への支出増額などの歳出調整を盛り込んだ法律である。一部の措置は25年から始まっているが、26年に減税効果が最大化するため、家計の実質所得を押し上げて個人消費の拡大を支えると予想される。さらに、投資減税の恩恵によって設備投資の拡大も期待でき、これらが実質GDPを0.4~0.8%ポイント程度押し上げる効果が見込まれ、関税による下押しを上回る経済の押し上げ効果が期待される。
26年通期でみれば、政府機関の活動再開による押し上げや、前述した減税効果によって、米経済は堅調な成長を維持する見通しである。個人消費は、物価上昇等の影響を受けつつも、株価や不動産価格の上昇に伴う資産効果、および減税による手取り収入の増加に支えられ、堅調に推移すると見込まれる。設備投資も、減税効果に加えて生成AIの急速な普及に伴うIT需要の拡大、通商合意の進展による不確実性の緩和、直接投資の増加などを背景に伸び率が高まろう。さらに、通商合意を受けた農作物やエネルギーの輸出拡大も期待される。
以上の要因から、26年の米国経済は潜在成長率を上回るペースを維持し、年間で+2.2%成長と堅調さを維持する公算が大きい。労働市場については、失業率が4.5%を下回る安定した状態が続くと見込まれる。他方、インフレに関しては、住宅関連費用の低下が続くものの、原油価格の上昇や関税賦課の影響が徐々に川下へ波及するなかで、今後は緩やかに上昇する可能性が高い。このような底堅い成長と根強いインフレが同居する環境下、FRBは26年を通じてタカ派的な政策金利の据え置きを継続すると予想される。

3.欧州経済
景気の現状 ~堅調な拡大が続くが、異常気象や資源高の逆風も~
ユーロ圏経済は、米国による関税引き上げやドイツの構造不況といった逆風下でも、緩やかな拡大を続けている。景気の底堅さを支えているのは、①米国との貿易協議を通じて懲罰的な高関税や報復措置の応酬が回避されたこと、②歴史的な物価高の沈静化と賃上げにより、家計の実質購買力が回復基調にあること、③南欧や中東欧諸国を中心に、復興基金を通じた財政支援が続いていること、④長年にわたり緊縮的な財政運営を続けてきたドイツが、財政拡張に舵を切ったことなどが挙げられる。国別には、域内最大国のドイツの回復がなお力強さを欠く一方、スペイン、ギリシャ、ポルトガルなど、かつて債務不安に見舞われた南欧諸国が景気拡大を牽引している。
こうした景気の底堅さに、異常気象と資源高が新たな逆風となっている。欧州では熱波や干ばつが続き、ライン川やドナウ川の水位が記録的な水準に低下している。ライン川はドイツの工業生産や物流を支える大動脈で、流域には化学や鉄鋼などの工業施設、火力発電所などが数多く立地する。ドナウ川は中東欧の物流を支え、穀物、肥料、原材料などの大量輸送を担う。河川水位の低下が長期化すれば、貨物船の積載・就航制限や輸送コストの上昇に加えて、冷却水不足による発電所の出力抑制など、実体経済への影響が一段と広がる恐れがある。
イラン情勢の緊迫化による資源価格の高騰も、ユーロ圏経済の新たな下押し要因となっている。欧州の原油・天然ガス輸入に占める中東の割合は限定的で、ホルムズ海峡の封鎖による影響は、主に国際的なエネルギー価格の上昇を通じて波及する。空爆開始後、原油価格がロシアによるウクライナ侵攻後に匹敵する水準に上昇した一方、天然ガス価格の上昇は2022年のエネルギー危機時と比べて限定的なものにとどまっている。このため、消費者物価のエネルギー価格への波及も、前回の資源高局面ほど大きくない。
エネルギー価格の上昇を受け、欧州中央銀行(ECB)は6月の理事会で利上げを開始した。その後は、企業の価格転嫁や賃上げの動きを警戒しつつ、政策金利を据え置いている。イラン情勢を巡る不透明感は根強いが、エネルギー価格の上昇が賃金やサービス物価に波及する二次的効果は今のところ限定的で、前回の利上げ局面のような大幅な金融引き締めが必要となる可能性は低い。
景気の先行き ~財政拡張が支える緩やかな成長~
先行きは、異常気象やエネルギー高が経済活動を下押しする一方、財政拡張と投資拡大が景気を下支えし、ユーロ圏経済は緩やかな成長を続けると予想する。ドイツの財政転換や欧州各国の防衛支出拡大が本格化するほか、移民流入などを背景とするスペイン経済の底堅さ、再生可能エネルギー、人工知能(AI)関連、防衛関連分野への投資拡大などが成長を支えよう。
南欧や中東欧諸国の景気拡大を支えてきた復興基金は、年末で新規の財政支援が終了する。制度終了を前にした駆け込み申請が続いていることや、資金受領から実際の投資や需要が発生するまでには時間差があり、2027年以降も景気の押し上げ効果が一定程度残るとみられる。また、復興基金の資金拠出の条件となった構造改革が、生産性向上などを通じて中長期的な成長力を高める効果も期待できる。
復興基金に代わる新たな財政拡張の柱となるのが防衛支出だ。EUは加盟国の防衛力増強に向けた財政余力を高めるため、4年間で総額8000億ユーロ規模の「欧州再軍備計画」を開始している。防衛装備品の共同調達に必要な資金を加盟国に融資するほか、GDP比で最大1.5%までの防衛支出の拡大についてはEUの財政規律の対象から一時的に除外する。域内企業からの防衛装備品の調達が増えれば、防衛支出の拡大が欧州域内の生産や投資に波及する効果が期待できる。
イラン情勢の悪化による資源高が響き、2026年のユーロ圏の成長率は再び1%を下回るとみられるが、エネルギー価格による物価押し上げが一巡する2027年には1%台前半に持ち直すと予想する。イラン情勢が一段と悪化し、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、資源価格の一段の上昇やサプライチェーンの混乱、世界経済の減速を通じて、景気後退や長期停滞のリスクが高まる。また、2027年はフランス大統領選挙をはじめ、複数の主要国で重要な選挙が予定されており、その結果次第では財政運営やEUの政策を巡る不透明感が高まる恐れがある。
ECBは資源高によるインフレ圧力の再燃を警戒し、2026年9月と12月に各0.25%の利上げを行い、その後は政策金利を据え置くと予想する。2022年の利上げ局面は、マイナス金利からの利上げ開始で、10%を超える歴史的な高インフレへの対応だった。今回は中立的な金利水準からの利上げで、インフレ率も前回に比べて限定的なことから、利上げ幅は小幅にとどまると予想する。

4.中国・アジア新興国経済
景気の現状~イラン情勢による景気への悪影響を、世界的なAI・半導体投資による好影響が相殺~
中国当局は、3月の全人代で2026年の経済成長率目標を「4.5~5.0%」に引き下げた。背景には、米国の関税政策による世界経済への悪影響が外需の足かせとなるとともに、内需の低迷も続くなど、景気を巡る不透明感が強まったことがある。しかし、1-3月の実質GDP成長率は前年比+5.0%と目標の上限に達するなど、良好なスタートを切った。個人消費をはじめとする内需は力強さを欠く推移が続いたものの、新興国や欧州向け輸出の堅調さが景気をけん引する動きが確認された。その後も、減少していた米国向け輸出に持ち直しの動きがみられるなど、外需は堅調に推移している。その一方で、4-6月の実質GDP成長率は前年比+4.3%に鈍化しており、内需の弱さが景気の足かせとなっている。イラン情勢の悪化に伴う原油をはじめとする商品市況の上昇を受け、中国でも企業部門を中心にインフレ圧力が強まっている。この結果、4-6月はデフレーターが3年ぶりにプラスに転じるなど、マクロ的にはインフレ状態にある。一方、家計部門の節約志向は根強く、企業部門では原材料価格の上昇を製品価格に十分転嫁できず、ディスインフレ圧力が残る状況が続いている。このため、足元の中国経済は「K字型」の様相を一段と強めていると捉えられる。
多くのアジア新興国は、構造的に外需依存度が相対的に高いため、米国の関税政策による悪影響が懸念された。もっとも、米連邦最高裁の判決を受けて関税率が事実上引き下げられたため、その影響は比較的小さく抑えられた。一方、イラン情勢の悪化による原油などの商品市況の上昇は、エネルギー資源の多くを湾岸産油国からの輸入に依存するアジア新興国を直撃した。供給懸念や価格上昇に加え、金融市場における米ドル高を受けた自国通貨安による輸入インフレも重なり、各国のインフレ率は加速した。さらに、一部の中銀は物価と為替の安定を目的に金融引き締めへ舵を切り、家計消費をはじめとする内需の足かせとなる懸念が高まった。しかし、世界的なAI(人工知能)・半導体関連投資の旺盛な動きが輸出を押し上げるとともに、各国でデータセンター関連投資が活発化する動きもみられる。このように、足元のアジア新興国経済では、イラン情勢の悪化による悪影響を、世界的なAI・半導体関連投資の旺盛な動きが相殺している。とはいえ、足元ではイラン情勢の長期化に伴って不透明感が高まるなか、原油や天然ガス価格が高止まりしているほか、代替需要の拡大を反映して石炭価格も高止まりしており、エネルギーインフレが続いている。加えて、非常に強いエルニーニョ現象へ発達する可能性が高まるなか、アジア新興国では高温・少雨による異常気象が農業生産に悪影響を及ぼし、食料インフレを招きつつある。食料品やエネルギーなど生活必需品を中心とするインフレが、個人消費など内需の足かせとなる懸念が急速に高まっている。
景気の先行き~イラン情勢に加え、エルニーニョ現象による異常気象やFRBの政策運営の行方にも注意~
中国では、7月末に開催された党中央政治局会議において、国家プロジェクトの着実な推進を表明しており、公共投資の進捗を促す方針が示されている。このため、当面の中国景気は、政府消費の拡大に加え、公共投資の進展を反映した固定資本投資の増加が下支え役となることが期待される。また、当局は「消費拡大の5ヵ年計画」を発表し、2030年の小売売上高の規模を2025年に比べて2割増の60兆元前後とする方針を掲げている。中国で個人消費に焦点を当てた計画が公表されたのは初めてであり、年平均3.7%の増加を目指す意欲的な方針が示されたことの意義は小さくない。しかし、具体的な方策については不透明なところが多いうえ、不動産市況や雇用環境が個人消費の足かせとなっていることを勘案すれば、内需の先行きは見通しにくい状況が続くとみられる。加えて、供給過剰が続くなか、習近平指導部の下では引き続き供給サイドを中心とする改革姿勢が維持されており、先行きも中国景気の外需への依存が強まる展開が予想される。イラン情勢の悪化を受けて、世界的に再生可能エネルギーやEV(電気自動車)の需要が高まっており、中国企業はこれらの分野で高い国際競争力を有することから、中国の外需を下支えすることが期待される。その一方で、中国による「デフレの輸出」を警戒する向きが強まる可能性には注意が必要になろう。
足元のアジア新興国経済については、イラン情勢の悪化に伴うエネルギーインフレによる下押し圧力を、世界的なAI・半導体需要の旺盛さによる押し上げ効果が相殺する展開が続いてきた。先行きも、世界的なAI・半導体需要が外需をけん引するとともに、データセンターをはじめとする関連投資が設備投資を下支えすることが期待される。一方、内需の不透明要因であるエネルギーインフレは、イラン情勢を巡る不透明感がくすぶり、原油などの商品市況が高止まりするなか、長期化することが懸念される。さらに、エルニーニョ現象の発生を受けて、アジア新興国では高温・少雨による異常気象が見込まれ、農業生産の低迷が食料インフレを招くとともに、食料インフレが長期化する可能性も高まっている。このため、食料品やエネルギーなど生活必需品を中心とするインフレが、家計消費など内需の足かせとなる展開が続くことも考えられる。加えて、アジア新興国にとっては、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策運営の行方にも注意を払う必要がある。足元では、米国と日本の協調介入により米ドル高の動きに一服感が出ているものの、イラン情勢やエルニーニョ現象が世界的なインフレ要因となることが懸念される。FRBが金融引き締め方向に舵を切れば、米ドル高が再燃し、アジア新興国通貨に下落圧力がかかる可能性がある。その場合、各国中銀は物価・為替の安定を目的とした金融引き締めを迫られ、これが内需の下押し要因となり得る。

新家 義貴 、 桂畑 誠治 、 田中 理 、 西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘等を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針等と常に整合的であるとは限りません。








