2026年4-6月期GDP(2次速報値)

~中東情勢悪化のなかでも景気は回復基調を維持~

新家 義貴

年率+1.4%に小幅上方修正、景気評価に大きな変更なし

本日内閣府から公表された2026年4-6月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率+1.4%(前期比+0.4%)と、1次速報の前期比年率+1.1%(前期比+0.3%)から小幅上方修正された。内訳では、設備投資が前期比▲0.9%と1次速報の同▲1.2%から上方修正された一方、民間在庫変動は前期比寄与度+0.3%Ptでほぼ変わらず、公共投資は同▲0.5%と下方修正された。民間在庫変動が事前予想に反して上方修正されなかったことから、成長率は市場予想(前期比年率+1.6%、筆者予想+1.7%)をやや下回ったが、特段ネガティブに評価する必要はない。

全体として修正は限定的であり、4-6月期の景気評価に大きな変更はない。1-3月期の前期比年率+1.9%に続いて比較的高い成長を維持する形となり、中東情勢の悪化によって供給不安や輸入価格上昇、消費者マインド悪化などの逆風が強まったなかでも、日本経済が底堅く推移していたことが改めて確認された。国家備蓄の放出や政府・民間による代替調達の進展によって深刻な供給制約が回避されたことに加え、グローバルなAI関連需要の拡大なども景気を下支えしたとみられる。総じて、今回の2次速報は4-6月期の景気評価を変える内容ではなく、中東情勢悪化という大きなショックのなかでも景気の回復基調が崩れなかったことを示す結果となった。

企業部門の状況も良好である。4-6月期の法人企業統計では、売上高が前年比+5.9%、経常利益が同+24.6%と大幅に増加した。中東情勢悪化に伴うコスト上昇が意識されるなかでも、企業は高い収益水準を維持しており、コスト増に対する一定の緩衝材を有している。人手不足を背景とした省力化投資やデジタル・AI関連投資への需要も根強く、コスト増が続くなかでも投資余力は相応に確保されている。設備投資は4-6月期に減少したものの、企業部門の基調が崩れたとはみていない。

先行きも緩やかな回復基調を維持

先行きについても、景気は緩やかな回復を続ける可能性が高く、7-9月期も小幅ながらプラス成長を維持するとみている。個人消費については、4-6月期にみられた自動車やエアコンなど耐久財需要による押し上げが弱まることに加え、各地で相次ぐ大雨などの自然災害が外出やサービス消費を一時的に抑制する可能性がある。一方、高い賃上げや底堅い雇用環境、政府の電気・ガス料金補助が下支えとなることから、失速には至らないだろう。

輸出についても、海外景気の底堅さやAI・半導体関連需要が支えとなるほか、設備投資についても、省力化やデジタル・AI関連を中心とする投資需要は根強い。資材の調達難が、代替調達の進展等を受けて足元では和らいでいることに加え、中東情勢を巡る不透明感も一時より和らいでいることから、先送りされていた投資が徐々に実行に移され、設備投資は持ち直しに向かうとみている。

自然災害による一時的な下押しなどはあるものの、こうした下支え要因を踏まえれば、7-9月期もプラス成長を維持する可能性が高い。プラス幅自体は小さいものになりそうだが、2四半期連続の高い成長のあとであることや、自然災害による下押しがあることを踏まえると、ネガティブに受け止めるものではないだろう。

その後については、中東情勢の悪化を受けて既に生じている輸入物価や川上段階でのコスト上昇が、時間差を伴って川下へ転嫁されていくことが景気の下押し要因になる。もっとも、①深刻な供給制約が回避されていること、②高水準の企業収益がコスト増に対する一定の緩衝材となること、③AI関連需要の拡大が半導体や電子部品輸出、設備投資などを下支えしていること、④高い賃上げや底堅い雇用環境が個人消費を支えることを踏まえれば、26年度後半も景気の緩やかな回復基調は維持される可能性が高いとみている。

需要項目別の詳細

実質設備投資は前期比▲0.9%と、1次速報の前期比▲1.2%から上方修正された。中東情勢の悪化に伴う資材の調達難や物流面の制約、先行き不透明感の高まりが一部で投資の実行を遅らせた可能性があるほか、研究開発投資の一時的な落ち込みなどもあり、2四半期連続の減少となったが、これをもって設備投資の基調が弱いと判断する必要はない。企業収益は大幅な増加が続いており、コスト増が続くなかでも投資余力は相応に確保されている。人手不足への対応を目的とした省力化投資やデジタル・AI・データセンター関連投資など構造的な需要も引き続き強い。春先にみられた資材の調達難も代替調達の進展によって和らいでおり、中東情勢悪化を受けて一時的に先送りされていた投資が今後徐々に実行に移されることも期待できるだろう。設備投資は先行き持ち直しに向かうと予想する。

民間在庫変動は前期比寄与度+0.3%Pt(前期比年率寄与度:+1.2%Pt)と、1次速報(前期比寄与度+0.3%Pt、前期比年率寄与度+1.1%Pt)からほぼ変化はなかった。原材料在庫は下方修正されたが、仕掛品在庫と製品在庫が上方修正され、全体としては大きな修正には至らなかった。

公共投資は前期比▲0.5%と、1次速報の同▲0.1%から下方修正された。1次速報で未反映だった6月分の建設総合統計の結果が下振れたことが影響している。

個人消費は前期比0.0%と、1次速報の同▲0.0%からほぼ変わらず。6月分の生産動態統計やサービス産業動態統計調査などの結果が反映されたが、大きな修正には至らなかった。

図表
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新家 義貴


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新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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