インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

韓国・李政権の支持率が急落、就任後最低水準に

~8月の代表選へ主導権争い激化、その行方は良好な日韓関係に影響を与える可能性も~

西濵 徹

要旨
  • 韓国ギャラップが6月26日に発表した世論調査では、李在明政権の支持率は51%に低下し、2025年6月の発足以来最低水準となった。5月下旬の64%から1ヵ月で10ポイント以上も下落しており、他社の調査でも同様の低下傾向が確認されている。

  • 6月3日の統一地方選挙と国会議員補欠選挙では、与党・共に民主党が主要首長選12自治体と補欠選9選挙区で勝利し、全体として圧勝した。しかし、首都ソウル特別市長選では野党・国民の力の候補が当選し、政権に対する「中間評価」としては微妙な結果となった。同時に、投票用紙不足といった選挙管理上の問題が発生し、直後から支持率の低下を招いた。

  • 不動産価格高騰への有効な対策がなく、社会経済格差の拡大が続いている。中東情勢の緊迫化に伴う原油高を背景に、食料品やエネルギーの物価上昇によりインフレも加速している。一方、金融市場ではコーポレートガバナンス改革の継承・強化とAI関連投資の活況が株価を急上昇させる一方、個人投資家による海外資産投資の拡大がウォン安圧力を強めており、当局はNDF取引監視の強化で対応した。しかし、ウォン安への有効策とはなっていない。

  • 李氏は与党内では非主流派であり、主流派の鄭清来前代表らと対立している。8月の代表戦に向けた主導権争いが激化しており、鄭氏の選出による李氏の求心力低下が懸念される。政治的混乱が支持率低下の一因となり、その展開は日韓関係にも影響を与える可能性がある。

韓国の李在明(イ・ジェミョン)政権の支持率が急落している。世論調査会社の韓国ギャラップが6月26日に発表した最新調査では政権支持率が51%となり、2025年6月の政権発足以来の最低水準となった。同社の調査では、支持率は一貫して60%前後の高水準で推移してきたものの、5月下旬時点(64%)から6月第2週(57%)、6月26日(51%)となるなど、1ヵ月の間に10pt以上低下した。他社による調査においても同様の結果がみられるなど、李政権に対する逆風が強まっている様子がうかがえる。

同政権は6月4日に発足から丸1年が経過した。こうしたなか、3日には同政権下で初の全国規模の選挙で、政権に対する「中間評価」と目される統一地方選挙と国会議員の補欠選挙が実施された(注1)。16の広域自治体の主要首長選挙では、12自治体で与党・共に民主党の候補が勝利し、選挙前(5自治体)から勢力を反転させた。さらに、同時に実施された14選挙区の国会議員補欠選でも共に民主党は9選挙区で勝利しており、全体的にみれば与党が圧勝した。しかし、注目を集めた首都ソウル特別市長選においては、最大野党・国民の力の候補が勝利したため、李政権に少なからず影響を与えることが懸念された。首都ソウル特別市長選で与党候補が敗北した背景には、政権が同市南部を中心とする不動産価格の高騰に有効な手を打てず、社会経済格差の拡大に歯止めをかけられなかったことも影響したとされる。

統一地方選では多くの選挙区で投票用紙不足が発覚し、投票が一時中断されたほか、投票できない有権者も出たとされる。さらに、一部の有権者は出口調査結果が報道された後に投票するなど、公正性の問題も生じる事態となっていた。このため、選挙の直後にはこの問題を理由に政権支持率の低下が確認された。今回の調査でもその影響が色濃く残った格好である。中東情勢の緊迫化を受けた原油高を背景に、食料品やエネルギーなどの物価上昇を受けて足元のインフレ率が加速していることも影響したと考えられる。

金融市場では、現政権が尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権によるコーポレートガバナンス(企業統治)改革を継承・強化するとともに、世界的なAI(人工知能)関連投資の活況も追い風に主要株価指数(KOSPI)は急上昇してきた。しかし、若年層を中心とする個人投資家は外国株をはじめとする海外資産への投資を拡大しており、ウォン安圧力を強める一因となるなど、株価と通貨が対照的な動きをみせている。当局はウォン安阻止に向け、NDF(ノン・デリバラブル・フォワード)取引の監視を強化する方針を明らかにした(注2)。一方、こうした当局の対応は、指数算出会社であるMSCIが同国の市場区分を「新興国」に据え置く一因となったと考えられる(注3)。直近の世論調査では、景気動向や物価対策、ウォン安対策の不足が不支持の理由の上位となるなど政権は苦境に直面している。

李政権の外交方針を巡っては、国益に基づく「実用外交」を掲げるとともに、就任以降は日本とシャトル外交を展開するなど、良好な関係構築が進められている。しかし、李氏は与党・共に民主党内では非主流派とされ、主流派の鄭清来(チョン・チョンレ)前代表などは李政権の政策運営を公然と批判してきた。同党では8月に実施される代表戦に向けて主導権争いが激化している。代表戦には、李氏に近い金民錫(キム・ミンソク)首相のほか、鄭前代表らの出馬が見込まれるが、仮に鄭氏が選出されれば、李氏の求心力低下が懸念される。一方、世論調査では党内対立の激化が支持率低下の一因となっており、李政権にとって難しい状況が続くことは避けられない。また、その行方は良好な展開をみせる日韓関係に少なからず影響を与える可能性に注意が必要である。

以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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