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2026.05.22
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フィリピン中銀のレモロナ総裁、緊急利上げの可能性に言及
~ペソ安圧力へのけん制か、日本が主導する「パワーアジア」の取り組み加速は重要に~
西濵 徹
- 要旨
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フィリピン中銀のレモロナ総裁は、5月22日に放送されたテレビインタビューで、中東情勢の緊迫化を背景とした原油供給懸念やペソ安の進行により物価上昇圧力が高まるなか、4月の利上げが「十分ではなかった」との認識を示し、緊急利上げの可能性に言及した。4月のインフレ率は前年同月比+7.1%と目標レンジを大きく上回り、対応の遅れへの懸念も示した。
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総裁の発言はペソ安へのけん制とも受け止められるが、中東情勢の不透明感が続くなかで今後もペソ安圧力は続くとみられる。こうしたなか、日本が主導する「パワーアジア」を通じ、地域のエネルギー供給の安定化に向けた取り組みを加速させることが重要になる。
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フィリピン中央銀行のレモロナ総裁は、5月22日に放送されたテレビインタビューで、金融政策について見解を示した。フィリピンでは、中東情勢の緊迫化による原油供給への懸念の高まりを受けて、マルコス大統領が3月24日に「エネルギー非常事態宣言」を発令した。中銀は発令直後の3月26日に緊急会合を招集し、インフレリスクを警告したものの、政策金利を据え置いて様子見姿勢を維持する考えを示した(注1)。しかし、その後の金融市場においては、中銀が通貨ペソ安容認と取れる見方を示したことも重なり、ペソ相場は下落の動きを強めて最安値を更新する動きとなった(図1)。その結果、原油や化学肥料の価格上昇による物価上昇に加え、ペソ安による輸入インフレが物価上昇圧力を一段と強めることが懸念された。こうした状況を踏まえ、中銀は4月23日の定例会合で利上げを決定するなど、一転して金融引き締めへとかじを切った(注2)。

中銀は4月の定例会合での利上げ決定に際して、インフレが一時的に上振れするとの見方を示していた。しかし、4月のインフレ率は前年同月比+7.1%と目標レンジ(2~4%)を大きく上回るとともに、2023年2月以来の高い伸びとなるなど、物価を巡る状況は急変している(図2)。こうしたなか、レモロナ総裁はテレビインタビューにおいて4月会合での利上げについて「十分ではなかったようだ」との認識を示すとともに、「政策当局は大規模かつ持続的な供給ショックに直面している」と指摘した。そのうえで、政府は「財政運営面で物価抑制に向けて役割を果たしている」とする一方、中銀も「物価抑制に注力している」としつつ「対応が遅れるリスクがある」との認識を示した。そして、先行きの政策運営について「臨時会合を開催するか、それとも定例会合を待つべきかどちらとも判断しかねる状況にある」との考えを示すなど、緊急利上げの可能性に言及した。また、「FRB(米連邦準備制度理事会)の動きは我々の判断に大幅な影響を与える」として、FRBによる政策運営を注視する考えを示した。

レモロナ氏が緊急利上げの可能性に言及したことは、金融市場においてペソ安圧力が強まっていることへのけん制の意味合いが強いと捉えられる。しかし、中東情勢は依然として見通しが立ちにくい状況が続いており、原油や化学肥料価格の高止まりは物価上昇や対外収支の悪化など経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の悪化を招きかねない。したがって、先行きもこうした状況を材料にペソ安圧力がかかりやすい展開が予想される。その意味では、日本が主導して同国も加わる「パワーアジア(アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ)」の取り組みを加速させることの意義は大きい。こうした取り組みは金融市場の不安要因を最小限に抑えることにも資すると期待される。
注1 3月27日付レポート「フィリピン中銀、緊急会合でインフレリスクを警告も利上げは見送り」
注2 4月23日付レポート「フィリピン中銀、中東情勢による物価高で2年半ぶりの利上げ決定」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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