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FOMCにおける反対票の動向

~ウォーシュ新議長に合議制の壁~

前田 和馬

4月FOMC(4/28~29開催)において、FRBは事前の予想通りに3会合連続で政策金利(3.5~3.75%)を据え置いた(詳細は「FRBは中東情勢の混乱が続く中で据え置きもタカ派が台頭」)。ただ、反対票が12票中4票に達したのはサプライズであった。退任予定のミラン理事は前回FOMCに続き0.25%ptの利下げを主張した一方、ハマック・カシュカリ・ローガンの3名の地区連銀総裁が「声明文に緩和バイアスを含めること」に反対した(金利据え置きには賛成)。現時点での声明文は「更なる金利調整の程度と時期を巡り」と言及するなど、次の政策変更が2025年12月以来の利下げになることを示唆している。一方、3月FOMC議事要旨では複数(some)の参加者が「声明文において、利下げと利上げの双方(two-sided)の可能性を示唆すべき」と主張しており、今回の反対票もこうした反映を狙ったものとみられる。

FOMCは理事7名、NY連銀総裁、輪番制の地区連銀総裁4名の計12名による投票で政策が決定される。FOMCにおける反対票の長期的な動向をみると、4月時点における2026年の反対率(=反対票÷総投票数)は19%と、現行体制のFOMC運用が始まった1936年以降で最も高い(図表1)。2000年以降の反対票は地区連銀総裁による引き締め方向(タカ派的)の反対票が多かった一方、2026年はトランプ政権寄りのミラン理事が継続的に利下げを主張するなど、政治的な影響が意識される内容となっている。ちなみに、1970~80年代にかけての高インフレ・高失業の期間においては、よりハト派的とよりタカ派的な双方向の反対票がみられる傾向にあった。

上院承認の目途が立ったウォーシュ氏は5月中旬に新議長へ就任する見通しだ。4月21日の上院公聴会では「AIによる生産性向上」や「(足下でコアPCEインフレを下回る)トリム平均の重視」を指摘するなど、先行きの利下げに向けた布石がみられた(詳細は「FRB議長候補ウォーシュ氏の公聴会発言」)。一方、複数のFOMCメンバーが原油高によるインフレ高止まりリスクを警戒するなど、当面の利下げに対する慎重意見は多い。合議制のFOMCにおいて、ウォーシュ新議長が中立的なFOMCメンバーを説得できるかが、先行きの金融政策を占ううえでの焦点となる。

図表
図表

以 上

前田 和馬


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前田 和馬

まえだ かずま

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析

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