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2026.07.07
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ペルー・フジモリ次期大統領、中銀総裁留任で政策の継続性を重視
~ベラルデ中銀総裁が留任要請を受諾、市場が期待する同氏の手腕と政権運営の行方は~
西濵 徹
- 要旨
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- 6月7日に実施されたペルー大統領選の決選投票は、右派のケイコ・フジモリ氏と左派のロベルト・サンチェス氏の接戦となり、開票結果への異議申し立てや在外投票の遅れにより、確定まで時間を要した。最終的に国家選挙審査会はサンチェス氏陣営の申し立てを却下し、7月3日にフジモリ氏の当選を正式発表した。これにより、フジモリ氏は4度目の挑戦で大統領に就任することとなり、政治混乱が続いた同国で2016年以降9人目の大統領となる。
- 金融市場では、フジモリ氏が自由市場重視の経済運営や米国・中南米右派政権との連携強化を掲げていることが好感されている。特に、左派政権下で停滞してきた鉱山開発案件の再始動への期待が高まっており、銅をはじめとする鉱物資源の供給源としてのペルーの重要性があらためて注目されている。こうした見方を背景に、通貨ソル相場も底堅く推移している。
- また、フジモリ氏は政策運営の継続性を重視し、長年にわたり中銀を率いてきたベラルデ総裁に留任を要請し、同氏は7月6日にこれを受け入れることを表明した。足元のペルーでは原油高に伴うインフレ圧力に加え、今後はエルニーニョ現象による食料インフレも懸念されるなか、ベラルデ総裁の手腕とフジモリ新政権の政策運営が注目される。
南米ペルーで6月7日に実施された大統領選挙の決選投票は、右派のケイコ・フジモリ氏と左派のロベルト・サンチェス氏による一騎打ちとなった。選挙戦では、治安悪化への対応や経済格差の是正が主な争点となった。一方、右派と左派による対決の構図を受けて、両者は対照的な政策を掲げたため、選挙戦の最終盤にかけて両候補の支持率は拮抗した。さらに、投票締め切り直後に公表された出口調査のほか、選挙管理当局が公表した開票速報でも両者の得票率は僅差となった。また、開票結果に対する異議申し立てが行われたほか、在外投票の到着が遅れたことも重なり、票の点検と再集計が行われるなど、開票作業は長期化した。
6月末には、フジモリ氏の勝利が確実となったものの、サンチェス氏陣営は開票結果への異議申し立てを行うとともに、その結果を受け入れない考えを示した。その後、国家選挙審査会は申し立てを却下する判断を下すとともに、7月3日にケイコ・フジモリ氏が当選したと正式に発表した。これにより、フジモリ氏は4度目の挑戦で大統領の座を射止めるとともに、7月28日就任することが決まった。同国では、汚職や権力濫用の疑惑を理由とする大統領の罷免が相次いでおり、今年も2月に当時のホセ・ヘリ暫定大統領が罷免され、左派系議員のバルカサル氏が後任の暫定大統領に就任した。このため、フジモリ氏は2016年以降に就任した9人目の大統領となる。
金融市場においては、右派のフジモリ氏が勝利したことを好感する向きがみられる。背景には、フジモリ氏がトランプ米政権との連携深化による投資の呼び込みに加え、自由市場を軸とする経済運営を通じた安定路線を維持する考えを示したことがある。さらに、中南米ではここ数年、右派政権が相次いで誕生しており、フジモリ氏はこれらの国々との連携強化も図る方針を示してきた。そして、ここ数年は左派政権の下で停滞してきた鉱山開発案件の再始動が進むとの見方もでている。中東情勢の緊迫化を背景に鉱物資源のサプライチェーンの多様化が世界的な課題となるなか、同国は、銅、鉛、亜鉛、銀、金などの鉱業部門が産業の中核を担うほか、原油や天然ガスも産出するため、重要な供給源となることが期待される。こうした見方を反映して、足元の通貨ソル相場は底堅い動きをみせている(図1)。

さらに、フジモリ氏は政策運営の継続性を重視する観点から、中銀のフリオ・ベラルデ総裁に留任を要請していた。先月末に74歳となったベラルデ氏は、2006年に中銀総裁に就任して20年にわたって同行を率いるとともに、前述のように大統領が相次いで交代するなど政治的な混乱が続くなかでも安定した政策運営を行い、インフレ率を中南米地域のなかでも低水準に抑えることに貢献してきた。中銀総裁の任期は大統領と同じ5年であり、次期大統領が交代や再任を決定することができるなか、フジモリ氏は留任を要請した。こうしたなか、6日にベラルデ氏は留任することを明らかにした。インフレ率は中東情勢の緊迫化を受けた原油高を理由に加速しているものの(図2)、足元では原油高の動きに一服感が出る一方、先行きはエルニーニョ現象による漁業や農業への悪影響を通じた食料インフレが懸念される。当面はその手腕が期待されるとともに、フジモリ政権による政策運営にも注目が集まるであろう。

西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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