春闘賃上げ率は昨年をやや上回る(連合第1次集計)

~歴史的賃上げとされた24年春闘をさらに上回る強い結果に~

新家 義貴

連合が公表した2025年春闘の第1回回答集計では賃上げ率は5.46%となった。昨年の第1回回答集計値の5.28%と比較して+0.18%Ptの改善となる。12日の集中回答日で満額回答が続出していたことなどからある程度強い結果が出ることは予想されてはいたが、歴史的な賃上げとされた24年春闘の賃上げ率を上回ったことはポジティブだ。

なお、この春闘回答集計は、今回の第1回集計から7月上旬に公表される第7回(最終)集計まで計7回の調査があり、集計が進むにつれて多少下振れていくことが多いとされている。ただ、第1次集計から最終集計にかけての修正度合いを見ると、前回24年で▲0.18%Pt、23年で▲0.22%Pt、22年で▲0.07%Ptなど、修正幅はそこまで大きいわけではない。また、今後交渉が進んでいくのは中小企業だが、後述のとおり中小企業における賃上げ圧力は昨年以上に強いことを考えると、今後の下方修正幅は例年対比で小さなものにとどまる可能性もあるだろう。

ここで仮に昨年並みの下方修正があったとしても、25年春闘賃上げ率(連合ベース)の最終的な着地は5.28%となる。2年連続の5%台は固いところで、伸び率も昨年(5.10%)を上回る可能性が高いだろう。エコノミストの予想では、25年春闘では「24年並み」もしくは「24年をやや下回る」賃上げ率になるとの見方が多かったが、実際には「24年をやや上回る」結果になる可能性が高まったと言って良い。

また、今回特徴的だったのが中小企業の賃上げの強さである。組合員数300人未満の平均賃上げ率は5.09%と、昨年の第1回回答集計値の4.42%と比較して+0.67%Ptの改善となる。300人以上組合(5.47%)と比較して、賃上げ率の水準は及ばないものの、昨年対比での改善度合いで言えば中小組合の方がはっきり大きい。中小企業は大企業に比べて収益面での余裕はないが、人手不足感の強さと人材確保の必要性は中小企業の方が大きい。防衛的な賃上げとはいえ、中小企業でも高い賃上げが実現する可能性が高まったことは前向きに受け止めて良いと思われる。

なお、春闘で決まった賃上げは、5月以降に反映が本格化し、その後も7~8月頃まで徐々に反映が進んでいく形となる。今回の春闘の結果を踏まえれば、足元で前年比+3%程度の推移を続けている所定内給与(共通事業所ベース)は、おそらく+3%台前半~半ば程度まで伸びが高まることになるだろう。

今回の結果は、賃金情勢に注目し続けてきた日本銀行にとって追い風となる。利上げに対する賃金面からのハードルは既にクリアしたと言って良いだろう。もちろん、トランプ大統領の関税政策により世界経済の先行きに不透明感が高まっていることや、それを受けて金融市場もやや不安定となっていることから、現時点での利上げは現実的ではない。だが、仮にこの先、関税政策への不透明感がある程度緩和され、金融市場も落ち着くようであれば、現在7月との見方が多い利上げのタイミングについて、6月や5月への前倒しも検討されることになるだろう。

新家 義貴


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新家 義貴

しんけ よしき

経済調査部・シニアエグゼクティブエコノミスト
担当: 日本経済短期予測

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