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2025.03.13
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資産運用のキホン
~その20:代表的なテクニカル分析~
嶌峰 義清
- 要旨
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- テクニカル分析の指標は数多くあり、投資家は複数の指標を参考にするケースが多い。
- ここでは価格の方向性を示すトレンド系と、転換点を示唆するオシレーター系の代表的な指標を取り上げる。
- 目次
様々なテクニカル分析
「Investment Navigator 資産運用のキホンその18~19」では、テクニカル分析の基本的なものとしてローソク足、トレンド線、移動平均線について解説した。これらは投資家が運用を行うに当たり、証券会社などのホームページで必ずと言っていいほど目にするものだ。したがって、まずはその意味するところや何を示しているのか、といった点に絞って紹介した。しかし、テクニカル分析には数多くの手法があり、その指標も多い。多くの投資家は、複数のテクニカル指標を分析することで、投資の目安の一つとしている。
ここでは、そうした指標のうち特に投資家の人気が高いと言われている代表的な指標を紹介する。テクニカル指標は大きく分けて価格の方向性を示す「トレンド系」とよばれる指標と、相場の過熱感から転換点を示唆する「オシレーター系」とよばれる二つに大別されるため、それぞれの代表的な指標を2つずつ取り上げる。いずれも証券会社などのホームページでも確認できるものだ。
トレンド系テクニカル指標①:ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、一定期間の終値の標準偏差を算出し、これを移動平均値に加減したものだ(図表1・2)。


統計学的には移動平均値の上下2σ(標準偏差)以内(バンドと呼ぶ)にデータが収まる確率は95%程度とされている。特に±2σのラインを超えて相場が上昇(下落)することはまれなため、価格が+2σのライン付近まで上昇したところが売りポイント、―2σ付近まで下落したところが買いポイントと見なされることが多い。
また、相場が横ばい圏で膠着状態(持ち合い)が続くと、図中丸印のようにボリンジャーバンドが収縮する局面がある。この状態から相場が±2σのラインのどちらかを超えると、その方向に相場が大きく動き始めることが多いとされており、順張り(じゅんばり:相場の方向性に従った運用スタイル。反対に相場が逆方向に動くことを見越して投資をするスタイルを逆張り(ぎゃくばり)と呼ぶ)の買いや売りを入れるタイミングと見なされることが多い。
トレンド系テクニカル指標②:一目均衡表
一目均衡表は日本生まれ(考案者が日本人)のテクニカル指標で、5本のトレンド線と“雲”と言われるゾーンから成り立つ(図表3:日経平均株価は終値の折れ線グラフで表示)。
5本の線はそれぞれ基準線、転換線、先行スパン1、先行スパン2、遅行線と名前がついており、雲は2本の先行スパンに囲まれたゾーンとなる。

一目均衡表の最大の特徴は、先行スパンと雲が26日先まで描かれており、先行き1ヶ月近くの相場水準や動きなどを示唆している点だ。これは、それぞれの線の算出方法による(図表4)。

一目均衡表の一般的な活用法としては、
1. 現在の価格が基準線よりも上にあれば上昇相場、下にあれば下降相場
2. 基準線が上向きであれば上昇相場、下向きであれば下降相場、横ばいであればもみ合い
3. 基準線が上向きで、転換線が基準線を上抜ければ買いシグナル(“好転”と呼ぶ)
4. 基準線が下向きで、転換線が基準線を下抜ければ売りシグナル(“逆転”と呼ぶ)
5. 現在の価格が雲よりも上にあれば上昇相場で、雲が下値抵抗ゾーン
6. 現在の価格が雲よりも下にあれば下降相場で、雲が上値抵抗ゾーン
7. 価格が雲を下から上に突破すれば“好転、上から下に突破すれば”“逆転”
8. 雲がねじれたところ(先行スパンの1と2が逆転)は相場の転換点となる可能性
9. 雲の厚さは抵抗力の強さを示し、厚いほど突破には時間を要する
10. 遅行線が価格を上回れば“好転”、下回れば“逆転”
などとなる。
オシレーター系テクニカル指標①:MACD(マックディー)
MACDは「Moving Average Convergence Divergence(移動平均収束拡散)」の略で、移動平均値をもとに作られたテクニカル指標だ。ただし、ここで使用する移動平均値は指数平滑移動平均(EMA)と言われるやや特殊なものだ。一般的な移動平均(単純移動平均:SMA)は、例えば3日移動平均であれば直近3日間の終値の単純平均だ。これに対し指数平滑移動平均は、過去3日間にさらに直近値を加えて4(5+1)で割って算出する(図表5)。

これにより、直近のデータの比重が高まるため、足元の値動きをより反映しやすい=足元の動きに反応しやすい、という特徴が出る。
MACDは、一般的なローソク足チャートに新たな線を書き込むのではなく、時系列(グラフの横軸の期間)を合わせた別掲のグラフとして表される。グラフの要素は、MACDとシグナルと言われる2本の線、それに両者の差を棒グラフにしたヒストグラムという3つの要素で構成される(図表6)。

MACDの計算式は(図表7)、短期の移動平均線から長期の移動平均線を引いたもので、(図表6)の例では12[12日指数平滑移動平均値-26日指数平滑移動平均値]となる。

一般的な活用方法としては、
1. MACDがシグナルを下から上へ上抜ければ買いのシグナル(ゴールデンクロス)
2. 逆に、MACDがシグナルを上から下へ下抜ければ売りのシグナル(デッドクロス)
3. ゴールデンクロス後にMACDがゼロを上回れば一段高
4. デッドクロス後にMACDがゼロを下回れば一段安
5. ゴールデンクロスとデッドクロスはクロス時のMACDの傾斜がきついほど信頼度が高い
6. ゴールデンクロスはMACDの水準が低いほど信頼性が高く、MACDの水準が高いほど信頼性は低い
7. デッドクロスはMACDの水準が高いほど信頼性が高く、MACDの水準が低いほど信頼性は低い
8. ヒストグラムが上昇傾向なら相場も上昇トレンド、ヒストグラムが下降傾向なら相場も下降トレンド
9. ヒストグラムの高さが高いほどトレンドも強い
10. 価格が上昇して高値を更新しているときにMACDが下降して水準を下げていれば売りのシグナル、価格が下落して安値を更新しているときにMACDが上昇して水準を上げていれば買いのシグナル(ダイバージェンスと呼ぶ)
などとなっている。
オシレーター系テクニカル指標②:RSI(アールエスアイ)
RSIは「Relative Strength Index(相対力指数)」の略で、一定期間内(一般的に14日間)の価格の上昇幅と下落幅を比較したもので、相場の買われすぎや売られすぎといった過熱度合いを示す指標だ。指標が買われすぎを示唆するゾーンに入れば売りのシグナル、売られすぎを示唆するゾーンに入れば買いのシグナルとされる。
RSIの算出式は以下の通り(図表8)。

RSIのグラフは、MACDと同様に相場の値動きを示すローソク足チャートとは別掲され、一般的にはローソク足チャートの下に時系列を合わせて表示される(図表9)。相場が買われすぎか売られすぎかはRSIの水準で判断し、一般的には70%以上が買われすぎ、30%以下は売られすぎとされている。

また、RSIにもダイバージェンスと呼ばれる現象があり、価格が上昇しているときにRSIが低下していれば下降トレンドへの転換を示唆しているとされる一方、価格が低下しているときにRSIが上昇していれば上昇トレンドへの転換を示唆しているとされている。
RSIの注意点としては、
1. 相場が横ばいで持ち合い状況が続いている局面では、RSIも中位(30~70%)で推移し、明確な売り買いのシグナルは出ない
2. 相場が大きなトレンドを形成している場合、上昇トレンドであれば売りのシグナルとなる70%以上にRSIが上昇することはあっても、なかなか水準が下がらず、押し目買い(水準がやや下がったところで買う)の機会を見つけにくい。逆に、下落トレンドであれば買いのシグナルとなる30%以下にRSIが低下することはあっても、なかなか水準が上がらず、戻り売り(水準がやや上がったところで売る)の機会を見つけにくい
といった点がある。このため、他の指標などと合わせた判断が望まれる。
“ダマシ”に注意して複数の指標を活用
ここで取り上げたテクニカル指標は、数ある指標の一部に過ぎない。また各指標の分析手法やシグナルの見極め方についても、ここで紹介したものは代表的なものに過ぎず、より細分化された分析手法も存在している。テクニカル指標からは様々な売り買いのシグナルが発生するが、ダマシも多く存在する。複数の指標を見比べて、慎重に見極めることが必要だ。
嶌峰 義清
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

