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2025.01.15
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ロサンゼルス近郊の山火事を巡るQ&A
~1月の雇用者数が2万人下押しされる可能性~
前田 和馬
2025年1月7日(現地時間)にカリフォルニア州のロサンゼルス近郊で発生した複数の山火事は、鎮静化の兆しが立っていない。約20万人の住人に避難命令・勧告が発令されており、経済損失は2,500億ドル(55兆円)に達するとの試算がある。本稿では山火事を巡る原因や被害額に関してQ&A形式で概観する。なお、本稿の記載は1月14日時点の情報に基づいている。
山火事の原因は未だ特定されていない。Balch et al.(2017)は1992~2012年のデータに基づき、山火事の84%はキャンプファイヤーやたばこ、放火、送電線からの火の粉など、人為的な原因によるものと指摘する(それ以外の原因は落雷などの自然発生)。とはいえ、2023年における山火事の発生件数は全米規模で56,580件、うちカリフォルニア州では7,386件と、その発生自体は珍しいものではない。なお、同州の大規模な山火事は乾季にあたる夏頃に集中しており、今回のように冬場に大規模な被害をもたらすことは少ない。2024年10月以降のロサンゼルスの降雨量は僅か0.16インチ(0.4cm)と、例年対比で異様に少なく、こうした干ばつと強風の組み合わせが山火事被害を拡大させたとみられる。

物価・インフレへの影響を巡っては、住宅損害保険の価格上昇が見込まれるものの、物価統計への影響は抑制される可能性が高い。例えば、建物等への損害保険料(企業向け)は気候変動による自然災害の増加を背景に足下で1割強の上昇を示すものの、住宅保有者の損害保険料はCPI統計の算出に含まれない。CPIの算出に反映されるのは賃貸向けの家財保険(CPIに占めるウェイト:0.4%)であり、直近24年11月の同保険料は前年比+2.0%の上昇に留まっている。

【注釈】
- 1月雇用統計の調査期間は12~18日であり、事業所調査における非農業部門雇用者数は同期間に給与を受け取った人数が集計される。このため、現時点で就業が困難な被災者の一定数がこの期間に給料を受け取る場合、1月の雇用者数への影響は同試算よりも抑制される可能性がある。また、失業率の算出に用いる家計調査は悪天候で一時的に就業していない人々を失業と定義しないため、失業率への影響はより限定的に留まる可能性がある。一方、Luo(2023)は大規模な山火事を被害建物が300軒以上などで定義しており、今回の山火事がこうした分類のなかでも上位に位置する災害規模であることを踏まえると、悪影響がより大きい可能性も否定できないなど、同試算は幅をもってみる必要がある。
【参考文献】
Balch, Jennifer, Bethany Bradley, John Abatzoglou, Chelsea Nagy, Emilly Fusco, and Adam Mahood (2017), “Human-started wildfires expand the fire niche across the United States.” Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS), 114(11) p2496-2951.
Luo, Tian (2023), “Labor market impacts of destructive California wildfires,” BLS Monthly Labor Review.
前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

