インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

ニュージーランドのインフレは中銀想定を上回る鈍化、NZドル相場は?

~インフレ圧力はくすぶるも、中銀のハト派傾斜が意識されてNZドル相場は上値の重い展開が続こう~

西濵 徹

要旨
  • ニュージーランド準備銀は今月9日の定例会合で2会合連続の利下げを決定し、利下げペースを加速させるなど「ハト派」姿勢を強める動きをみせた。中銀は先行きのインフレ鈍化を見込むなか、7-9月のインフレ率は前年比+2.2%と3年半ぶりに目標域に回帰するとともに、8月会合の際に公表した見通しを下回る伸びに鈍化していることが確認された。なお、コアインフレ率は前年比+3.1%と目標域を上回る推移が続くほか、非貿易財やサービス関連を中心にインフレ圧力がくすぶる展開が続く。しかし、インフレ鈍化の動きは中銀のハト派傾斜を後押しすると見込まれるなか、足下では米ドル安の動きが一巡していることも重なり、当面のNZドルの対米ドル相場は上値が重く、日本円に対しても同様に上値の重い展開が見込まれる。

ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、9日に開催した定例の金融政策委員会において政策金利(オフィシャル・キャッシュ・レート(OCR))を2会合連続で引き下げるとともに、引き下げ幅を50bpに拡大させて4.75%とするなど利下げを加速させる決定を行った(注1)。この決定の前提として、RBNZは7-9月のインフレ率は目標域(1~3%)に収束するとともに、中長期的には目標域の中央値(2%)近傍に留まるとの見通しを示すとともに、利下げ幅についても25bpと50bpについて協議した上で大幅利下げを決定するなど『ハト派』姿勢を強めている様子がうかがわれた。よって、7-9月のインフレがRBNZの想定通りに鈍化しているか否かが注目されたなか、前年同期比+2.2%と前期(同+3.3%)から鈍化して3年半ぶりに中銀目標域に回帰したことが確認されている。なお、前期比は+0.6%と前期(同+0.4%)から上昇ペースが加速しており、国際原油価格の頭打ちなどを反映してエネルギー価格の上昇ペースは鈍化する一方、異常気象などが影響して生鮮品を中心とする食料品価格は上昇の動きを強めており、生活必需品を中心にインフレ圧力が強まっていることが影響している。他方、食料品やエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同期比+3.1%と前期(同+3.4%)から鈍化してインフレ率同様に3年半ぶりの伸びとなっているものの、引き続き中銀目標域を上回る推移が続いている。前期比も+1.0%と前期(同+0.3%)から上昇ペースは加速しており、エネルギー価格の鈍化を反映して輸送コストに下押し圧力が掛かっていることを受けて貿易財を中心に物価は下落している一方、非貿易財を中心に物価上昇圧力がくすぶるとともに、雇用は頭打ちの様相を強めているにも拘らずサービス物価も上昇ペースを強めるなど、インフレ圧力がくすぶる展開が続いている。しかし、インフレ率を巡っては、RBNZが8月の定例会合に際して公表したインフレ見通し(7-9月は前年比+2.3%)を下回る伸びとなっており、今月の定例会合において利下げのペースを加速させた決定を後押しする内容になっていると捉えられる。さらに、先行きの政策運営については明確な方向性こそ示していないものの、足下のインフレが想定を上回るペースで鈍化していることが確認されたことは、継続的な利下げに向けた道筋を開くものと期待される。このところのNZドル相場を巡っては、米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げ実施を受けた米ドル安の動きを反映して底入れのペースを加速させたものの、足下においては米国経済の堅調さがあらためて確認されるなかで大幅利下げ期待が後退する一方、RBNZが利下げペースを加速させるなど金融緩和ペースを巡る強弱が意識されるなかで頭打ちの様相を強めている。当面はRBNZの『ハト派』姿勢が意識されやすい展開が続くことでNZドルの対米ドル相場は上値の重い推移が見込まれるほか、日本円に対しても同様に上値の重い動きが続くことが予想される。

図1 インフレ率の推移
図1 インフレ率の推移

図2 NZドル相場(対米ドル、日本円)の推移
図2 NZドル相場(対米ドル、日本円)の推移

以 上

注1 10月9日付レポート「ニュージーランド準備銀が利下げを加速、NZドル相場の行方は?

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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