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米国:ケネディ氏が選挙戦から撤退

~トランプ氏への追い風となる可能性~

前田 和馬

8月23日、11月大統領選に出馬していたロバート・ケネディ・ジュニア氏(無所属)は選挙戦からの撤退を表明した。「選挙戦での勝利が現実的でないこと」を撤退理由として挙げたほか、同日には共和党トランプ氏の選挙集会で演説し同氏への支持を打ち出した。ケネディ氏の撤退はトランプ氏の選挙戦への追い風となる可能性がある。

ケネディ氏はバイデン・トランプ両氏を好まない有権者(ダブルヘイター)を中心に、全米で5~10%程度の支持を獲得してきた。ケネディ氏が勝利する可能性は非常に低かったものの、民主・共和両党の支持率の差が数パーセント・ポイントに留まる激戦州においては、同氏への投票意向が選挙結果を左右する可能性があった。一方、同氏の存在が民主党と共和党のどちらに有利に働くのかは見方が別れていた。民主党・ケネディ元大統領の甥であり、環境保護に熱心なことは一部の民主党支持者の票を奪う一方、同氏による反ワクチンや国境管理強化の主張は一部のトランプ支持者と親和性があると考えられる。

とはいえ、バイデン氏撤退前後の世論調査(Pew Research Center実施)において、トランプ氏の支持率にほとんど変化がない一方、ハリス氏はケネディ氏の支持を奪う形で勢いを示している(図表1)。バイデン氏の高齢懸念を背景にケネディ支持に回っていた民主党寄りの有権者の一部は、ハリス氏の登板で再び民主党支持(ハリス支持)に戻った可能性が高い。このため、現時点でのケネディ支持者は共和党に近い考えを持っている人々の方が多いとみられる。実際、8月時点のケネディ支持者のうち54%は自身を「共和党員」或いは「共和党寄り」と考えており(民主党の同割合は38%;図表2)、こうした人々の一部がトランプ支持へと移る場合、トランプ氏の支持率は数%pt押し上げられる可能性がある。

バイデン氏の撤退から民主党全国大会(8/19-22開催)まではハリス氏の印象やパーソナリティへの注目度が高まりやすかった一方、今後の注目点は9月10日に予定される第一回のテレビ討論会、及びハリス氏の個別政策への言及にシフトしていく展開が予想される。テレビ討論会においては、ハリス氏が元検事としてトランプ氏の多くの疑惑(不倫口止め料や議会襲撃事件における支持者の扇動)を追及する一方、トランプ氏はハリス副大統領のインフレ・移民問題への実績不足を強く批判すると見込まれ、討論会の内容が選挙情勢をどのように動かすのかが注目される。

図表1:バイデン氏撤退前後の支持率の属性別変化
図表1:バイデン氏撤退前後の支持率の属性別変化

図表2: ケネディ支持者の属性(8 月時点)
図表2: ケネディ支持者の属性(8 月時点)

図表3:バイデン氏撤退前後の支持率
図表3:バイデン氏撤退前後の支持率

図表2: ケネディ支持者の属性(8 月時点)、図表3:バイデン氏撤退前後の支持率
図表2: ケネディ支持者の属性(8 月時点)、図表3:バイデン氏撤退前後の支持率

注:7月調査は7/1-7、8月調査は8/5-11にそれぞれ実施。
出所: Pew Research Centerより第一生命経済研究所が作成

以上

前田 和馬


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

前田 和馬

まえだ かずま

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 米国経済、世界経済、経済構造分析

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