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- 都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2024/05)

加重中央値の伸び率が再加速
以前のレポートで試算した①東京都区部版の基調的インフレ率3指標、②日銀が賃金から物価への波及度合いを分析する際に利用した低変動品目CPIについて、本日公表の5月都区部CPIを用いて計算した。計算値を見ると、刈込平均値(全国ウェイト換算)は4月:+2.2%→5月:+2.3%、加重中央値(全国ウェイト換算)は4月:+0.6%→5月:+1.1%、最頻値は4月:1.9%→5月:+1.8%、低変動品目CPIは4月+1.3%→5月:+1.3%となった(いずれも前年比)。最頻値が低下の一方、刈込平均値と加重中央値は上昇。刈込平均値・加重中央値は、都区部ウェイトでも4月から伸びを高めている。(刈込4月:+1.8%→5月:+1.9%、加重4月:+0.5%→5月:+0.7%)
5月の基調的インフレ率指標はまちまちの動きとなったが、気になるのは加重中央値の再加速であろう。加重中央値は前年比上昇率順に品目を並べ、ちょうど累積ウェイトが半分になった品目の上昇率を指す。ウェイトの大きい品目が急上昇・急低下する際に数値に影響を及ぼしやすい。4月から5月の品目別分布を確認すると、ウェイトの大きい電気代が値上げの影響で4月▲2.1%から5月+13.1%と急加速し、加重中央値よりも上昇率の低い品目から高い品目へ移行したことの影響が大きかった。5月の加重中央値の伸び加速は物価全般の加速とは捉えがたい一方で、ウェイトの大きい民営家賃(4月+0.5%→5月+0.7%)、持家の帰属家賃(同+0.4%→+0.6%)の伸びが拡大している。4月の加重中央値(全国ウェイト)は+0.6%まで低下したが、ここより先の下げ余地が限られていることも事実だろう。1%近傍での推移が続きそうだ。
日銀が直近の4月展望レポートでも再掲している低変動品目CPIは筆者試算値で4月全国+1.3%、5月都区部+1.3%で伸び率は横ばい推移が続いている。日銀レビューでは、この指標が賃金変化に対する感応度が高いことを示している。日銀は、春闘賃上げのサービス価格への反映などが進むことで同指標の加速する姿をイメージしているとみられるが、現状そうした兆しはみられない(小数点第3位まで開いてみても都区部4月+1.269%→5月+1.266%)。日銀は同指標の方向感を重視しているとみられ、特に賃上げの進む夏場にかけての動きは重要度が高いとみている。

(参考文献)
星野(2023)「東京都区部版・日銀基調的インフレ率の試算」第一生命経済研究所 Economic Trends
星野(2024)「日銀の「第二の力」指標を再現してみた」第一生命経済研究所 Economic Trends
川本・中浜・法眼(2015)「消費者物価コア指標とその特性 — 景気変動との関係を中心に —」日銀レビュー・シリーズ、15-J-11
白塚(2015)「消費者物価コア指標のパフォーマンスについて」日銀レビュー・シリーズ、15-J-12
尾崎・神保・八木・吉井(2024)「賃金・物価の相互連関を巡る最近の状況について」日銀レビュー 2024-J-2
星野 卓也
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 星野 卓也
ほしの たくや
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測
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