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BOEの利上げ打ち止めは近い

~ガイダンス修正は終わりの始まりを示唆~

田中 理

要旨
  • BOEは2月のMPCで50bpの追加利上げを決定した。今後の政策方針に関する文言を大幅に見直し、利上げ判断をよりデータに依存する形に変更するとともに、「力強い対応」という文言を削除し、先行きの利上げ幅縮小を示唆した。同時に発表された金融政策レポートでは、景気低迷、失業率の上昇、インフレ率の鈍化が見込まれ、ガイダンスの変更と相俟って、利上げ打ち止めは近そうだ。3月に25bpの追加利上げを決定した後は、様子見に転じると予想する。

英イングランド銀行(BOE)は2月1日に終わった金融政策委員会(MPC)で、賛成7・反対2の賛成多数で50bpの追加利上げを決定した。これにより政策金利は4.0%に到達。テンレイロ委員とディングラ委員が金利据え置きを主張した。BOEは今回、今後の政策方針に関する文言を大きく見直した。従来は「労働市場の逼迫が続き、国内物価と賃金にインフレ圧力を示す証拠があるため、金融政策のさらに強力な対応が正当化される」としていたが、これを「経済が11月の金融政策レポートの予測に概ね沿って推移する場合、インフレ率を目標に向けて持続的に戻すためには、政策金利の更なる引き上げが必要になる可能性がある」に変更し、今後の利上げ判断をよりデータに依存する形にした。また、従来は「より持続的なインフレ圧力が示唆される場合、必要に応じて力強く対応する」としていたが、これを「より持続的なインフレ圧力を示す証拠がある場合、さらなる金融引き締めが必要となるだろう」に変更した。「力強い対応」という文言を削除したことからは、先行きの利上げペースの縮小が示唆される。

同時に発表した金融政策レポートでは、政策金利が2023年に4.4%に引き上げられ、2024年に3.7%、2025年に3.5%に引き下げられとの市場予想通りに推移した場合、2023年1~3月期から2024年7~9月期までマイナス成長が続き、予測期間を通じて失業率が上昇し、インフレ率は2年後(2025年1~3月期)に前年比+1%、3年後(2026年1~3月期)に同+0.4%と、2%の物価安定目標を大きく下回る(図)。こうした見通しとガイダンスの変更に鑑みれば、BOEの利上げ打ち止めは近そうだ。コア物価の高止まりや賃金上昇圧力の高まりが残存することから、3月のMPCでこれまでより小幅の25bpの追加利上げを決定し、その後は様子見に転じる展開を予想する。この場合、BOEのターミナル・レートは4.25%となる。

図表1
図表1

以上

田中 理


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

田中 理

たなか おさむ

経済調査部 首席エコノミスト(グローバルヘッド)
担当: 海外総括・欧州経済

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