デジタル国家ウクライナ
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5連続利上げでもハト派にみえるBOE

~先行きの利上げ幅拡大の可能性を示唆~

田中 理

要旨
  • BOEは5会合連続で利上げを決定し、政策金利を1.25%に引き上げた。上振れ・下振れ双方のリスクを併記していたフォワード・ガイダンスを見直し、先行きの利上げ幅拡大の可能性を示唆。見通し発表月の次回8月のMPCでは50bpに利上げ幅を拡大する可能性が高い。景気減速の兆しが広がり、中立金利の達成が視野に入るなか、その後は25bp刻みの利上げに回帰すると予想する。

英イングランド銀行(BOE)は16日に6月の金融政策委員会(MPC)の結果を公表し、賛成6・反対3の賛成多数で政策金利を1.0%から1.25%に25bp引き上げた。反対した3委員(ハスケル、ソンダース、マン)は50bpの利上げを主張した。FRBやECBがタカ派にシフトするなか、BOEが漸進的な利上げを選択した背景には、①主要先進国中銀の中では早めに利上げを開始し、これまで5会合連続で通算115bp(初回が15bp、その後の4回が25bp)の利上げを実施してきたこと、②GDPや失業率など一部の経済データに減速の兆しが確認されること、②今回のMPCが景気・物価見通しを包括的に点検する金融政策レポート(旧物価レポート)の発表月でないこと―が影響した模様。ただ、声明文や議事要旨では、これまで上振れ・下振れ双方のリスクを併記していたフォワード・ガイダンスを修正し、先行きの利上げ幅拡大の可能性を示唆した。すなわち、従来のガイダンスでは「向こう数ヶ月の間に金融政策をさらに緩やかに引き締めることが適切であると判断されるが、中期的なインフレ見通しがどう進展するかによって、こうした判断には上振れ・下振れ双方のリスクがある」としてきた。新たなガイダンスでは「政策金利の更なる引き上げの幅・ペース・タイミングについては、景気見通しとインフレ圧力に関する委員会の評価を反映したものになる」としたうえで、「委員会はより持続的なインフレ圧力を特に警戒し、必要があれば力強く行動する」との見解を表明している。

BOEの試算によれば、最近政府が発表した物価高騰の打撃を軽減する対策が成長率を0.3%ポイント程度押し上げる。一部の経済指標が軟化しているものの、資源価格の一段の上昇、期待インフレ率の高まり、賃上げや価格転嫁の動きが広がっている。10月には公共料金の一段の値上げが予定され、秋に向けてインフレ率は一段と加速し、少なくとも来年春頃までは高止まりが予想される。金融政策レポートの発表月である次回8月のMPCでは、50bpの追加利上げを決定する可能性が高まっている。その後は、景気指標により広範な減速の兆しが広がるとみられること、タカ派のソンダース委員が8月に退任すること(後任に指名されているLSEのディングラ准教授は国際貿易や通商政策の専門家で、金融政策については当初より中立的な立場を採る可能性がある)、中立金利とみられる2%前後の達成が視野に入ってくること―などから、25bp刻みの利上げに回帰する展開を予想する。

以上

田中 理

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